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パーム油がもたらす環境問題とは?私たちにできる対策も解説!

私たちが日常的によく目にする商品の多くには、パーム油が使用されています。
例えば、加工食品や洗剤、化粧品といったアイテムに使われており、私たちの生活になくてはならない存在です。

しかし、このパーム油の生産が大きな環境問題につながっており、危惧されています。

今回は、パーム油がどのように環境問題を引き起こしているのか、またその対策について紐解いていきましょう。

パーム油とは

パーム油とは

パーム油は、世界で最も多く活用されている植物油です。

原料となるのは「アブラヤシ」という植物で、インドネシアやマレーシアなど、赤道直下に位置するエリアで生産されています。

パーム油が使われているアイテム

パーム油は、液体でも個体でも使えるため使い勝手が良く、様々なアイテムに利用されています。
例えば、パンやスナック菓子、チョコレートなどの食料品の原材料名に「植物油脂」と表示されていれば、大概がパーム油です。

そのほか、代表的なのが石鹸で、従来は他の植物由来の油や牛脂が利用されていましたが、現在ではパーム油が主流となっています。
石鹸に使われる際は「石鹸素地」といった表示がなされることが一般的です。

世界中で利用される理由

パーム油が広く浸透している理由のひとつとして、生産効率の高さがあげられます。

WWF(世界自然保護基金)によると、パーム油を1トン生産するために必要な広さは0.26ヘクタールで、それに対して、大豆油は2,00ヘクタール必要です。
実に、10倍の面積が必要ということになり、いかにパーム油の生産効率が高いかがわかります。

また、年間通して収穫ができることもあり、大量生産が可能です。
そのため、価格も安く、様々な製品に活用されやすいといえるでしょう。

さらに、酸化しにくいといった特徴もあり、インスタント麺や冷凍食品でも広く使われています。

参照元:パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの|WWF(世界自然保護基金)

世界の需要は右肩上がり

現在も広く活用され、その需要は世界一といわれるパーム油ですが、今もなお増え続けています。

WWFによると2010年から2030年の間で、生産量が約3倍にまで膨れ上がると推測されており、こうした生産量増加の背景にあるのが、世界における需要です。
特に発展途上の国に暮らす人にとって、リーズナブルで清潔な生活を担うアイテムとして重宝されるでしょう。

参照元:パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの|WWF(世界自然保護基金)

パーム油がもたらす問題

パーム油がもたらす問題

広く利用されているパーム油ですが、その生産の裏には、様々な問題を抱えています。
特に環境に関する問題は、非常に深刻です。

続いては、パーム油の生産がもたらす問題について解説します。

熱帯雨林の減少

パーム油が最も多く生産されているのは、インドネシアやマレーシアといった熱帯雨林が広がるエリアです。
しかしパーム油の生産に伴い、大規模な農園を作るために豊かな生態系を持つ熱帯雨林が伐採されています。

例えば、インドネシアにあるボルネオ島も、急速にアブラヤシ農園が広がったエリアの一つです。
ボルネオ島は日本の2倍の大きさがあり、1970年には86%が熱帯雨林に覆われていました。
しかし、現在は開発が進み、残っている原生林は5〜10%程度だといわれています。

泥炭地の減少

熱帯雨林と同様に、危機的状況にあるのが泥炭地です。
インドネシアのスマトラ島やボルネオ島には、地球上でも貴重な泥炭地が広がっていましたが、アブラヤシ農園の開発によって減少しています。

そもそも泥炭地は水分を多く含むため、アブラヤシを植えることが不可能です。
アブラヤシを植えるために泥炭地の周辺に水路を作り、木々を伐採し、最後には整地のために燃やします。

しかし、泥炭は空気に触れるだけで二酸化炭素が放出するのが特徴です。
さらに燃やしてしまえば、ますます待機中に放出される二酸化炭素の量は増えるでしょう。

森林火災

パーム油の生産に関する問題として特に深刻だといわれているのが、森林や泥炭地における火入れです。
インドネシアやマレーシアでは森林火災が毎年起こっていますが、その原因の多くが、この火入れにあるといわれています。

特に、アブラヤシを育てるために水が抜かれた泥炭地は乾燥が進み燃えやすくなっているため、乾季に発生した火災は、雨季が訪れるまで完全には消し止められません。
結果的に、大量の温室効果ガスが発生します。

地球温暖化

アブラヤシ農園における森林火災は、深刻な温室効果ガスの排出をもたらしています。

2015年にはボルネオ島、スマトラ島などで、260万ヘクタールもの森林火災が発生しました。
これは、東京都の面積の10倍以上に該当する広さで、野生動物たちは逃げ惑い、人々の暮らしにも大きな影響を与えた出来事です。

さらに、熱帯泥炭地からは温室効果ガスが大量に放出され、その量は16億トンと日本の年間排出量を上回っています

参照元:東南アジアの泥炭・森林火災が日本の年間放出量に匹敵するCO2をわずか2か月間で放出:旅客機と貨物船による観測が捉えたCO2放出国立研究開発法人国立環境研究所

