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スウェーデンの社会保障の特徴と日本とアメリカとの違い

スウェーデンは福祉大国として有名な国で、またスウェーデンに暮らす人の幸福度ランキングは常に上位をキープしています。
その理由はなんでしょうか?

この記事では、スウェーデンの社会保障の特徴と日本とアメリカとの違いをご紹介します。

スウェーデンってどんな国?

スウェーデンってどんな国?

まず、スウェーデンがどのような国か簡単にご説明します。

スウェーデンはヨーロッパの北部にあり、スカンジナビア半島に位置します。
スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・フィンランド・アイスランドの5カ国を指し、北欧と呼ばれています。

国の大きさは、日本より少し大きい45万㎡で、人口は約1000万人と東京23区くらいの人口です。
鉄鉱石や水産、森林、観光など資源に恵まれていることもあり、生活水準は高く比較的安定している国と言えます。

国土の半分が針葉樹林に覆われており、古代遺跡がいくつも存在する島や、鉄鉱石などの古い鉱脈、湖など自然豊かな国です。
また、オーロラが見られることでも有名です。

スウェーデンが福祉国家として注目されるわけ

スウェーデンが福祉国家として注目されるわけ

スウェーデンの税率は6~25%と決して低いとは言えません。

その内訳は以下です。

・交通機関6%
・食料12%
・贅沢品25%

しかし、税率が高くても幸福度ランキングの常に上位をキープしているスウェーデン。
それは、福祉国家として社会保障制度が充実し、国民が満足しているからです。

社会保障制度とは?

社会保障制度とは、病気やケガ、介護や障害、失業などにより、当たり前の日常を過ごすことが困難になった場合、私たちの最低限の生活を支えてくれる制度です。

社会保障制度の具体的な制度内容は、

・社会保険
・社会福祉
・公的扶助
・健康医療・公衆衛生

の4つの制度が柱となっています。

日本では、病院に行ったときに自己負担額が3割ですむのは、こういった社会全体で支える仕組みがあるおかげです。

それでは、スウェーデンではどのような社会保障制度があるのか見てみましょう。

スウェーデンの社会保障制度の特徴とその歩み

スウェーデンの社会保障制度の特徴とその歩み

日本の社会保障は、年金、医療、介護など弱者となった「引退世代」の人々に向けたものをイメージすると思います。

しかし、スウェーデンの社会保障制度の半分は、保育や教育、育児休暇の手当てなど、「現役世代」に向けた内容が充実しています。
現役世代も恩恵を受けることで社会保障制度の重要さを自分ごととして捉えることで、制度が成り立っているのです。

高い税率を国に納めた分、国民にしっかり還元していることで、税率が高くても国民も納得し、安心して暮らしているのです。

スウェーデンの社会保障制度の歩み

スウェーデンの社会保障制度は長い時間をかけて構築されたもので、その背景には経済構造の変化があります。

1950年頃から人口高齢化が進み、年金制度への問題が生じました。
スウェーデンでは、現役世代が支払った年金保険料がそのまま年金受給者に支払われる形をとっていましたが、高齢者が増えることで不足分が発生し、国庫が補填するか、保険料を引き上げる状況に陥りました。

また、景気悪化により出生率が低下していることで、高齢化だけではなく、少子化の問題も浮き彫りとなり政府と国民が危機意識を共有し、1999年に年金改革が実行されました。

オイルショックやバブル崩壊、リーマンショックなど、過去に何度も経済危機に直面し、苦しい時代があったことで、企業が進化し続けたのです。
経済を成長させないと「社会保障を支えられない」という危機意識を政府、企業、国民が強く意識していることで、スウェーデンの社会保障は実現しているのです。

参照元:スウェーデンの社会保障制度に学ぶ

スウェーデンの社会保障内容

スウェーデンの社会保障内容

スウェーデンの社会保障で特に充実しているのが、子育て支援です。
現役世代に向けた取り組みが多いからこそ、不満なく税金を納める人が多いと言えます。

学費が無料

大学も含め学費が無料です。

医療費が安い

18歳以下は無料です。

子ども手当

スウェーデンでは、男女差のない仕事と育児の両立の支援を推進しています。
育休は夫婦合わせて480日取得することができ、男性の90%が育休を取得しています。

また、育休中は月給の80%が保証されていることで、安心して育児に専念することができます。

介護サポート「コミューン」

日本の市町村にあたる「コミューン」がサービスや支援を行っています。
介護が必要であっても自立した生活を送れるようにサポートするのがスウェーデンの介護の一般的な形です。

