世界中で幅広い世代から人気を集めているスポーツブランドのナイキ。
シューズやウェアなどを使ったことがあるという方も多いのではないでしょうか?
そんな誰もが知る有名ブランドですが、ナイキはサステナビリティ分野においても先駆的な取り組みを行なっていることをご存知ですか?
今回は、ナイキのサステナビリティに対する考え方、そしてサステナブルな世界の実現のために、どんな取り組みをしているのかについて詳しくご紹介します。
本記事を読めば、ナイキの新たな魅力をきっと知ることができるはず。ぜひ最後までご覧ください!
なぜナイキはサステナビリティに取り組むのか
スポーツで体を動かすことは、私たちの健康にとって非常に大切なものです。
しかし、私たちがスポーツに取り組むことで、地球環境に悪影響を及ぼしていたら?
そんなことを考えたことがある方は、そう多くはないでしょう。
私たちがスポーツをする時、シューズやウェアを始めとしたアパレル用品を当たり前のように使用します。
でも、それは見方を変えれば多くの資源が使われているとも言えます。
まさに現代のような大量生産・大量消費の時代は、生産工程や廃棄物の処理工程において、環境への負荷がどんどん増しているのです。
特にそうした環境負荷から引き起こされる気候変動問題は、私たちの身近な生活にはもちろん、スポーツシーンにおいても、アスリートの競技やトレーニング環境に大きな影響を及ぼしています。
例えばアメリカの多くの州では、温度や湿度の高い環境の中でアスリートの安全を確保するためのルールが導入されています。
そうした規制により練習時間を短くしたり、着用する装具を減らしたり、時には試合が中止になってしまうこともあるのです。
こうした背景から、ナイキは地球の未来のため、そしてスポーツの未来のためにサステナブルな取り組みを加速しています。
環境に配慮したサステナブルな商品設計や製造を行いながら、それを新たなイノベーションの原動力に変え、今まで見たことのないような斬新で魅力あふれる製品を世に送り出しています。
参照元:気候変動に対するナイキの姿について|ナイキ 公式HP
ナイキ独自のサステナブル戦略「Move to Zero」
ナイキは、地球環境とスポーツの未来を守るためのサステナブル活動を「Move to Zero」と名付け、さまざまな取り組みを行なっています。
「Move to Zero」は、ナイキ製品の生産工程で排出される炭素と、廃棄物の排出量をゼロにすることを意味しています。
主な「Move to Zero」の取り組みは、以下の5点です。
・ナイキは2015年パリ協定に即し、2030年までに世界のサプライチェーン全体からの炭素排出量を30%削減します。
・ナイキは全てのフットウェア生産過程から生まれた廃棄物の99%を、廃棄せず再活用します。
・ナイキは1年に10億本以上のプラスティックボトルを廃棄する代わりに再利用し、新しいジャージやフライニットシューズやコートに変えています。
・Reuse-A-Shoeとナイキグラインドの各プログラムは、廃棄物を新しいプロダクト、遊び場の路面や陸上のトラックやコートに変えています。
このように、ナイキは「Move to Zero」の方針のもと、環境への影響を最低限に抑えた事業活動を目指しています。
しかし、ナイキが大切にしているのはそれだけではありません。
従来から築いてきたナイキのブランド力を活かし、サステナブルな製品を用いながら新たな企業ブランディングにもつなげることも、同様に大切にしているのです。
ナイキの具体的な取り組み
ナイキは「Move to Zero」をキーワードに、原料調達、商品開発・製造、物流、販売に至るまで、全てのサプライチェーンにおいて、サステナブルで目新しい取り組みを次々と打ち出しています。
【原料調達】サプライヤーとの連携
契約向上や材料サプライヤーと協力し、生産方法やエネルギー調達においても気候変動問題に対してさまざまなアプローチをしています。
具体的には、過去10年間で世界で50台のボイラーを廃止し、最適化・分散化を実施。
これにより、1足のフットウェアを生産するのに必要なエネルギーを10%削減することに成功しています。
【商品開発・製造】低炭素素材での代替
ナイキは、スニーカーやウェアなどの製品の素材に、低炭素の代替素材を使用。
具体的には、リサイクルポリエステルの使用を推進しています。
リサイクルポリエステルとは、再生ペットボトルを使用した素材です。
実際にこの素材を使用することで、毎年10億本分のペットボトルの再利用につながっているそう。
ポリエステルやコットン、レザー、ゴムなどの主要素材のうち、こうした低炭素素材の使用率を50%に引き上げることで、2025年までに50万トンの温室効果ガス削減を目指しています。
【物流】空輸から海運・電気自動車での運搬へ
ナイキの製品を求めている消費者は全世界にいます。
よって、輸送方法の見直しも環境問題への大きなアプローチになるのです。
例えば、最近では製造予定を海運の出航予定に合わせることで空輸を削減し、主要都市への運搬もできる限り電気自動車(電気トラック)に切り替えています。
また、北米にある物流施設(社屋)の電力も、ソーラーパネルからの供給を行なっており、ナイキが所有・運営する施設での温室効果ガスの排出量70%削減を推進しています。
【販売】廃棄物を出さない梱包
廃棄物の約30%は梱包材とも言えるほど、梱包には多くの資源が使われています。
ナイキの配送センターでは、再利用な箱やカートンを導入し、見えないところまで企業努力を行なっています。
例えば、新しいデザインのシューボックスを使用するだけでもCo2排出量を半減させることに成功。
返品用のラベルやビニール袋、シューズのつま先の詰め物に至るまで、あらゆる梱包材を見直しています。
【販売後】使用済み製品の再利用
使用済みの製品をクリーニングして店舗で販売する「ナイキ・リファービッシュド」も始めています。
返品された製品や使わなくなった製品を再生し、他の製品に負けない価格で市場に戻すという循環型のビジネスモデルです。
エアー・ジョーダンをはじめとしたナイキのヒット商品は、中古品価格が定価を上回ることも珍しくありません。
「ナイキ・リファービッシュド」のビジネスモデルは、ナイキ製品は中古品であっても非常に価値が高いという特徴を活かしています。
もともとサイズが合わなかったなどの理由で返品されたスニーカーはそのまま廃棄されたり、アウトレット販売をしていましたが、「ナイキ・リファービッシュド」により、再度店舗販売するという選択肢が増え、スニーカー全体の寿命を伸ばし、廃棄を減らすことに成功しています。
参照元:ナイキのサステナビリティの取り組み|ナイキ 公式HP
まとめ
今回は、誰もが知る有名ブランド「ナイキ」のサステナブルな取り組みについてご紹介しました。
シューズやウエアといったアパレル製品は、消費者のニーズに合わせてどうしても安かろう悪かろうな製品が多く市場に出回ります。
しかし、サステナビリティの重要性が叫ばれる昨今、今後ブランドの価値は、従来の製品のデザイン性や質だけではなく、「地球環境への優しさ」も大いに影響を及ぼすでしょう。
「決して安価ではないけれど、それでも欲しい!」と消費者に感じさせるブランディングも含め、今回ご紹介したナイキの事例は非常に参考になるのではないでしょうか。
本記事を通じて、少しでもサステナブルな観点を持った購買につなげていただけたら幸いです。