ファストファッションは、安価で気軽に楽しめるアイテムです。
しかし一方で、ファッション業界が原因の環境汚染が深刻化しています。
ファッション業界は多くの資源を消費し、環境汚染の原因だとも言われているのです。
ファストファッションは、短い周期で買い替える傾向が強いため、服の廃棄量が増えゴミ問題も深刻化しています。
また、服を製造する過程での河川の汚染など、生産工場周辺の環境汚染は近年問題視され始めました。
今回は、私たちが普段している行動から発生している身近な環境汚染から、服の製造工程で発生している環境汚染について紹介します。
服の消費量が増えることで起こる身近な環境汚染
ファストファッションは安く手に入りやすい一方で、長い期間着続けることを想定している人は少ないでしょう。
それゆえに気軽に洗濯を繰り返し、トレンドが過ぎてしまうとすぐに捨ててしまう傾向は強いです。
私たちがファストファッションの服で起こしている、身近な環境汚染について紹介します。
私たちはマイクロプラスチックを垂れ流している
マイクロプラスチックとは、5㎜以下の微細なプラスチックの粒子のことです。
マイクロプラスチックは石油由来のものなので、自然界に流れ出たとしても自然分解されず自然界で残り続けます。
そして、川に流れ出しやがて海へたどり着き、海に蓄積し続けているのが海洋汚染として問題になっています。
マイクロプラスチックはさまざまな原因で発生しますが、石油由来の合成繊維でできた服を洗濯することでも発生します。
安い服は合成繊維で作られるものが多く、それらを洗濯し続けている私たちは、ほぼ毎日マイクロプラスチックを下水とともに垂れ流しているのです。
すぐ捨てることでゴミを増やし資源を捨てている
ファストファッションは、トレンドに合わせて大量に生産され安価に手に入る一方、流行が過ぎてしまうと私たちはすぐに廃棄してしまいます。
着なくなった服をリサイクルに回したりすることもあるでしょう。
しかし、日本国内で捨てられる服の約68%は、可燃や不燃などのゴミとして処分されているのです。
ファストファッションが浸透するにつれ、ゴミ問題も深刻化しています。
また、服を製作するためには、大量の資源が使われCO2の排出量も多いです。
ファストファッションは気軽に手に入るため、長く着ずにすぐに捨ててしまう傾向が強いため、服に使われた大量の資源を私たちは気軽に捨てているのです。
参照元:ファストファッションと環境汚染の関係|資源を捨てている私達|環境省
ファッション産業による深刻な環境汚染と資源消費の問題
ファストファッションの登場によって、服を購入して処分するサイクルが一段と速まりました。
もともとファッション産業は、資源を大量に消費する産業として有名です。
ここでは、ファッション産業による水などの資源の大量消費や、環境汚染の実態を解説します。
ファッション業界は世界で2番目に水を多く使う産業
服を扱うファッション業界は、世界で2番目に多くの水を使う産業として有名です。
また、環境汚染度もとても高い産業とも言われています。
服の生地のために育てる綿花は、とてもたくさんの水が必要です。
また、服をカラフルに染めるために染料を使うためにも水が多く消費されます。
特に有名なのが、ジーンズ1本を製造するために必要な水は、最大で10,000リットルを超えるとも言われています。
この量は、1日に1人の大人が飲む水の量の10年分と言われているほどです。
水を大量に使うことで従来あった湖が干上がるなど、水不足が深刻化する地域が発生しています。
有害物質の使用による環境汚染
布の染料などを綺麗に発色させるために、人体に有害な物質を使って染め上げ、その汚水が工場付近の川などに流れ込み、環境汚染になってしまっていることも問題になっています。
新興国にあるファストファッションの生産工場付近の川が、カラフルな色になってしまっている事例が実際に報告されています。
また、生地を作るための綿花を栽培している畑では、大量に農薬を使っている畑がまだまだ多く、そこで働く人の健康問題にもつながっています。
ファッション業界は大量のCO2を排出
地球上で人間が輩出しているCO2(二酸化炭素)のうちの約10%は、ファッション業界によるものだと言われています。
ファストファッションは、特に効率化が求められるもの。効率良く服を製造するためには多くの機械が使われます。
そして、その機械を動かすために電気などのエネルギーが必要です。
使われるエネルギーは石油由来のものが多いため、CO2の排出量は多くなります。
ファッション業界が排出するCO2は、航空業界と海運業界の排出量を足しても多いと言われるほど莫大な量なのです。
服によく使われている合成繊維は石油由来
服の布地に良く使われている繊維は、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維です。
この合成繊維は、石油由来の繊維です。
合成繊維の原料が石油と言うこともあり、資源が使われているとわかるかもしれません。
それに加えて石油を採掘し、精製して加工するなどで、さらにエネルギーが必要になります。
合成繊維のポリエステルを製造するためには、自然由来の綿花に比べると約3倍のエネルギーが必要とも言われていて、合成繊維には膨大なエネルギーが使われているのです。
ファストファッションによる環境汚染を知って服を大切に扱おう
ファストファッションは、気軽にトレンドの服が手に入れられる一方で、すぐに廃棄されやすく、ゴミ問題を深刻化させています。
また、私たちは家庭で合成繊維の服を洗濯することで、マイクロプラスチックを河川に垂れ流しています。
ファストファッションだけではありませんが、服を製造するには水や石油などの資源が大量に使われています。
また、製造過程で発生するCO2の量も膨大です。
ファッション業界による環境汚染は深刻な問題になっていますが、ファストファッションの登場によって、さらに加速しているとも言えるでしょう。
私たちは、服に多くの資源が使われていることを知り、1着1着を長く大切にすることを意識することが必要です。
また、すぐに服を買い替える習慣を、見直さなくてはいけないかもしれません。