家族だけで介護をするのではなく、コミューンがうまく関わりながら介護をすることで介護者も支えているのです。

参照元:スウェーデンにおける国と地方の役割分担|財務省 

日本とアメリカの社会保障制度

日本とアメリカの社会保障制度

スウェーデンと日本では、保証する対象が違います。
また、アメリカとも大きく異なるのでこの章では、日本とアメリカの社会保障制度をご説明します。

それでは、日本の社会制度とアメリカの社会制度はどのようになっているのでしょうか。

日本の社会保障制度

社会保障の割合は、以下のとおりです。

・年金 5割
・医療 3割
・子育て、介護 2割

前章でもお伝えした通り、「現役世代」より「引退世代」に向けた保障内容が多く、日本の社会保障は弱者となった人々を救済することを目的としています。

年金

日本では、20歳以上の全国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2種類があります。
厚生年金に加入している場合は、国民年金と合わせて2つの年金に加入していることになるので「2階建ての構造」と言われています。

原則、老齢基礎年金の受給開始は65歳から。
それ以外にも、遺族年金や障害年金など、保険料を支払っていることで得られるメリットがあります。

介護保険

40歳以上になると介護保険への加入が義務付けられています。

介護保険に加入していることで、介護認定された際に、

・居住介護支援
・訪問サービス、デイサービス、ショートステイ
・施設への入居
・福祉用具に関するサービス
・住居改修(バリアフリー)

などを自己負担1~3割で利用することができます。

子育て

子育ては生まれる前からお金がかかるもの。
妊娠前からの補助金や、近年では少しずつですが仕事と育児の両立のための整備が進んでいます。

・出産手当金・育児休業給付
・産前産後休業中の社会保険料免除
・出産育児一時金
・児童手当

また、「働き方改革」と「新型コロナウィルス」により家庭を重視する傾向もあり、男性の育児休業取得率が上昇しています。
政府の目標には達していないようですが、法の整備や企業における意識の変化による影響とみられます。

参照元:「令和2年度雇用均等基本調査」結果発表をします|厚生労働省

アメリカの社会保障制度

アメリカは、原則として政府は個人の生活に干渉せず、自己責任と連邦制で州の権限が強い傾向にあります。

特徴としては年金については国民一般をカバーする社会保障年金制度がありますが、医療面に関しての制度は存在しません。
医療保障の対象は、高齢者、障がい者、低所得などに限定されています。

そのため、多くの人が民間の生命保険や医療保険に加入しており、保険料は勤務先の企業が一部負担する形で積み立て、退職後に社会保障年金と企業年金を受け取る形になっています。
しかし、病院以外での施設で長期的な介護が必要になった場合、国からの保証がないため介護施設などの費用が大きな負担となります。

また、貧困により民間の医療保険に加入できない人のために、医療保険を提供する社会制度が2つあります。

メディケイド…アメリカ最大の社会福祉制度で、生活困窮者のための公的医療保険制度。
連保制度と州政府による制度で、メディケイドの受給資格や適用範囲は、州によって異なります。

メディケア…65歳以上の高齢者と年齢を問わず身体障害者のための連邦医療制度です。
社会保障年金の受給者は全員メディケアに加入していることになります。

さらに、アメリカでは家庭と仕事を両立するための労働条件規制が少なく、年次有給休暇付与の義務付けもされていませんでした。
1993年に「家族・医療休暇法(Family and Medical Leave Act)」(FMLA)が成立するまで9年かかっています。
しかし、州によって取り組みレベルに差があることや、中小企業などの抵抗もありなかなか定着しない状況にあります。

また、アメリカでは児童や妊婦がいる貧困家庭に対する貧困家庭一時扶助は存在しますが、一般人に対する児童手当などはなく、税制によち子育て支援が行われている形となります。
アメリカの保育料は比較的高く、所得税控除、扶養控除、税額控除などの税額控除により子育て支援を行っています。

参照元:アメリカにおける仕事と育児の両立支援に関する諸政策|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

まとめ

まとめ

福祉大国と言われるスウェーデンの社会保障をご紹介しました。

スウェーデンでは長い歴史の中で構築した社会保障により福祉大国と言われていますが、それを真似したからといって日本がうまくいくかは別問題です。

現在、少子化が進む中、保険料のみでは現役世代に負担がかかるため、税金や借金に頼っており、私たちの子どもたち・孫世代に負担を先送りしていることが課題となっています。

未来を担う子供たちの負担が少しでも軽くなるよう、今私たちができることはしっかりと税金を納めることです。

  • 記事を書いたライター
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