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健康を脅かす土壌汚染、対策としてできることを考えよう

土壌汚染は、長い時間をかけて自然環境や私たちの身体に悪影響を及ぼします。
生態系をも脅かす深刻な問題であり、これまで土壌回復に向けて法の整備もおこなわれてきました。

しかし、問題解決には私たちひとりひとりの行動変容も欠かせません。
それは、私たちの毎日の行動も土壌汚染に大きく関わっているからです。

そこで今回は、土壌汚染の具体的な原因と、土壌回復に向けた対策について解説します。
SDGs「目標15. 陸の豊かさも守ろう」達成のためにも、これから必要となる行動を考えていきましょう。

土壌汚染とは?

土壌汚染とは?

土壌汚染とはさまざまな原因で、土壌に重金属、トリクロロエチレンのような有害物質が混入・蓄積することを指します。

変化がすぐに目に見えないため、有害物質はその土地や人体に蓄積され続けます。
その結果、長い時間をかけて自然環境や私たちの健康を脅かします。

トリクロロエチレンはたとえ低濃度であっても、長い期間摂取し体内に蓄積されると、指のふるえや神経過敏など神経系の影響が表れると言われています。
そうした健康被害を防ぐため、早期の対策が必要です。

また、一度汚染された土壌を元に戻すには、長い年月と労力がかかります。
なかには土質の変化によって樹木が枯れ、復元ができないケースもあります。

そうした事態を防ぐため、まずは土壌汚染そのものを防げるよう、対策が求められています。

土壌汚染による5つの問題

土壌汚染による 5つの問題

土壌汚染が引き起こす問題として、大きく5つの問題が考えられます。

どんな影響があるのか、それぞれ見ていきましょう。

1. 森林破壊

土壌汚染による問題としてまず考えられるのが、森林破壊です。

有害物質が土壌に浸透・蓄積することによって、樹木が枯れる、発芽しないといった問題が起きます。
森林破壊が深刻化すると、森林の生態系が崩れる、地球温暖化など別の問題にも繋がり、環境への影響はより大きくなります。

2. 資源不足

土壌汚染によって樹木の生育に悪影響が出ると、木を利用した資源が不足します。
木材、紙といった資源がなくなれば、私たちはこれまでと同じ生活はできなくなるでしょう。

現状、土壌汚染が直接そこまでの影響を与えていないとしても、森林伐採や地球温暖化といった他の環境問題も影響し、資源不足の懸念は払拭できません。

3. 水質汚染

土壌に浸透した有害物質は一般的に、水や空気のように移動しないため、その影響範囲は狭いと言われます。
しかし汚染された土が雨風で川や海に流れ込むことが考えられ、決して狭い範囲の問題とは言いきれません。

川や海に流れ込んだ有害物質は、魚や貝の体内に蓄積され、水中の生態系にも悪影響を及ぼします。
さらに、井戸水は直接影響を受けるため、飲料水も安全でなくなってしまいます。

4. 食糧不足

有害物質が土壌に浸透することで、植物の生育に影響を及ぼします。
つまり、農用地が汚染された場合、私たちが食べる穀物や野菜、果物にも影響が出ます。

具体的には、生育過程で枯れる、実らないといった問題から、食糧不足に陥るリスクが考えられます。
また、食糧不足回避のために、設備投資や品種改良といった対策がとられることで、食糧品の価格が高騰することも考えられます。

