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マイクロプラスチックが生態系に与える影響とは?魚や人への影響を解説

マイクロプラスチックは有害なものと考えられており、生態系に悪い影響を与えると言われています。

世界中で問題意識が広がっているにもかかわらず、多くの人々によるポイ捨てなどによって、今も排出され続けています。

増え続けるマイクロプラスチックによって、人体や魚などの海洋生物はどうなるのかを解説します。

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マイクロプラスチックが生態系に与える影響


マイクロプラスチックは魚などの海洋生物や人体に、どのような影響を与えるのかを確認していきましょう。

魚などの海洋生物への影響

マイクロプラスチックは魚などの海洋生物に悪影響を及ぼしていると考えられており、生物や環境条件によって受ける影響は変わると言われています。

マイクロプラスチックは5mm以下という小ささで、海のあらゆる場所に存在しており、様々な種類の海洋生物によって誤食されています。
海鳥や魚の消化器官に詰まったり、消化器官の内部が傷つけられて栄養失調の原因になることもあるようです。
また、生物は食べ物であるかを判別することができず、サンゴが好んで食べていたという研究報告もあります。

マイクロプラスチックは汚染物質を吸着する性質を持っており、これらの汚染物質は海水中に存在しています。
既に様々な生物によって取り込まれ、濃縮されているようです。

しかし、海洋生物が毒性物質を吸着したマイクロプラスチックを食べたからと言って、急激に毒に曝されるということはありません。
海水中から検出されるマイクロプラスチックの濃度は、いきなり海洋生物の命を奪うほど危険ではないことが分かっています。

ただし慢性的に摂取し続けると,海洋生物の摂餌能力や成長、そして生殖機能に影響を及ぼします。
ある研究によると、マイクロプラスチックに曝され続けたカキは、生殖能力が阻害されることが明らかになっています。

海に捨てられるプラスチックの量が増え続ければ、海洋生物の個体群や栄養構造、そして生態系全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

鳥などの野生動物への影響

マイクロプラスチックは、鳥などの野生動物にも影響があります。
プラスチックを多く取り込んでいる鳥は、血液検査で中性脂肪が高かったり、カルシウム不足になったりしているという研究報告があります。

そうなると、卵の殻が薄くなり、孵化する前に敵に襲われやすくなり、出生率が低下します。
個体数は減少し、それが続けば種の絶滅に繋がる可能性があるのです。

人体への影響

マイクロプラスチックは、人体にも影響しています。
2018年にオーストラリアで開催された胃腸病学会議では、ある研究における被験者全員の体内からマイクロプラスチック粒子が検出されたという調査結果が発表されました。

なぜ人間の体内にマイクロプラスチックが侵入しているのでしょうか。

それは、人間が魚などの海洋生物を食べるからです。

海洋生物がマイクロプラスチックを誤食し、食物連鎖によって、海で獲れた魚を食べる人間もマイクロプラスチックを食べることになります。
プラスチックは食べても消化されないため、胃や腸を通って外部に排出されます。

しかし、プラスチックに含まれた有害物質は体内に取り込まれ、吸収されることもあると考えられています。

化学物質が使われた調理器具による人体への影響

また、化学物質が使われた調理器具を経由して人間の体内に侵入するケースもあります。
化学物質は体内に蓄積する場合があり、ある研究では癌の発生や免疫の変化を引き起こす可能性があることが明らかになっています。

例えば、パーフルオロ化合物は半永久的に体内に残留する化学物質です。
テフロン製調理器具などに使用されており、WHO(世界保健機関)は使用しないように呼びかけています。

WHOは、そういった化学物質を特定し、使用と生産を中止するための世界協定を結んでいます。
しかし、残念ながらまだマイクロプラスチックに含まれる残留性有機汚染物質の認識が十分ではないようです。

