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ファストファッションが原因で起こる環境問題とは?日本の現状と、企業・国の取り組み、私たちにできること

ファストファッションが原因でおこる環境問題。現状や取り組みも紹介!

ファストファッションが原因で起こる環境問題は、CO2排出、大量の水の消費、廃棄される衣類、洗濯で出るマイクロファイバーの4つに大きく分けられます。流行を取り入れた服を安く大量につくり、短い期間で売り切るしくみが、原料の調達から廃棄までのすべての段階に負荷をかけているためです。日本でも事情は同じで、環境省によると衣類の供給量は1990年の約20億着から2024年には約35億着へと約1.8倍に増えました。一方、私たちの購入量は横ばいです。

この記事では、環境問題の現状を最新の数字で整理したうえで、フランスやEUで進む規制、日本の国と企業の動き、そして私たちが今日から選べる行動までをまとめます。

この記事で学べること

  • ファストファッションが環境に負荷をかける4つの理由と、最新の数字
  • 日本の衣類が「供給は増えたのに購入は横ばい」になっている背景
  • フランス・EU・日本で進む規制と回収・リサイクルの動き
  • 「ファストファッション=悪」と決めつけると見落とす点
  • 買う前・着る間・手放すときに使える具体的な行動
目次

ファストファッションの環境問題は何が問題なのか

ファストファッションとは、流行を取り入れた服を安く大量に生産し、短い期間で販売するブランドや業態を指します。問題の中心は「安いこと」そのものではありません。つくる量が、着られる量を上回っていることにあります。

環境負荷は「つくる段階」に集中している

環境省は、日本のファッション産業によるCO2排出量の90%以上が原材料の調達と製造の段階で生じ、とくに原材料調達だけで45%以上を占めるとしています。つまり、洗濯や廃棄よりも前の「服ができるまで」に環境負荷の大半があるということです。国連環境計画(UNEP)も、繊維・衣料分野が世界の温室効果ガス排出の2〜8%を占めると推計しています。幅のある数字ですが、無視できない規模であることは共通しています。

ポリエステルやアクリルといった合成繊維は石油を原料にします。繊維にする工程でも多くのエネルギーを使うため、化石燃料由来の電力に頼る工場ほどCO2が増えます。海外の工場で縫製し、日本に運ぶ輸送の排出も加わります。

水の使用と汚染は、綿の栽培から始まる

環境省によると、国内に供給される衣服の製造に必要な水は年間で約83億㎥にのぼり、そのうち約9割が綿の栽培に使われています。染色や洗浄の工程では排水が出ます。排水規制は各国で整備されていますが、規制の厳しさは地域によって差があります。

UNEPは、繊維産業が使う水を年間で約215兆リットルと推計しています。環境への影響は、水を「使う量」と「汚す量」の両方で見る必要があります。

洗濯のたびに出るマイクロファイバー

合成繊維の服は、洗濯や着用で細かな繊維くずを出します。これがマイクロファイバーで、排水から川や海へ流れ出します。UNEPは、繊維分野が海に流れ込むマイクロプラスチックの約9%の発生源になっていると推計しています。

プランクトンや魚が誤って取り込み、食物連鎖を通じて広がる可能性が指摘されています。人体への影響については研究が続いている段階で、現時点では断定できません。

「天然素材なら安心」とも言い切れない

綿や麻、絹などの天然繊維は、石油由来の合成繊維とは別の課題を抱えます。綿花の栽培は大量の水を使い、農薬や化学肥料の使い方しだいで土壌や地下水に影響が出ます。オーガニックコットンのように農薬や化学肥料の使用を抑えた素材もありますが、流通量は限られます。「天然=環境にやさしい」と単純に言えない点は、素材選びで覚えておきたいところです。

日本の現状|供給は1.8倍、でも着られていない服が増えている

数字を見ると、日本の衣類をめぐる状況が「買いすぎ」だけでは説明できないことが分かります。

供給は増えたのに、購入量は横ばい

環境省によると、衣類の供給量は1990年に約20億着、2024年に約35億着で、約1.8倍になりました。ところが、国内での購入量は1990年と比べて横ばいです。この差は、つくられたものの売れ残りや、在庫として処分される服が増えている可能性を示します。

一方、1着あたりの価格は下がってきたと言われます。安くなったぶん、気軽に買って、あまり着ないまま手放す流れができやすくなりました。

1人あたり、年に約11着を手放し、約24枚は着ていない

環境省は、私たちが1年間に約2着をリペア(修繕)し、約11着を手放していると示しています。また、1年間に一度も着られていない服が1人あたり約24枚あるとしています。

クローゼットで眠っている服は、買った時点では環境負荷を使い切っています。着ないまま手放せば、その負荷は何の役にも立たずに終わります。

家庭から出る衣類のうち、焼却・埋立は年間約50万トン

環境省によると、日本の家庭から焼却・埋立される衣類は年間約50万トンです。1日あたりに直すと、大型トラック約130台分に相当します。環境省の資料には約44万トン、約46.1万トンといった表記も見られ、集計の対象や年度によって数字が異なります。本記事では、環境省のページに示された約50万トンを目安として使います。