野生動物への影響

パーム油を作るために減少した熱帯雨林や泥炭地は、もともと野生動物たちが暮らす場所でもありました。
しかし、開発によって住処や食べ物を奪われた動物たちは、絶滅の危機にも追いやられています

また、生活圏を脅かされたオラウータンがアブラヤシの新芽を食べるようになり、農家からは獣害として扱われるようになりました。
森を追われたのは、オラウータンだけではありません。
アジアゾウも住処を奪われ、農園に踏み入って人に遭遇し、人命を奪うような事故も起きています。

こうした事故を減らそうと、アジアゾウに毒を食べさせ殺すといった負の連鎖も起こっているのが実情です。

先住民の人権

パーム油の生産によって住処を奪われたのは、野生動物だけではありません。
古くから森に暮らしてきた先住民たちも、被害にあっています。

開発の事実を知らされないまま、森から追いやられる人もあれば、強制労働や児童労働なども問題のひとつです。

パーム油がもたらす影響への対策

パーム油がもたらす影響への対策

生産効率の高いパーム油は、この先も人類にとって欠かせないアイテムとなるでしょう。
しかし、多大な問題を抱えている点は否めません。

現在、世界中ではこうしたパーム油問題に対して、様々な対策が施されています。

パーム油の認証制度

ここ数年、パーム油が使われている様々なアイテムに表示されているのが、「RSPO」マークです。
RSPOとは、Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)という国際組織の略称で、環境や地域社会に配慮したパーム油の生産を広げるための手段として設立されました。

持続可能なパーム油を使っている証しとして、RSPO認証が行われています。
とはいえ、まだまだ浸透しきっていないのが現状であり、より環境に対する意識を高める必要があるでしょう。

参照元:RSPO

消費者ができること

RSPO認証をより浸透させるためにも、消費者がRSPO認証されたアイテムを選ぶことが欠かせません。

また、RSPO認証されたパーム油を使っているにも関わらず、まだマークを導入していないアイテムも多くあります。
そのため、まずは消費者がその事実を知り、適した商品を選びましょう。

消費者の関心はメーカーにも響き、結果的にRSPO認証が浸透することにつながります。

日本企業の取り組み

日本企業の取り組み

日本でも、続々とRSPO認証を取得したパーム油に切り替える企業が増えています。

環境配慮製品やサービスの優先的購入を推進する「グリーン購入ネットワーク」が2018年に公開した「RSPOの報告データを使用した日本企業の認証パーム油の取り組み」によると、日本の製造業ではサラヤ株式会社、味の素株式会社、花王株式会社などがランクインしました。

それぞれの企業の取り組みについて解説します。

サラヤ株式会社の取り組み

サラヤ株式会社は、消毒剤や洗剤などを製造するメーカーです。
創業当初から環境に配慮した考えを製品に反映しており、2004年の段階からボルネオ島での環境保全活動に着手しています。

RSPOについてもいち早く加盟しており、2010年にはRSPO認証のパーム油を使った製品を開発し、販売に至りました。
現在は、業務用を含めた400種類の商品がRSPO認証を取得しているほどです。

参照元:日本企業の認証パーム油の取り組み 日本の製造業でサラヤが1位|サラヤ株式会社

味の素株式会社の取り組み

調味料でもおなじみの味の素株式会社も、2012年8月にRSPOに加盟しています。
2016年の段階でグループ全体の認証油の使用実績は約9%ですが、2020年までには100%の使用率を目指すための目標が掲げられました。

また、2016年に開催された、The Consumer Goods Forum(CGF)主催「JAPAN DAY」では、パーム油特別セッションに食品企業代表として登壇しています。

参照元:持続可能なパーム油への取り組み|味の素株式会社

花王株式会社

洗剤や石鹸で有名な花王株式会社では、2025年を目標にRSPO認証のパーム油使用の拡大や、NGOと協働して行う小規模農園までのトレーサビリティ完了を掲げています。

特に力を入れているのが、インドネシアの独立小規模農園に関するサポートです。
現在、独立小規模農園は生産力が低く、技術力も乏しい上に、経済的にも厳しいといったデメリットがあります。

花王株式会社では、2030年までには約5,000の農家に対して、教育専門チームが行う生産向上のための技術指導やRSPOに関する教育を行い、課題の本質を解決するためのトレーニングプログラムを開始しました。

参照元:持続可能なパーム油調達への取り組み(ハイリスクサプライチェーンへの取り組み)|花王株式会社

まとめ

まとめ

パーム油という固有名詞を聞いただけでは聞きなれないため、ピンとこない人も多いでしょう。
しかし、私たちの生活には欠かせない製品であり、加えて大きな問題を抱えている点も見逃せません。

森がなくなったことで、環境は大きく変わり、動物たちも住処を失いました。
その一方で、パーム油の生産で生計を立てている現地の人も多く存在します。
そして私たちも、パーム油がなくなれば現代の生活を維持することはできないでしょう。

全てのバランスを取るためには、持続可能なパーム油の生産が欠かせません。
この先、多くの企業がRSPOに向き合っていくでしょう。
それに伴い、私たち消費者も認証されたパーム油を選ぶことに意識を向ける必要があります。

小さな行動が熱帯雨林の未来を救い、地球全体の温暖化にも影響していくでしょう。

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