公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
住み続けられるまちづくりを

地方創生の必要性と地域経済活性化の方法|2.0時代の最新データと各地の実践

地方創生とは?地方創生の必要性と地域経済活性化の方法について解説

地方創生とは、人口減少と東京圏への人口集中に歯止めをかけ、地方で暮らしと仕事を続けられる地域をつくるための政策と実践の総称です。2014年に国の看板政策として始まり、2025年には「地方創生2.0」と呼ばれる新しい基本構想が閣議決定されました。この記事では、地方創生がなぜ必要とされているのかを最新の統計で確かめたうえで、地域経済を活性化させる具体的な方法と、各地で成果が出ている実践、そして私たち一人ひとりが関われる行動までを整理します。

この記事で学べること

  • 2025年の出生数や東京圏への人口移動など、地方創生が必要とされる最新の数字
  • 人口減少が地域経済を弱らせていく仕組みと、「消滅可能性自治体」の正しい読み方
  • 2014年の第1期から2025年の「地方創生2.0」と総合戦略まで、国の方針が何を変えたのか
  • 奈義町・東川町・長野県などの実践から見える、地域経済活性化の4つの打ち手
  • 住んでいる地域が違っても、今日から始められる関わり方
目次

地方創生はなぜ必要なのか|最新データで見る人口減少と東京圏集中

地方創生が必要と言われる最大の理由は、人口の減り方が地方で特に速く、しかも若い世代が都市部に集まり続けているからです。まず全国の動きを確かめ、そのうえで地方に何が起きているのかを見ていきます。

出生数67万人台と、年間91万人を超える自然減

厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2025年の出生数は67万1236人で、10年連続で過去最少を更新しました。合計特殊出生率は1.14で、こちらも過去最低です。一方で死亡数は158万9489人にのぼり、生まれた人数から亡くなった人数を引いた自然減は91万8253人でした。1年間で、中規模の県ひとつ分に近い人口が自然に減っている計算になります。

都道府県別に見ると、出生率が最も高い沖縄県でも1.52です。人口を長期的に保てる水準(人口置換水準)はおおむね2.1前後とされており、最も高い地域でもそこには届いていません。東京都は0.96と、3年連続で1を下回りました。

東京圏への転入超過が30年続いている

総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告では、2025年も日本人の移動者は東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)で転入超過となり、その連続は30年に及びます。内閣府の資料は、就職や進学の時期にあたる20〜24歳の層で地方の転出超過が特に大きいと指摘しています。

東京圏に人が集まる一方で、東京都の出生率は全国で最も低い水準にあります。人が集まる先で子どもが生まれにくいという構図があるため、東京圏への集中は、出生数の減少を加速させる要因のひとつと受け止められています。もちろん、出生率に影響する要因は住居費、働き方、結婚の時期など一つではありません。地方から若者が離れる動きと少子化が、互いに影響し合っていると捉えるのが現実的です。

消滅可能性自治体744という数字の読み方

民間組織の人口戦略会議は2024年4月、全国1729の市区町村のうち744自治体(約4割)を「消滅可能性自治体」と分析しました。2020年から2050年の30年間で、20〜39歳の女性人口が半分以下になると推計された自治体です。2014年に日本創成会議が示した896自治体からは減っていますが、今回新たに該当した自治体が99あったと報じられています。

数が減った背景として、人口戦略会議は外国人の入国超過が大きく増えた点を挙げています。報道では、日本人の人口動態そのものが改善したわけではないという見方も紹介されています。「896から744へ減った」という数字だけを見て、事態が好転したと受け取るのは早計です。

人口が減ると地域経済はどうなるのか|負のスパイラルの仕組み

人口減少は、数が減るだけの問題ではありません。地域の経済と暮らしを支える仕組みが、順番に弱っていく点に特徴があります。

最初に影響が出やすいのは、お店や事業所の売上です。住民が減ると、日々の買い物や外食、サービスの需要が小さくなります。需要が小さくなれば店は閉まり、働く場所が減ります。働く場所が減ると、仕事を求める若い世代がさらに地域を離れる流れが強まります。

次に影響を受けるのが、自治体の税収と公共サービスです。働き手と住民が減れば税収も減り、バスなどの公共交通、学校、医療機関、除雪や水道といった基盤の維持費を、少ない人数で負担することになります。サービスが弱まった地域は暮らしにくくなり、これもまた転出の理由になります。

地方都市では、駅前や商店街を中心に栄えてきた街が、郊外の大型店や幹線道路沿いの店舗へと客足を奪われ、中心部が空洞化した例も各地で見られます。郊外の店舗も、人口が減れば撤退を迫られます。人口減少、雇用の縮小、サービスの低下、さらなる転出という循環が一度始まると、外からの手当てなしには止めにくいことが、地方創生が国の課題とされてきた理由です。