手放された服のうち、フリマアプリや回収を通じて古着として再び使われるのは約35%にとどまります。リユース・リサイクルを合わせても約38%で、残りの多くはごみとして処理されています。

国は2030年度までに家庭からの衣類廃棄を25%減らす目標を掲げた

こうした状況を受けて、2024年8月に閣議決定された第五次循環型社会形成推進基本計画には「繊維製品(ファッション)」が新たに加わりました。目標は、2030年度までに家庭から廃棄される衣類を2020年度比で25%減らすことです。

環境省の資料では、2024年時点の進捗は約1.7%にとどまると説明されています。2026年3月には、目標達成に向けた「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」がまとめられました。国の取り組みはまだ始まったばかりだといえます。

海外で進む規制|フランスとEUは「つくる側」に責任を求め始めた

環境問題への対応は、消費者の努力だけに任せる段階から、事業者に責任を負わせる段階へ移りつつあります。

EUは衣類の回収・リサイクル費用を生産者に負担させる

欧州議会は2025年9月、廃棄物枠組み指令の改正案を最終承認しました。この改正指令は2025年10月16日に発効しています。繊維製品について、衣類・履物・寝具・カーテンなどを市場に出す生産者が、分別収集・選別・リサイクルの費用を負担する「拡大生産者責任(EPR)」の制度を、加盟国が約2年半以内に整える内容です。オンライン販売事業者も対象になります。

費用は、製品の設計がどれだけ循環しやすいかによって変わる仕組みです。長く使える、リサイクルしやすい服をつくった事業者ほど負担が軽くなる設計で、「安く大量に」だけを追う事業モデルに歯止めをかけます。

フランスは「超ファストファッション」の広告まで規制する法案を可決した

フランスの上院は2026年6月29日、新品の衣料や靴を大量に市場に出し、修理の仕組みをほとんど提供しない「超ファストファッション」を規制する法案を可決したと報じられています。対象企業には環境貢献金を課し、2027年1月1日から広告を禁止する内容です。インフルエンサーによる宣伝も、報酬の有無にかかわらず禁止の対象とされています。

報道によって罰金の金額などに食い違いがあり、詳細な対象の基準は今後の政令で定められる予定です。施行までの手続きや最終的な条文は、公式発表を確認する必要があります。ただ、規制の矛先が「消費者」ではなく「売り方」に向かい始めたことは、確かな変化です。

日本でも「つくる側の責任」の議論が始まっている

日本ではEUのような生産者責任の法制度はまだありません。ただし、経済産業省の審議会では、EUの動きを踏まえた繊維産業の資源循環が議題に上がっています。日本から欧州へ衣類を輸出している企業は、EUの制度の影響を受ける可能性があります。国内だけの話ではなくなってきています。

日本の企業の取り組み|回収・単一素材化・繊維to繊維

日本の企業も、「売って終わり」から「つくる・回収する・循環させる」へ動き始めています。ここでは代表的な動きを複数紹介します。

回収した服を「届ける」と「資源に戻す」に分けるユニクロ

ユニクロは、2006年から続けてきた全商品リサイクル活動を、2020年から「RE.UNIQLO」として発展させました。着られる服はNPOやNGOなどと連携し、難民キャンプや被災地などへ届けます。着られない服は、自動車用の防音材や固形燃料などにリサイクルします。ダウン製品からダウンとフェザーを取り出し、新しいダウンウェアに再利用する取り組みもあります。

親会社のファーストリテイリングは、2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などに切り替える目標を掲げています。回収した服がどこに届くのかが見えやすい点が、消費者にとっての参加しやすさにつながっています。

「リサイクルしやすい服」を設計から変える良品計画

良品計画(無印良品)は、2010年に店舗での衣料品回収を始め、その後、回収の対象を広げてきました。2025年9月には、単一素材でつくり、リサイクルしやすくした「素材に還るフリース」シリーズを発売しています。

複数の素材が混ざった服は、リサイクルの際に分けるのが難しく、資源に戻せないことがよくあります。最初から単一素材にする発想は、回収後ではなく「つくる段階」で廃棄を減らすアプローチです。

衣類を衣類に戻す「繊維to繊維」を目指す動き

ポリエステル100%の服を、再び衣料用の再生ポリエステルに戻す「繊維to繊維」の取り組みも進んでいます。2025年10月には、JEPLANと帝人フロンティアが、衣料品の資源循環で連携する取り組みを始めると発表しました。両社の回収網を組み合わせ、選別からリサイクルまでを一貫して進める計画です。

衣類を衣類に戻せるようになれば、新たな石油を使う量を減らせます。ただし、現状の回収量や技術の規模には限りがあります。企業の回収を利用するときも、「回収に出したから大丈夫」と安心しきらない視点が必要です。

