住み続けられるまちづくりを

地方創生はSDGsと深いところでつながっている

高齢化による人口減少と東京一極集中は、地方経済を衰退させていきました。こうした中で、掲げられたのが地方創生です。

その翌年の2015年にはSDGsが採択されました。SDGsの掲げる目標は、日本の地方が抱えている課題と共通のものがあります。

そのため、日本政府はSDGsを地方創生に活用し、地方創生をさらに深めていこうとしています。

ここでは、日本政府はSDGsを地方創生にどう活用しているのか、そして地方自治体はどういう取り組みをしているのかを紹介します。

地方創生とは?

地方創生とは?

地方創生とは、地方の人口減少を止め、地域経済を活性化しようとする取り組みです。高度経済成長以降、日本では、地方から都市部への人口流入が続いてきました。

都市部への人口流入、特に東京への一極集中を止めるべく、さまざまな取り組みがなされてきましたが、なかなかこの動きを止めることができません。

これに加えて、少子高齢化の進展によって、人口減少が進むと予想されています。都市への人口集中と日本全体の人口減少は、地方の衰退を加速させるでしょう。

最悪の場合、地方では、町や村が消滅してしまうのではないかと危惧されています。

こうした中で、2014年に当時の安倍内閣は、「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、地方活性化の政策として、地方創生を掲げました。その後、令和という新時代を迎え、地方創生の名の下、衰退する地方経済を活性化する取り組みがされています。

SDGsとは?

SDGsとは?

SDGsは、Sustainable Development Goalsの頭文字を組み合わせた言葉で、日本語に訳すと持続可能な開発目標です。

2015年9月にニューヨークの国連本部で開催されたサミットで採択されました。これは、2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継となるものです。SDGsは、2016年から2030年(15年間)で地球環境の保護を行いながら、経済問題や環境問題を含めた社会の諸問題を解決することを掲げています。

SDGsは、持続可能な開発と訳されているように、途上国に対する開発支援と考える人が多くいるかもしれません。しかし、この目標は途上国だけでなく、私たちのような先進国に住む人たちの暮らしに対する問題の解決を図っていこうというものです。

SDGsでは、「地球上の誰一人取り残さない」ことを誓っています。いわば、地球全体の問題を解決していこうというのが、SDGsの目標となっています。

なぜ、まちづくりがSDGsなのか?

なぜ、まちづくりがSDGsなのか?

SDGsには、17のゴールと169のターゲットから構成されています。目標11は「住み続けられるまちづくり」を掲げています。

目標11では、1~7・a~cのゴールが掲げられています。この中では、女性、子ども、高齢者および障害者といった人々に交通手段や緑地や公共スペースへのアクセスを提供する、災害に対する強靭さ(レジリエンス)を高めるといったゴールが掲げられています。

地方創生は、SDGsが打ち出された2年も前から始まった取り組みです。しかし、地方創生では、高齢者など体が不自由になったりしたことで、日常の買い物に苦労する人々や移動に制約がある人々を意識したまちづくりや、災害対応のまちづくりなど、SDGsと共通する問題に取り組んでいます。

SDGsと地方創生は相互に関係のある政策課題となっているのです。

SDGsと地方創生を組み合わせるとどうなる?

SDGsと地方創生を組み合わせるとどうなる?

地方創生とSDGsの関わりについては、政府も注目しています。政府は2015年のSDGs採択後、地方自治体に対して地方創生にSDGsの手法を取り入れることを促しています。

どうして、SDGsと地方創生を組み合わせているのでしょうか?それには、日本の現状に対する危機感が影響しています。

2004年をピークとして、日本の人口は減少傾向にあります。加えて、深刻な問題となっているのが、少子高齢化です。

2100年には高齢化率が40.6%を超えると予想されており、日本は今後高齢化が進展していきます。加えて、日本は毎年大型台風が襲来し、定期的に大規模地震に襲われる災害大国でもあります。