地方創生はこの10年でどう変わったのか|2014年から地方創生2.0、総合戦略まで

地方創生は、始まってから10年以上が経ち、その狙いと手法が変わってきました。ここでは、国の方針の変化を3つの段階で整理します。

2014年から始まった第1期は「人口減少に歯止めをかける」が中心

2014年に第二次安倍内閣が「地方創生」を看板政策に掲げ、同年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と総合戦略が策定されました。東京圏への人口集中の是正と出生率の向上が柱で、各自治体も地方版の人口ビジョンと総合戦略をつくり、移住支援や子育て支援、企業誘致を進めてきました。

2025年6月の「地方創生2.0」は「稼ぐ力」と「関係人口」を前面に

2025年6月13日には、今後10年間を見据えた「地方創生2.0」の基本構想が閣議決定されました。「生きがいを持って働き、安心して暮らし続けられる生活環境」づくり、「稼げる」経済による人の呼び込み、若者や女性に選ばれる地方の実現などが柱とされています。

関係人口については、10年間で1000万人(実人数)規模を創出する目標が掲げられていると解説されています。関係人口とは、移住はしていなくても、その地域を継続的に応援し、行き来する人たちのことです。ただし、この数字の定義は従来の推計と異なるという指摘もあり、数値の扱いには注意が必要です。

2025年12月の総合戦略は「地方の生産性を東京圏以上に」

2025年12月23日には、「地方創生に関する総合戦略」が閣議決定されました。報道によると、2022年の労働者1人当たり労働生産性は東京圏が約1013万円、それ以外の地域が約853万円で、2029年度までに地方の伸び率を東京圏以上にすることを目指しています。地方の域内総生産の成長率も、東京圏以上にする目標が示されました。

もう一つ見落とせない変化があります。大臣の記者会見では、東京圏への過度な集中を是正するという法律の目標は維持する一方で、「東京圏の転入と転出を均衡させる」という期限付きの数値目標は、今回の戦略では設定しなかったと説明されています。理由は、一極集中には企業や経済の集中も含まれ、人の転出入だけでは度合いを測れないためとされます。人数を動かすことから、地方の経済力そのものを高めることへ、重心が移りつつあります。

地域経済活性化の方法|現場で成果が出ている4つの打ち手

方針が変わるなかで、地域経済を元気にする方法として各地で試されてきた打ち手は、大きく4つに分けられます。どれか一つで解決するのではなく、地域の事情に応じて組み合わせる点が共通しています。

稼げる仕事と所得を地域内につくる

若い世代が地方に残る、あるいは戻る前提には、安心して働ける仕事と、暮らしを支える所得があります。地域の農林水産物、観光資源、伝統産業、製造業の技術などを、付加価値の高い商品やサービスに育てる動きが各地で進んでいます。上で見た生産性の差(東京圏約1013万円、それ以外約853万円)を縮めるには、人手不足を補うデジタル技術の導入や、高い価格で売れる商品づくりが欠かせません。

子育てと住まいの不安を取り除く

岡山県奈義町は、子育て支援で知られる自治体です。内閣府の資料によると、町の合計特殊出生率は2005年に1.41でしたが、2014年には2.81、2019年には2.95まで上がり、全国平均を大きく上回りました。出産祝金、在宅育児支援金、高校卒業までの医療費無料、高校就学支援金などの経済的な支えに加え、子育て相談の場や、子育ての合間に働ける仕組みも整えてきました。お金の支援だけでなく、相談できる場所と働き方の選択肢をそろえた点に特徴があります。

ただし、町の速報値では2020年は2.25、2021年は2.68と年によって変動しており、人口規模の小さい町では1年の数字だけで評価しにくい点も押さえておきたいところです。

関係人口と地域おこし協力隊で外の力を取り込む

北海道東川町は、1985年に「写真の町」を宣言して以来、文化事業と移住施策、子育て支援、起業支援を組み合わせてきました。町の地域再生計画によると、人口は1993年の7063人から、2025年4月時点で8475人まで増えています。地域おこし協力隊の受け入れ人数も多く、2023年度は76人でした。

全国では、総務省の発表をもとに、2025年度の地域おこし協力隊員は過去最多の8196人と報じられています。長野県は受け入れ隊員数が477人で全国2位、任期終了後に同じ地域に定住した割合は78.0%で全国4位でした。総務省の調査では、全国でも任期終了者の約7割が活動地域に定住しているとされます。外から来た人が一時的に手伝うだけでなく、そのまま地域の担い手になる流れが、少しずつ根づいています。

コンパクトなまちづくりと空き家の再生

中心部に住まい、商店、医療、公共交通を集め、歩いて暮らせる範囲を維持する「コンパクトシティ」の考え方も、地方都市で広がっています。人口が減っても、生活に必要な機能を一か所にまとめることで、インフラの維持費を抑えられる利点があります。

一方で、郊外に長く暮らしてきた住民にとっては、移動手段や暮らしの変化が負担になる場合があります。住民の合意づくりを欠いたまま進めると、かえって不満を生みます。あわせて、空き家を改修して住まいや仕事場として貸し出す取り組みも、リモートワークの広がりを背景に各地で見られます。