「ファストファッションをやめれば解決」ではない理由

ここまで読むと、「安い服を買わなければいい」と思うかもしれません。ただ、そう単純には言えません。

安い服に頼らざるを得ない人もいる

服にかけられる予算は人によって違います。子どもの成長に合わせて買い替える家庭や、制服・仕事着が必要な人にとって、手頃な価格の服は生活に欠かせません。「ファストファッションを買うのは良くない」と個人を責める議論は、現実に合いません。

問題の中心は、買う人ではなく、必要以上につくって売る構造にあります。だからこそ、先に紹介した規制や企業の設計変更が重要になります。

高価格なら環境にやさしいとは限らない

価格が高いことと、環境負荷が低いことは同じではありません。高価でも、少し着て手放されれば、環境負荷は同じように積み上がります。大切なのは価格より、着る回数と着る期間です。

また、「環境にやさしい」をうたう商品でも、根拠が示されていなければ慎重に見る必要があります。リサイクル素材の使用割合、素材の組成、回収の仕組みなど、具体的な情報を出している商品かどうかを確認すると判断しやすくなります。

「古着に出せば解決」でもない

古着として出せば環境にやさしい、とも言い切れません。回収に出された服の一部は国内で再び使われますが、需要に合わなかったものは海外へ輸出されたり、資源化されたりします。まず優先したいのは、手放す量そのものを減らすことです。

今日からできる行動|買う前・着る間・手放すとき

行動は、服の一生のどの段階でも取れます。完璧を目指さず、できるところから選べば十分です。

買う前にできること

買う前に、次の3つを自分に聞いてみてください。

  1. すでに持っている服の中に、似た服はないか
  2. 30回以上着るところを想像できるか
  3. 素材の表示を見て、洗濯や手入れの方法に無理がないか

1年間に一度も着ない服が約24枚あるという現状を考えると、「買う前の3秒の確認」が、いちばん費用のかからない対策になります。素材は、可能であれば単一素材のほうが、将来リサイクルされる可能性が高くなります。

着ている間にできること

服は、着る期間を延ばすほど環境負荷を分散できます。ほつれやボタン外れを直す、毛玉を取る、洗濯ネットを使うなど、小さなケアで寿命は変わります。合成繊維の服は、洗濯ネットに入れると繊維くずの発生を抑えやすくなると言われています。洗濯機の種類や素材によって効果は異なりますが、手軽に試せる方法です。

流行に合わせて着たい人には、レンタルや古着という選択もあります。毎月定額で服を借りられるサービスを使えば、買わずにおしゃれを楽しめます。

手放すときにできること

手放すときは、いきなり捨てずに、次の順番で考えてみてください。

  1. 状態が良ければ、フリマアプリや古着店、知人への譲渡で次の持ち主を探す
  2. 着られなくなった服は、企業の店頭回収や自治体の資源回収を調べる
  3. それでも残るものは、ウエスなど別の用途で使い切る

手放された服のうち古着として再び使われているのは約35%です。出口を一つ選ぶだけで、ごみになる量は減らせます。

まとめ

ファストファッションの環境問題は、つくる段階のCO2と水、洗濯で出るマイクロファイバー、そして使われないまま捨てられる服の4つに整理できます。日本では1990年から2024年にかけて衣類の供給量が約1.8倍になった一方で、購入量は横ばいです。1年に一度も着られていない服が1人あたり約24枚あり、家庭から焼却・埋立される衣類は年間約50万トンにのぼります。

規制の面では、EUが衣類の生産者に回収・リサイクル費用を負担させる制度づくりを進め、フランスでは超ファストファッションの広告を禁止する法案が可決されたと報じられています。日本でも、国が2030年度までに家庭からの衣類廃棄を2020年度比で25%減らす目標を掲げ、企業は回収や単一素材化、繊維to繊維に取り組んでいます。ただし、国の目標の進捗は2024年時点で約1.7%にとどまり、道のりは長い状況です。

私たちにできることは、買う前に持っている服を確かめ、着る期間を延ばし、手放すときに次の出口を探すことです。安い服を買う人を責める話ではなく、「着る回数を増やす」という視点で、日々の選び方を少し変えることが、無理なく続けられる第一歩になります。まず1着、手放す前に「誰かが着てくれるか」を考えてみてください。

  • 日本の衣類供給量は1990年の約20億着から2024年の約35億着へ増え、購入量は横ばい
  • 家庭から焼却・埋立される衣類は年間約50万トンで、古着として再利用されるのは約35%
  • EUは生産者に回収費用を負担させる制度を進め、フランスは超ファストファッションの広告規制法案を可決
  • 国は2030年度までに家庭からの衣類廃棄を2020年度比25%減らす目標だが、2024年時点の進捗は約1.7%
  • 価格より「着る回数」を意識し、買う前・着る間・手放すときの3段階で行動を選ぶ

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

鹿児島県在住のフリーライター。コーヒーをきっかけにSDGsを知り、興味をもつように。普段は、ライフスタイルやSDGsに関する記事を執筆しています。

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