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日本と世界の干ばつによる被害例と必要な支援

干ばつは、ひとたび起これば甚大な被害をもたらす災害です。
日本で生活していると、その被害を身近に感じることは難しいのではないでしょうか。

しかし、発展途上国では命の危機に直結してしまうほどの災害です。
農作物は枯れ、暮らすための水が不足するので、飢餓や貧困につながってしまうのです。

世界で8億人にもなる飢餓人口の多くは、干ばつや洪水など自然災害が発生しやすい土地に暮らしていると言われています。

本記事では、日本や世界の干ばつによる被害例や必要な支援、水不足がもたらす負の連鎖についてご紹介します。

日本の干ばつ被害例

日本の干ばつ被害例

まずは、日本で起きた干ばつの被害例を見ていきましょう。

西日本

1994年、西日本で起きた干ばつは「平成の大渇水」と呼ばれています。

暖冬による少雪、はやい梅雨明けによる少雨、猛暑が重なり、西日本という広い範囲で水不足となりました。
西日本の各地で給水制限や夜間断水が行われ、福岡市では夜間断水が295日にもおよびました。

四国の早明浦(さめうら)ダムは完全に干上がり、貯水率は0%に。
高松市では5時間給水となり、各地の工場では海上輸送で水を確保する事態となりました。

参照元:平成の大渇水|ウェザーニュース

北海道 紋別市

2021年夏、北海道紋別市で干ばつが発生し、農作物に災害級の被害が発生しています。
降水量は平年の1割未満、平均気温も平年より2~3度高く、100年に1度と言われるほどの少雨と高温が続いていました。

タマネギの変形、牧草などの飼料作物の収穫量大幅減、農作物が枯れるなどの被害が出ており、雨が降っても回復は見込めず、被害は拡大する見通しです。

また、猛暑により牛の日射病も増え、乳量や乳牛の受胎率の低下が見込まれています。

参照元:渇く北海道 「災害級」干ばつ 深刻な農作物被害|日本農業新聞

世界の干ばつ被害例

世界の干ばつ被害例

続いて、世界の干ばつ被害例をご紹介します。

ジンバブエ

2019年、アフリカ南部では1980年代以降で最悪の干ばつが発生しました。

世界自然遺産ビクトリアの滝が干上がり、ジンバブエの首都ハラレでは断水が常態化。
ダム湖の水位低下で、銅やコバルト鉱山への電力供給が滞ることとなりました。

また、穀物生産が半減し、周辺国と合わせて推定600万人が深刻な食料不足に陥りました。

アフリカでは、設備不足により水資源の有効活用が進まないことや違法な森林伐採が原因で、干ばつの影響が広がりやすいという問題も抱えています。

参照元:アフリカ南部 大干ばつが経済に深刻な打撃|日経新聞

マダガスカル南部

2021年、マダガスカル南部は過去40年間で最悪の干ばつに見舞われ、農作物の収穫が困難となりました。

国連世界食糧計画(WFP)によると、114万人以上が食料不足となり、このうち1万4千人は深刻な飢餓の危機に直面。
食料を求めて移住したり、樹木の皮などで飢えをしのいだりする人があふれました。

参照元:気候変動とコロナで食料不足深刻 20年飢餓最大8.1億人|日経新聞

東南アジア

アジア6カ国にまたがるメコン川一帯で、2019年に干ばつが発生。
北部の地域では川の水が干上がり、大河であるメコン川は小川のように姿を変えました。

川には藻が繁殖し、漁獲量は激減。
メコン川とつながる川や湖も水位が保てず、魚が大量死する事態となり、多くの漁師が廃業を余儀なくされました。

下流域では、水不足や塩害でコメの生産量が伸びず、価格が高騰しました。

しかし、メコン川が干上がったのは干ばつだけが原因ではなく、周辺国の相次ぐダム建設も大きな原因とされています。

参照元:渇く大河メコン川 記録的な水位、希少イルカの運命は|NIKKEI STYLE

オーストラリア

オーストラリア大陸は世界で最も雨が少なく、地球温暖化の影響を受けやすい地域です。

2019年前後、オーストラリア東部では2年におよぶ大干ばつが発生。
小麦などの農作物は壊滅的な被害を受け、最大の被害を受けた地域では生産量が90%落ち込みました。

その対策として、国外の病害虫の侵入が懸念されながらも、政府は小麦の大量輸入を承認する事態となりました。

参照元:豪州、干ばつで10年ぶりに小麦輸入へ|日経新聞

必要な支援は災害への対応力を身に着けること

必要な支援は災害への対応力を身に着けること

発展途上国では、干ばつなどの自然災害に対応する力や設備が不足しています。
そのような地域には、物資や医療などの緊急的な支援だけではなく、災害への対応力を身に着けるための支援も大切です。

その支援の例として、以下のような取り組みが行われています。

・安定的に水を得るため、降雨量に左右されにくい深い井戸を掘る
・農作物の栽培や牧畜以外の生計手段を確保する(多様な収入源)
・雨期と乾期(干ばつと洪水)がある地域に合った作物や栽培方法を導入する

このような支援は、機械を与えたり方法を伝えたりして支援を終えるのではあまり意味がありません。
現地の人々を主体として取り組み、彼ら自身で設備をつくり持続的に管理できるようにすることが重要です。

水不足がこどもの未来を奪う

水不足がこどもの未来を奪う

安全な水を確保できない人は世界で6億人以上にのぼり、年間30万人もの乳幼児が不衛生な水により命を落としています。

そのような地域での日々の水汲みはこどもたちが担っており、一日数時間をかけて遠い水場まで水を汲みに歩きます。
もちろん、学校に通って教育を受ける時間はありません。
教育を受けられず、読み書きもできないまま大人になれば、収入を十分に得ることも困難になります。

水不足が、こどもたちの未来をも奪ってしまいかねないのです。

しかし、逆を言えば、身近で安全な水を確保できれば、多くのこどもたちの命を救い、教育を受ける機会をつくることも可能なのです。

SDGsの6番目の目標は「安全な水とトイレを世界中に」です。
誰もが安全で安価な飲料水を当たり前に確保し、衛生的にトイレを利用できるための環境づくりが進められています。

まとめ

まとめ

干ばつによる日本や世界の被害例などをご紹介しました。

日本のような先進国の事例をみると、経済や日常生活に影響は出るものの、命の危険を感じることは少ないように思います。
しかし、発展途上国では、飢餓や貧困、命の危機に直結してしまいます。

また、森林伐採やダム建設など、人による環境破壊が自然災害の被害を拡大させる一因であることも見えてきました。

私たち個人にできることは、発展途上国で支援活動を行う団体や企業を支持・サポートすることです。
また、現地で起きていることを知ることもひとつの貢献となります。

スマートフォンを使って、気軽に情報を得たり共有したりしてみてはいかがでしょうか。

  • 記事を書いたライター
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三木めぐみ

専業主婦として家族の転勤で各地を転々とする中、転勤や長時間労働など「働き方」に疑問を感じる。育児との両立・働きやすさを考えた末、2020年にライターとして起業。 SDGsの理念「誰ひとり置き去りにしない」に感銘をうけたことが、SDGsの記事を書くきっかけとなった。

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