海洋生物や調理器具などを通して、既に私たちの体の中に取り込まれており、見過ごせない問題だと言えます。

環境ホルモンによる人体への影響

環境ホルモンとは、人のホルモンと構造の一部が似た形をもつ化学物質のことです。

マイクロプラスチックから検出される環境ホルモンの濃度は、海水中の汚染濃度の数十万倍と言われています。
汚染物質を吸着したマイクロプラスチックが、私たちの消化器官に蓄積されている可能性があるのです。

環境庁は70種類もの環境ホルモンをリストアップしています。
具体的には、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン、ディルドリン、ノニルフェノールなどです。

プラスチックそのものとマイクロプラスチックに吸着した環境ホルモンによる人への影響は、まだ明らかにはなってはいません。

しかし、ヒトの細胞の室内実験では影響があるという研究報告があります。

日本での研究では、男性の場合、精子数の減少や精子の濃度低下によって、生殖機能が低下すると言われています。
女性の場合、プラスチックから溶け出したノニルフェノールによって乳がん細胞が増殖し、乳がんや子宮内膜症が増えるようです。
胎児の場合、発育初期に大きく関係するため、発育異常や知能への影響が考えられます。

また、ヨーロッパでは、成人男子の精子数が過去40年で半減したという研究結果があります。

もちろん、他の要因も考えられるため、プラスチックに直接結びつけることはできません。

しかし、プラスチックには生殖系に影響を与える環境ホルモンが含まれるということは事実なのです。

さらに、プラスチックの添加剤が生殖系だけでなく、免疫系にも影響を与えることが明らかになりました

生物の体にとって必須な成分、ビタミンや代謝に必要な成分が攻撃されてしまうため、免疫力が下がってしまいます。

様々な添加剤がプラスチックに使われているため、内分泌撹乱作用をしっかりと調べる必要があります。

プラスチックは化学物質の運び屋と言われていますが、添加剤が含まれていれば、海に流れ出たマイクロプラスチックを魚が誤食し、その魚を人が食べるため、人間の体にも添加剤が取り込まれます。

AMPsによる被害


AMPs(Airborne microplastics)とは、大気中に浮遊するマイクロプラスチックのことです。

フランスや中国では、繊維状プラスチックが雨として地上に降り注いでいるという報告がありました。
川を通って海に流されたプラスチックゴミが破砕されてマイクロプラスチックになり、波しぶきとともに大気中に放出されているのです。

全世界で年間14万トンも排出されており、プラスチックは地球表層を循環していることが明らかになっています。

地球の大気は何層かに分かれています。
人間が生活する層を対流圏と言い、地表面の影響を強く受ける大気境界層と、その上にある自由対流圏の二つがあります。

自由対流圏は地表の影響を受けない場所です。
しかし、大規模な低気圧の発達や上昇気流などによって、地表にあるマイクロプラスチックが到達します。
そして、私たちのもとへ降り注いでくるという流れです。

プラスチックには様々な添加剤が使われており、マイクロプラスチックが大気中に浮遊している間に、発癌性がある有害な有機物や重金属を濃縮している可能性があります。

呼吸によって肺の奥に入ってしまった場合の危険性は高く、アスベストと同じような症状をもたらす恐れがあるのです。

また、プラスチックが分解される過程で、温室効果ガスであるメタンが発生します。
さらに、プラスチックは水中よりも大気中の方が数十倍の速さで分解すると言われています。

マイクロプラスチックが自由対流圏まで届き、強い紫外線を受ければ、分解のスピードは速くなり、自由対流圏大気に温室効果ガスが放出されます。

これは地球温暖化に影響を与える可能性があり、多くの研究者たちによって調査が進められています。

まとめ


今回は、マイクロプラスチックが魚や人などの生態系に対してどのような悪影響を与えるのかについて解説しました。

このまま対策をしないと、さらに問題が大きくなっていくのは明らかです。

いま世界ではようやく対策が本格的に取られるようになっていますので、私たちも日常生活で少しでも貢献できるように心がけていきましょう。

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