高齢化、防災といった課題は、SDGs目標11の課題です。日本政府は、SDGsに対する協力を惜しまない姿勢を示しています。

国内において、SDGsに即した取り組みを行うことにより、世界に日本の取り組みをアピールしようとしていると言えます。こうした、SDGsを地方創生に活用する取り組みの一環として始まったのが、「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」です。

SDGsに即した都市を選定する―SDGs未来都市

SDGsに即した都市を選定する―SDGs未来都市

SDGs未来都市は、環境モデル都市、環境未来都市を発展させたもので、SDGsの理念に沿った取り組みをしている自治体です。

これらは、2008年と2010年から開始され、環境モデル都市は温室効果ガス削減、環境未来都市は環境や高齢化といった課題に対して、高いレベルで取り組んでいる自治体を選定するのがSDGs未来都市事業です。

具体的には経済・社会・環境の3分野において、これまでとは異なる新しい価値を作り出している自治体を選びます。

環境だけでなく、他の分野でも先進性があるのかどうかが重要です。その際、この自治体の取り組みが持続可能な開発へとつながっているのか、そして、実現する可能性が高いかどうかを判断します。

言い換えると、新しい価値を創出し、その取り組みが持続可能な開発を実現する可能性が高い自治体を選ぶのがSDGs未来都市事業です。

2018年からの3年間でのべ93都市が選ばれています。北海道や神奈川県(いずれも2018年選定)のような大規模自治体から、奈良県広陵町(2019年選定)や高知県土佐町(2020年選定)などの小規模自治体まで、日本全国の津々浦々の取り組みを選定しています。

未来都市の取り組みを世界に広める―自治体SDGsモデル事業

未来都市の取り組みを世界に広める―自治体SDGsモデル事業

自治体SDGsモデル事業は、SDGs未来都市をさらに進める事業です。SDGs未来都市で選定された事業の中で、モデル事業として発信可能なほど、評価の高い事業を選定します。

この事業で選定されるのは、SDGs未来都市の中でも、他の自治体の参考となるような取り組みです。

ここでは、SDGsの理念に則り、企業やNGOなどの関係者との連携を行い、地域における好循環を導く取り組みが評価されます。SDGsは自治体だけが行う取り組みではありません。企業など、他の関係者を巻き込みながら行うことが不可欠とされているのです。

選定都市の成功事例は、国内だけでなく、海外にも発信されます。自治体SDGsモデル事業に選ばれ、成功している事例をイベントなどで広報し、地方創生の普及につなげようというのが狙いです。SDGsという取り組みを活用し、地方創生をさらに深めようとしているのです。

地方創生のSDGsな取り組みってどういうもの?

地方創生のSDGsな取り組みってどういうもの?

それでは、どういう事業が自治体SDGsモデル事業に選ばれているのでしょうか?高齢化や環境などの対象とする課題や取り組みの手段など、自治体によって取り組みはさまざまです。

たとえば、北海道ニセコ町はSDGsの理念を踏まえた「NISEKO生活・モデル地区構築事業」を掲げています。ここでは、安心して住み続けられる地域コミュニティを形成し、観光目的税の導入などにより、観光業を中心として地域経済を循環させるとしています。

一方、岡山県真庭市は、「永続的発展に向けた地方分散事業」に取り組んでいます。ここでは木質バイオマス発電を活用しながら、環境に配慮した経済活動を行う人材を育てていきます。

このように、取り組みはさまざまですが、各自治体ともに工夫を凝らして、SDGsを活用しているのです。

まとめ

まとめ

地方創生とSDGsとの関わりを紹介しました。地方創生は、高齢化や地方の衰退といった地方経済の抱える問題に対する取り組みです。

その課題は、SDGsの目標11に掲げられている課題とも共通しています。そのため、日本政府はSDGsを地方創生に活用し、地方創生を広く普及させると共に、深化させようとしてきました。これに応じて、地方自治体はそれぞれ工夫を凝らした事業を展開しています。

こうした事業が地方を変えることができるのか、期待したいですね。

参照元:外務省SDGsとは|外務省HP
参照元:内閣府SDGs未来都市|内閣府HP
参照元:総務省―我が国における総人口の長期的推移|総務省HP

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