誤解されやすいポイント|地方創生は「人を増やせば成功」ではない

地方創生は、人口の数字だけで成否が決まるものではありません。ここでは、よく見られる誤解を3つ整理します。

移住者が増えれば人口減少が止まるとは限らない

東川町は人口が増えた代表例ですが、地域再生計画では、2022年は転入が転出を上回る社会増(283人)だった一方、出生数は2023年に43人まで減り、自然減は95人と示されています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年に7088人まで減る見込みとも記されています。

転入で人口を保つ取り組みは有効ですが、それだけで全体の減少を打ち消すのは難しいことが、先進地の数字からも読み取れます。移住者の呼び込みと、その地域で子どもが生まれ育つ環境づくりを、両方進める必要があります。

人口を増やすことだけが唯一のゴールではない

日本全体の人口が減っている以上、すべての地域が人口を増やすことはできません。地方創生2.0が関係人口を重視するのも、住民の数が減っても、その地域を支える人の輪を広げれば暮らしを維持できる、という考え方が背景にあります。人口の増減に一喜一憂するよりも、住民が減っても医療や交通、仕事といった暮らしの土台を保てるかどうかが問われています。

「消滅可能性自治体」は、いずれ消える町を意味しない

この言葉は、20〜39歳の女性人口の推計だけを根拠にした分類です。小規模な自治体の状況を十分に捉えられないという批判もあり、島根県知事のように、都道府県単位では東京以外はほぼすべて人口が減るため、国全体の課題として捉えるべきだと述べる例もあります。該当した自治体を一律に「衰退する町」とみなすのは、実情に合いません。自治体名を見て評価するのではなく、その地域が何に取り組んでいるのかを見るほうが確かです。

住民でなくても関われる|地域経済を応援する3つの行動

地方創生は、自治体や企業だけが担うものではありません。いま住んでいる場所に関わらず、関われる方法があります。

関係人口として地域と関わる

好きな地域や縁のある地域に、継続的に足を運んだり、特産品を買ったり、寄付を送ったりすることが関係人口のはじまりです。年末が近づく今の時期は、ふるさと納税の返礼品や使い道を選ぶ機会でもあります。寄付先の自治体が、集めたお金を何に使うのかを調べて選ぶだけで、応援の質が変わります。数日間、親子で地方に滞在する「保育園留学」のように、短期間の滞在から地域との関係が育つ例も、大臣の記者会見で紹介されています。

自分の自治体の総合戦略を読んでみる

多くの自治体は、人口ビジョンと地方版の総合戦略を公表しています。自分の住む町が、どんな課題を挙げ、どんな数値目標を置いているのかは、自治体のウェブサイトで確かめられます。目標が書かれていれば、町の取り組みを評価し、意見を伝える手がかりになります。

地域の事業者や産品を選ぶ

日々の買い物で、地元の事業者や地域産品を選ぶことも、地域経済に直接つながります。大きな金額でなくても、地域内でお金が回る量は少しずつ変わります。

まとめ

地方創生が必要とされる理由は、2025年の出生数が67万人台まで減り、自然減が年間91万人を超えたこと、東京圏への転入超過が30年続いていることなど、数字から確かめられます。人口減少は、お店や働く場所、税収、公共サービスを順番に弱らせるため、一度始まった地域の縮小は、外からの後押しなしには止めにくい面があります。

国の方針は、2014年に始まった人口減少への歯止めから、2025年の地方創生2.0と総合戦略で、地方の「稼ぐ力」と関係人口の拡大へ重心を移しています。奈義町の子育て支援、東川町の移住と文化政策、長野県の地域おこし協力隊のように、各地の実践は、仕事、子育て、住まい、外の人材という複数の打ち手を組み合わせています。

同時に、移住者が増えても出生数が減る例があるように、一つの指標だけで成否を判断するのは危険です。まず1つだけ試すなら、気になる地域の特産品を買う、あるいは、住んでいる自治体の総合戦略を開いて目標を読んでみることから始めてみてください。

  • 2025年の出生数は67万1236人(概数)で、合計特殊出生率は1.14と過去最低
  • 日本人の東京圏への転入超過は30年連続で、若い世代の転出が地方の課題
  • 国の方針は、人口対策から地方の生産性向上と関係人口の拡大へ重心が移っている
  • 仕事、子育て・住まい、外の人材、まちづくりの4つの打ち手を地域ごとに組み合わせる
  • 移住者を増やすだけでは減少は止まらず、特産品購入や総合戦略を読むことが最初の一歩になる

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

  1. りそな×大学生「共創プロジェクト」の1年間。「さすてにゃ診断」の誕生から最終発表までを振り返る

  2. 廃棄予定の複合機を再び使う|TMTユニバーサル「コピーキ革命」のレンタルを紹介

  3. 創業120周年を迎えたあらしおの歴史|駿河の塩づくりから平釜塩の復活まで

RELATED

PAGE TOP