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国内約22,800の店舗網から地域社会を支える、セブン&アイ・HDのサステナビリティ戦略

株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ・ホールディングス)は、セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、赤ちゃん本舗、ロフトなど、約180の事業会社を持つ企業です。全国の店舗を活かした自治体連携や災害対策から、国際会議への参加まで、多方面に展開する活動の背景と想いについて、同社執行役員 ESG推進本部長の宮地信幸様にMIRASUS編集部がお話を聞きました。

<プロフィール>
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
執行役員 ESG推進本部長
宮地信幸 様

約180の事業会社を抱えるセブン&アイ・ホールディングスのサステナビリティ

──セブン&アイ・ホールディングスの体制とSDGsの重要課題について教えてください。

宮地信幸様(以下、宮地様):セブン&アイ・ホールディングスは、約180の事業会社を持つ持ち株会社です。ホールディングスは、「純粋持株会社」という形態を選択し、ホールディングス自体は直接事業を行わず、事業会社が各事業を運営する体制になっています。ですので、事業会社は、それぞれの事業に専念でき、経営の効率化や迅速な意思決定が可能になっています。

みなさんによく知っていただいている企業としては、セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、赤ちゃん本舗、ロフトなどでしょうか?グループを合計すると2024年2月末現在で国内に約22,800店あり、1日に約2,230万人の方に利用いただいています。これは、各地域に店舗が根付いているからこそ実現できるものであり、地域の持続可能性がなければ、私たちの店舗も成り立たないという関係にあります。おかげさまで、店舗数・売上ともに順調に拡大してきましたが、時代と共に社会課題や社会的責任も変化しています。

そこで、SDGsが国連サミットで採択される前年の2014年に、ステークホルダーの期待にグループが一体となって応えていくため、さまざまなステークホルダーとの対話を通じてサステナビリティに関する5つの重点課題を策定しました。その後、事業活動と関係する社会課題や社会からの要請の多様化に適切に対応するために、2022年に重点課題を見直し、7つの重点課題に改定しています。

セブン&アイグループ 7つの重要課題

地域社会の安全・安心の拠点として

──重点課題について、具体的に教えてください。

宮地様:重点課題のひとつである「お客様とのあらゆる接点を通じて、地域コミュニティとともに住みやすい社会を実現する」の取り組みとして、自治体との連携強化を行っています。2024年2月末で、グループ合計334の自治体と包括連携協定を締結し、地産地消の推進や高齢化対応など社会課題の解決に貢献しています。地域によって抱える社会問題は違います。それを把握しているのは自治体ですので、連携することで社会貢献が可能になると考えています。

他にも、セブン‐イレブン・ジャパンが行っている、高齢化社会への対応として、軽トラックを活用し近隣の地域を回る移動販売「セブンあんしんお届け便」を1都1道2府37県で125台運用しています。(2024年2月現在)これは単に商品を販売するだけではなく、地域の人々との交流の場を提供できればという想いで展開しているものです。また、スマホで注文いただくと最短20分で自宅まで商品を配送する7NOWサービスも約16,000店舗に展開しています。(2024年8月現在)

そして、災害時支援。近年、地震や気候変動による災害が増えています。災害時に迅速な対応ができるよう、2011年3月11日の東日本大震災を機にセブンVIEW というシステムを構築しました。セブンVIEWは、店舗ごとの被災状況をリアルタイムで可視化し、震発生時に 「震度Xの地域にある店舗が停電しているか」などを即座に確認することができます。災害が起きた場所は、電話することも難しい状況になります。国土交通省・気象庁・自治体の情報も統合し、情報を一元化することで、迅速な状況判断に役立てられています。

また、重点課題のひとつである「地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する」の取り組みとして、お客様参加型のペットボトルリサイクルの取り組みを行っています。ペットボトルの回収機を4763台設置しリサイクルを行っています。(2025年2月現在)他にも、太陽光パネルは約9000店に設置し(2024年2月現在)、創エネ・省エネの拡大を目指しています。

──では、日本フランチャイズチェーン協会の取り組みの一環として行われている 「セーフティステーション活動」 はどのようなものでしょうか?

