近年「SDGs」に関するニュースを耳にすることが多いですが、国内印刷業界最大手の凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)では、SDGsが謳われる20年以上も前から環境保全に配慮した活動に取り組んできているのをご存知でしょうか。
今回は、凸版印刷が行うSDGsに対する活動の中でも特に「フードロス低減」や「プラスチック使用量削減」に貢献する具体的取り組みを中心にご紹介していきます。
凸版印刷のSDGs達成への取り組み
凸版印刷は、2019年11月に「TOPPAN SDGs STATEMENT」を策定・公表しました。凸版印刷が実現したい社会を「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」とし、SDGsの経営への統合と取り組み強化を宣言しました。
さらに、事業活動の中で特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」を2020年11月に策定し、凸版印刷の事業を通じて取り組むべき「事業活動マテリアリティ(重要課題)」の3グループ、「サステナブルな地球環境」「安全安心で豊かなまちづくり」「心と身体の豊かさと人のエンパワーメント」それぞれに3つの注力分野を特定しています。
凸版印刷は「社会的価値創造企業」を目指し、「TOPPAN Business Action for SDGs」で定めた各注力分野の取り組みを強化していくとともに、ステークホルダーの皆さまと共に「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」の実現に向けたチャレンジを進めていきます。
参照:凸版印刷、「TOPPAN Business Action for SDGs」を策定
凸版印刷が掲げる中期経営計画 “Digital and Sustainable transformation”
凸版印刷は、2021年5月に発表した「中期経営計画」で、経営戦略にSDGs視点を織り込むために設定したビジネスアクションの数値を公表。
凸版印刷が目指す姿を”Digital「DX」and Sustainable「SX」transformation”「DX」と「SX」によって、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーを目指す方針を公表しました。
「DX」と「SX」を地球や社会の急速な変化に対応した課題解決策として提案し、サステナブル社会の実現に貢献していくことを目指しています。今回は、「SX」を活用した組の中で「環境対応包材」の取組みをご紹介します。
凸版印刷の取組:環境対応包材「S-Value Packaging」の展開
1900年の創業時に、煙草のパッケージを印刷していた凸版印刷は、様々な顧客ニーズ・テクノロジー・環境の変化に対応し、パッケージの進化・発展を長年牽引してきました。
「SX」の取り組みのひとつとして、持続可能な社会に貢献するためのパッケージのブランド「TOPPAN S-VALUE™ Packaging」を2021年2月に策定しました。
パッケージの原料調達、設計、製造、使用、リサイクルの製品ライフサイクル全体を通して、環境リスク、社会的リスクの最小化をはかる「サステナブルパッケージソリューション」を提供しています。
取組み①:フードロス低減に貢献する透明バリアフィルム「GL BARRIER」
フードロス低減のためには、食品の「賞味期限をより伸ばす」ことが必要です。このためには、パッケージの中に酸素と水分の侵入を防ぎ、食品の変色、腐敗、味の変化が起こらないようにする取り組みが有効です。
凸版印刷が「印刷テクノロジー」を活用して開発した透明バリアフィルム「GL BARRIER」は、世界最高水準の酸素・水分のバリア性能を持っており、凸版印刷は「GL BARRIER」を使って、様々なニーズ、用途、ライフスタイルに寄り添うパッケージを開発しています。
私たちがコンビニエンスストアなどでよく見かける、電子レンジでそのまま温められるレトルト食品でも、「GL BARRIER」が使われています。
今後も凸版印刷は、この「GL BARRIER」をフル活用し、「フードロス削減」と「消費者の快適な生活への貢献」を両立する、新しいパッケージ製品開発を強化していく方針です。
取組み②:プラスチック使用量削減に貢献する「紙素材のパッケージ」
プラスチック使用量削減が求められる中、「プラスチックをほかの材料に変える」手段の一つとして、「紙素材を活用したパッケージ」に注目が集まっています。
凸版印刷は、40年以上前から、日本酒などの紙パックの生産を行っており、これまで培った紙製パッケージの技術を活用し、多様な「プラスチック代替の紙製パッケージ」を開発しています。
日本酒などの紙パックの技術を、シャンプーやボディーソープなどに展開したのが「キューブパック」です。紙パックは、紙の貼り合わせた部分から水が浸水するため、お風呂や洗面場などの水回りでの使用が難しかったのです。
ですが、「キューブパック」では、日本酒の紙パックとは全く異なる新構造を採用。紙を貼り合わせた部分が無い底面を実現し、水回りで紙パックを使用することを可能にしました。「キューブパック」への置き換えにより、従来のプラスチック容器よりも石油由来材料の使用量を55%削減することが可能です。
そのほかにも、プラスチックトレー代替の紙製トレー「グリーンフラット」、プラスチック製軟包材代替の紙製軟包材「紙製チャック付きスタンディングパウチ」など、紙素材のパッケージ製品のラインナップの拡充を図っています。
まとめ ~消費者である私たちができること~
凸版印刷は、1900年の創業からパッケージ事業に携わってきた企業として、「サステナブルトランスフォーメーション(SX)」をキーワードに、サステナブル社会実現に向けた、環境対応包材を開発しています。
消費者である私たちは、こういった環境対応パッケージについて関心を持って製品を購入することや、使用済パッケージの分別・回収に協力することが、サステナブル社会の実現に貢献することだと考えています。