そのほか、土壌汚染が招く水質汚染によって魚貝類の体内に有害物質が蓄積する、収穫量が減少することで食糧不足に陥る懸念があります。

5. 健康被害

土壌汚染は、私たちの健康にも影響をおよぼします。

例えば、汚染された土壌で実った野菜や果物、有害物質を含んだ魚貝類を食べることで、それらに含まれる有害物質を体内に蓄積してしまう事態が考えられます。

また、土壌の有害物質が溶け出した水を飲んでしまったり、有害物質を含む土が誤って直接口に入ってしまったり、肌に触れることも健康被害の原因となります。

土壌汚染を引き起こす4つの原因

土壌汚染を引き起こす 4つの原因

私たちの生活環境に多くの影響を及ぼす土壌汚染の原因は、大きく4つあります。

土壌汚染の原因は、工場や大きな企業の企業活動による影響が大きいと思われがちです。
しかし、私たちひとりひとりの行動も、土壌汚染に大きく影響しています。

その影響度に差はあるものの、対策を考えるうえで原因を知ることが重要です。

それでは、各原因を詳しく見ていきましょう。

1. 車や工場の排ガス

車や工場から出た排気ガスに含まれた有害物質が、雨に含まれて土壌に浸透することで汚染の原因となります。

これに対し、工場や事業所から排気される大気物質は排出基準が定められています。

そのほか、有害物質を含むガスの排出量が多いディーゼル車に関しては、政府は環境性能に優れたクリーンディーゼル車への切り替えを推進しています。

2. 産業排水

環境改善に対する各企業の活動は、さまざまな工夫や努力とともにおこなわれています。
しかし、意図しない事故やミスによって、有害物質が土壌に流出してしまうことがあります。

これは産業に限らず、農業も当てはまり、農家で使われた肥料の殻がマイクロプラスチックとして海に流出し、土壌汚染に繋がることもあります。

また、肥料の製造過程で、有害物質であるカドミウムや水銀が流出する懸念もあり、対策が検討されています。

3. 廃棄物の不適切な取り扱い

有害物質を含む廃棄物の不適切な取扱いや不法投棄によって、それらが雨風にさらされ、有害物質が漏れ出ることがあります。

不法投棄は事業者だけでなく個人によっておこなわれることもあり、個人に対しても厳しい罰則が設けられています。

4. 生活排水

一見関係のないように思える私たちの生活排水も、実は土壌汚染の原因となっています。
例えば、歯磨き粉や洗顔料に使われるマイクロビーズは、原料としてプラスチックが使われています。

つまり、排水と同時にマイクロプラスチックとして海に流出します。

その水が蒸発して雨雲になり、雨が降ることで、土壌が汚染されます。
その後、その土壌で育った野菜や果物などを食べることで、私たちは体内に有害物質を取り込んでしまうのです。

土壌汚染を食い止める「土壌汚染対策法」

土壌汚染を食い止める 「土壌汚染対策法」

土壌汚染、そして、その影響による健康被害をなくすため、2003年2月15日に「土壌汚染対策法」が施行されました。
この法律により、有害物質を取り扱っていた工場が廃業、移転する際の跡地について、土地の所有者が土壌の汚染状況を調査し報告することが義務付けられました。

またその結果、健康被害が生じる恐れがある場合は、その区域を指定区域として台帳を作成して情報公開することも定められています。

指定区域となった場合、汚染された土を綺麗な土で覆う、浄化するなどの対策が規定されていて、必要な作業や費用は汚染の原因となった事業者または土地所有者が捻出します。

さらに、信頼性確保のため、土壌の汚染状況調査は環境大臣が指定した調査機関が行うなど、徹底したルールが定められています。

この法律に基づき、各自治体や企業も対策を講じ、汚染状況の早期発見や改善へと繋がっています。

土壌改善のために私たちにできること

土壌改善のため 私たちにできること

土壌汚染の問題は、私たちの生活にも密接に関わっています。
これまで、法整備や企業努力などによって、土壌汚染を防ぐさまざまな対策が講じられています。

しかし、個人の生活行動までは規制できず、土壌汚染を防げきれないという問題があります。

そこで私たちができることとして、次のようなことが考えられるのではないでしょうか?

・できる限り、公共交通機関を使う
・生活排水そのものを減らす
・マイクロプラスチックの使用をなくす
・プラスチックごみを減らす
・環境活動に注力している企業・農家などに対し、購買行動を通じて応援をする

こうしたアクションによって、私たちの生活行動で排出される有毒物質を少しでも減らし、土壌汚染を防ぐことができるでしょう。

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