宮地様:これは、弊社だけでなく、コンビニ業界全体で取り組んでいる活動です。店頭でイメージキャラクターの「エスゾウくんのマーク」を見かけたことがあるかもしれません。これは 「安全・安心な街づくり」や「青少年環境の健全化」 を目的とした活動で、具体的には、子どもの駆け込み・女性の駆け込み・高齢者の保護・特殊詐欺の未然防止があります。2023年の具体的な数字として、セブン‐イレブンのみで、子どもの駆け込み2,076件以上・女性の駆け込み3,267件以上・高齢者の保護9,614件以上・特殊詐欺の未然防止13,454件以上もありました。今後も、店舗が「地域の安全拠点」として機能するために、地域のお客様とともに、安全・安心な環境づくりに貢献していきたいと考えています。

──店舗以外での活動や環境保全活動についてはどのようなものがありますか?

宮地様:ボランティア活動・小中学生向けの職場体験や学校への出張授業・ご家庭で余っている食品などを集めて困っている家庭へ寄付するフードドライブなどを行っています。

環境保全活動では、セブン‐イレブン記念財団を通じて、全国約20箇所のセブンの森やセブン海の森で産官学民が連携した森里川海一体の保全活動を行っています。具体的には、植樹や下刈り、間伐、獣害防止柵の設置などによる森づくり、地域住民やNPO団体と協力した環境美化活動などです。これらの活動には、加盟店のオーナー、店舗の従業員、本部の社員を始め、一般の方々にも参加いただいています。今後も、こうした地域に根ざしたボランティア活動や環境保全活動に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。

セブン‐イレブンの店頭に設置された募金箱を通じて、年間約4~5億円の募金が集まっています。これらの募金は、セブンの森の活動や、地域の環境保全活動への助成などに使われています。また、この募金は、大規模な自然災害が発生した際には、通常の募金から「復興支援募金」に切り替えることもあります。

国際会議で感じた先進国の責任

──昨年、国際会議に参加されたとのことですが、どのようなことを感じられましたか?

宮地様:はい。昨年、アメリカ・ニューヨークで開催のCLIMATE WEEK NYC 2024、コロンビア・カリで開催の生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)、アゼルバイジャン・バクーで開催の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第29回締約国会議(COP29)に参加しました。

特に印象に残っているのが、COP16での発表です。この会議では、 「地球上の樹木の1/3が絶滅の危機に瀕している」 というニュースが大きく報じられました。この問題の本質は、生物多様性の損失と気候変動が相互に影響し合い、悪循環を生んでいるという点です。気候変動が進行することで森林破壊が加速、森林破壊が進むことでCO₂の吸収能力が低下します。その結果、気候変動がさらに悪化。この連鎖が続き「臨界点」に達すると、もはや元に戻せなくなる可能性があります。実際、議論の中でも 「これ以上の対策が遅れると、回復が困難になる」 という意見が数多く出ていました。

また、COP16に参加した際、現地の先住民の方々の声を直接聞く機会がありました。彼らは、先進国の経済活動が自分たちの土地や文化を破壊していると強く訴えていました。最初は冷静に話していた先住民の方々が、次第に声を大きくし、明らかに怒りを込めて発言していたのが印象的でした。彼らは、「あなたたち(=先進国の人々)は、私たちの領土や文化を破壊することに加担している」 と、非常に強い口調で訴えていました。そして、「今すぐ、正面からこの問題に向き合い、行動を起こしてほしい」 という切実なメッセージを発していました。

この議論は、気候正義(Climate Justice)という概念につながります。先進国が生み出した環境負荷によってCO₂をほとんど排出していない先住民や発展途上国の人々が最も気候変動の影響を受け、生活や文化が脅かされている。この不公平な構造を正すべきだ、というのが 「気候正義」 の考え方です。私たち先進国に住む人間、そして大企業が果たすべき責任は非常に大きいと、改めて感じました。

──今後、私たちはどうすれば良いのでしょうか?

宮地様: 国際会議の現場では、気候変動や生物多様性の問題に真剣に取り組む人々が世界中にいることも強く感じました。私たちは無力ではないし、この問題に対して共に戦う仲間がいるということです。現地で熱量を持って活動している多くの人々に出会い、「これだけ多くの人が本気で戦っているのだから、自分たちもやるべきことをやらなければならない」 と改めて感じました。

こうした気候変動の現状、気候正義の考え方を、ぜひ皆さんにも知っていただきたいです。そして国や年代問わず、とにかく全員が自分ごととして物事を捉えることが重要だと思います。

──今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。

▼ 株式会社セブン&アイ・ホールディングスのページはこちら
ホームページ:https://www.7andi.com/
サステナビリティ:https://www.7andi.com/sustainability/

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