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移民政策の成功例として4つの国での取り組みを紹介!

移民政策の成功例4国|日本における移民政策と私たちにできること

近年、世界中で多くの人々が、より良い生活環境や職を求めて新たな国へと移動しています。こうした移民の受け入れに関して、国家として明確な方針=「移民政策」を打ち出し、成果を上げている国も存在します。

「移民政策とは何か?」「成功した国にはどんな特徴があるのか?」「日本ではどのような取り組みが進められているのか?」——こうした疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

実際、日本にも近隣諸国、特に中国などからの移民の流れが押し寄せています。そのなかで、カナダ、シンガポール、ドイツ、オーストラリアは、移民の受け入れと政策運用において一定の成功を収めた国々として知られています。

本記事では、「移民政策とは何か」「政策の成功事例4カ国」「私たちにできること」という三つの視点から、移民をめぐる現状と今後を読み解いていきます。

移民政策とは?

移民政策とは?

「移民政策」とは、外国から人々を受け入れ、その国の社会や経済に統合していくための国家的な取り組みを指します。この政策の背景には、少子高齢化による労働力不足や、経済成長の停滞といった深刻な課題があります。そうした課題を解決する手段として、多くの先進国が移民政策を戦略的に採用しています。

移民の受け入れには、多様な文化や価値観の流入という側面がある一方で、労働市場の活性化やイノベーションの創出といった多くのメリットも期待されています。特に、高度なスキルや専門知識を有する移民は、受け入れ国の技術革新や産業発展に大きく貢献するケースが増えています。

ただし、移民政策がすべての国で一様に成功しているわけではありません。法制度の整備状況や、受け入れ社会の寛容度といった要因によって、成功と失敗の明暗が分かれるのが実情です。たとえば、世界最大の移民受け入れ国であるアメリカでも、移民政策をめぐっては国内の分断が続いています。

日本における移民政策

日本では長らく「移民政策を取らない」という政府方針が維持されてきました。これは、文化的・社会的同質性を重視し、永住や定住を前提とした移民の大量受け入れには慎重であるという立場によるものです。

しかし実際には、深刻な労働力不足を背景に、2019年から「特定技能制度」がスタートし、一定の技能や日本語能力を持つ外国人労働者の受け入れが本格化しています。政府はこの制度により、5年間で最大34万5,000人の受け入れを想定しました。

ここで注意すべきは、「移民」と「外国人労働者」は法的にも概念的にも明確に区別されていること。日本はあくまで「労働力の補完」として一時的な滞在を前提にした政策を採っており、欧州や北米のように定住・永住を促進する本格的な移民政策とは異なります。

ただし、技能実習生や特定技能人材の一部は永住権取得を視野に入れられる制度も存在し、実質的な「移民化」が進んでいるという指摘もあります。今後、少子高齢化が一層進む中で、より踏み込んだ移民政策が議論される可能性は高まっています。

カナダ|多様性を力に変える国家戦略

移民政策成功例 カナダ

カナダは世界有数の移民国家として知られています。現在、カナダ国内の人口の約23%が移民またはその子孫であり、2023年から2025年にかけて、政府は計150万人超の移民受け入れを計画しています。

同国では「ポイント制」と呼ばれる評価制度を導入し、学歴、語学力、職歴などを基に、社会的に貢献できる人材を選抜しています。また、定住支援や家族の帯同制度も充実しており、移民が安心して暮らせる環境を整えています。

このような制度設計により、医療、IT、建設業界など多岐にわたる分野で移民が中核的な役割を担っています。一方で、近年は急速な移民増加により住宅不足や労働競争の激化が起こり、国民の約半数が「移民の影響に否定的」とする調査結果も出ており、課題も浮き彫りになっています。

シンガポール|戦略的な階層別移民政策

移民政策成功例 シンガポール

人口約580万人の都市国家シンガポールでは、居住者の約40%が外国籍とされています。1970年代以降、急速な経済発展とともに人材不足が深刻化し、政府は移民を積極的に受け入れる政策を推進してきました。

シンガポールの特徴は、産業分野や職種に応じて低賃金労働者から高スキル専門職までを区分し、階層別に移民を管理している点にあります。建設、製造、介護分野には主に低賃金労働者を、ITや金融には高スキル人材を受け入れることで、産業構造の維持と成長を支えています。

その結果、同国の1人当たりGDPはアジアでもトップクラス(2023年時点で約8万ドル)を記録。国際企業の拠点誘致にも成功しています。ただし、近年では住宅、雇用、文化面での摩擦が増え、政府は受け入れ枠の見直しや調整を進めています。

ドイツ|歴史を踏まえた多層的移民政策

移民政策成功例 ドイツ

ドイツはEU域内でも最大級の移民受け入れ国であり、2023年時点で人口の約27%が移民またはその子孫です。1970年代の「ゲストワーカー政策」から始まり、難民受け入れ、熟練労働者、EU域内移動といった多様な制度が築かれています。

特筆すべきは、2015年のシリア難民大量受け入れです。これにより、ドイツは「移民国家」としての姿勢を世界に示しました。その一方で、文化的摩擦や社会統合の課題も浮上しており、「移民が治安や雇用に悪影響を与える」と懸念する声も根強くあります。

ナチス政権時代の排他政策を教訓とし、ドイツでは多様性と人権の尊重を柱とする政策への転換が強く意識されています。

オーストラリア|多文化共生を国是とする先進国

移民政策成功例 オーストラリア

オーストラリアは「多文化主義」を国是に掲げ、移民を積極的に受け入れる国家のひとつです。2023年時点で、人口の約29%が海外出身者で構成されており、年間約19万〜20万人の永住者が新たに加わっています。

歴史的には、英国からの囚人による植民地建設から始まりましたが、20世紀以降はアジアや中東など非英語圏からの移民も増加。現在ではスキルを重視した「ポイント制」を導入し、医療、農業、介護、ITなど多様な分野で即戦力となる人材を受け入れています。

その一方で、住宅価格の高騰や公共サービスの混雑、文化的な摩擦も懸念されており、政府は移民政策の再調整に乗り出しています。

私たちにできること|移民との共生を目指して

移民政策成功例から考える私たちにできることとは?
では、移民政策の事例から、私たち日本人にできることは何かを考えていきます。

移民について理解を深める

移民は、社会の持続的成長に欠かせない存在である一方で、異文化への不安や偏見も根強く残っています。日本でも多くの外国人が働き暮らすようになり、今後さらにその数は増加する見通しです。

だからこそ、まずは私たち一人ひとりが移民について正しく理解し、共生に向けた姿勢を持つことが重要です。偏見をなくし、互いを尊重する社会の実現に向けた意識改革が求められます。

支援金を寄付する

紛争や迫害から逃れてきた難民に属する移民も多く存在します。日本での生活に慣れない中で、言語や文化の壁に直面している人も少なくありません。

そのような人々を支援するために、NPOやNGOへの寄付は非常に有効な手段です。個人の支援が集まることで、移民や難民に対する大きな力となります。

まとめ|他人事ではない移民問題

移民政策の成功例4国|日本における移民政策と私たちにできること

世界には、移民の受け入れによって発展を遂げた国が数多くあります。しかし、その背景には複雑な事情や国民の意識のギャップも存在します。成功事例のすべてが順風満帆であるわけではありません。

私たち日本人もまた、将来的に環境の変化などにより「移住を余儀なくされる立場」になる可能性があります。だからこそ、今のうちから「もし自分が移民だったら」という視点を持ち、共に生きる未来を考えることが求められています。

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