持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」は、2015年に国際連合加盟国によって採択されました。
SDGsに関する情報に触れる機会が増える一方、SDGsを採択した国連加盟国について、詳しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、国連加盟国についてより詳しく知りたい方に向けて、加盟している国や各国のSDGs達成状況について、掘り下げて解説します。
国際連合が果たす役割についても紹介するので、ぜひ、今後ニュースや新聞で情報を得る際の参考にしてください。
「国際連合」が果たす役割とは
国際連合(以下、国連)の役割は、世界の平和と安全を維持することです。
その役割を果たすため、国連は、世界の平和や安全を脅かす“あらゆる問題”を平和的手段によって解決します。
国連のはじまりは、1945年10月に遡り(さかのぼり)ます。
前身である「国際連盟」が第二次世界大戦を防げなかった反省を踏まえ、名称を「国際連合」に改めました。
設立当初は、51ヶ国が加盟していて、日本は1956年12月に、世界で80番目に加盟しました。
参照元:国連とは|外務省HP
SDGsを採択した「国連加盟国」とは
国連加盟国には、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の先進7ヶ国で構成される「G7(ジーセブン)」をはじめ、アフガニスタンやボスニア・ヘルツェゴビナも名を連ねています。
また、日本が国として承認していない北朝鮮も、国連に加盟しています。
SDGsは、2015年に当時加盟していた193ヶ国によって採択されました。
2021年3月現在、加盟国数は増減していません。
国連に加盟していない国は、3ヶ国
外務省によると、日本が承認している国のうち、国連に加盟していない国が3ヶ国存在します。
具体的には、バチカン、コソボ、オセアニア東部にあるクック及びニウエが未加盟国です。
日本が承認している195ヶ国に日本を加えると、2021年3月現在、世界には196ヶ国が存在することとなります。
そのうち未加盟国3ヶ国は約1.5%に該当し、残る約98.5%が国連加盟国であると言えます。
国連加盟国のSDGs達成度ランキング
国連加盟国におけるSDGsの達成状況は、毎年、ドイツの「ベルテルスマン財団」と「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」によってレポートが公開されています。
193ヶ国のうちデータが揃っている165ヶ国の達成状況がランキング形式で示されているほか、国別にSDGsの目標ごとの達成状況も公開されています。
2021年のレポートによると、上位10位はヨーロッパの国々が占めています。
※「Sustainable Development Report 2021」をもとに作成
達成度を示すスコアがもっとも高い国は、フィンランドです。
次いでスウェーデン、デンマークがランク入りしていて、いずれもスコアは85を超えています。
しかしレポートの冒頭文では、新型コロナウイルス感染症の流行拡大が、SDGs達成に向けて深刻な課題となっていることが述べられています。
パンデミックによって失業率、貧困率が上がっていて、パンデミックの状況が続く限り、改善に対する期待は薄いとしています。
引用:Ranking│Sustainable Development Report
SDGsの達成状況が示された地図上では、達成度のスコアが高い国ほど濃い色で示されています。
この地図から、ヨーロッパの達成度が高い一方、アフリカ諸国の達成度が低いことがわかります。
ランキングでは中央アフリカ共和国がもっとも低い165位で、スコアは38.27となっています。
日本の達成度状況
引用:Ranking│Sustainable Development Report
ヨーロッパの国々がハイスコアを示す一方、日本のスコアは79.8となっており、ランキングでは18位です。
2020年は17位であったため、前回から順位を落としていることになります。
G7のランキングは、以下の通りです。
※ランキング順、( )はスコア
ドイツ | 4位(82.48) |
フランス | 8位(81.67) |
英国 | 17位(79.97) |
日本 | 18位(79.80) |
カナダ | 21位(79.16) |
イタリア | 26位(78.76) |
米国 | 32位(76.01) |
日本は、G7のランキングにおいては中央に位置しています。
しかし、スコアがもっとも高いドイツと比較すると2.5ポイント以上の差があり、今後もスコアを伸ばす努力が必要です。
引用:Ranking│Sustainable Development Report
17あるSDGsの目標ごとの進捗に対する評価では、「4. 質の高い教育」「9. 産業と技術革新の基盤づくり」「16. 平和と公正」について緑色で示され、「達成」と評価されています。
しかし、「5. ジェンダー平等」「13. 気候変動」「14. 海の生物多様性」「15. 陸の生物多様性」「17. パートナーシップ」について赤で示され、進捗不十分であるとされています。
SDGs達成には 国連加盟国による国際協力が不可欠
今回は、国連に加盟している国や各国のSDGs達成状況について解説しました。
国ごとに持っている資金や情勢、解決すべき課題が異なり、SDGs達成に対する難易度も異なります。
そこで、各国の自助努力に加え、国際協力も欠かせません。
例えば、既に日本がおこなっているように、教育が体系化していない、あるいは技術力を持たない国や地域への指導をすることは、国際協力のひとつと言えます。
2030年のゴール達成に向けて、世界全体で動きを加速し、“みんなで”達成するという視点もより大切にしたいものです。
参照元:
・国連とは│外務省HP
・国連加盟国一覧│外務省HP
・世界と日本のデータを見る(世界の国の数、国連加盟国数、日本の大使館数など)│外務省HP
・Ranking│Sustainable Development Report
・【SDGs達成度ランキング】日本は165カ国中18位で1ランクダウン データ整備にも課題│The Asahi Shimbun SDGS Action