「サステナブル・シーフード」とは、海の資源や環境に配慮し、適切に管理された水産物のこと。
SDGsの17の目標のうち、目標14「海の豊かさを守ろう」を達成するために理解しておくべきキーワードといえます。
魚は栄養豊富で高タンパクな食べ物。
私たち人間の健康を支えてくれる大切な資源です。
しかし、人間活動によって海の環境はさまざまな問題を抱えています。
私たちにできることは、海の環境を配慮しながら生活することと、適切に管理された水産物を選ぶことです。
今回はサステナブル・シーフードについて理解しておきたい基本的なポイントを紹介します。
サステナブル・シーフードとは
サステナブル・シーフードとは、環境や社会に配慮して適切に管理された水産物のことです。
これからの未来もずっと安全な魚介を食べられるために私たちができることは、サステナブル・シーフードを選ぶこと。
具体的には、以下の認証を受けている水産物がサステナブル・シーフードの証です。
・持続可能な漁業で獲られた「MSC認証」の水産物
・責任のある養殖により生産された「ASC認証」の水産物
私たちが積極的にサステナブル・シーフードを選ぶことで、海の環境に配慮した生産者やサプライチェーンを応援することができ、海洋資源を守ることにつながります。
海が抱えるさまざまな環境問題
持続可能な海・海洋資源を守るために、まずは私たち人間の活動が海洋にどのように影響しているのかを理解しておきましょう。
海が抱える世界的な問題には、次のようなものがあります。
二酸化炭素の海洋中への蓄積
海洋は大気中に排出される二酸化炭素海洋を吸収します。
二酸化炭素が海洋に蓄積し、酸性化が進行していくと海の生態系に悪い影響をあたえます。
産業革命以降、海洋酸性度は大幅に上昇しているのです。
人間活動による海洋汚染
海洋汚染とは、人間活動によって海洋が汚染される現象のこと。
有害物質を海に投棄することばかりではなく、家庭からの生活排水や工場排水が海洋へと流れ込むとプランクトンを繁殖させる原因となります。
温暖化による海面上昇
人間活動によって大気中に二酸化炭素が排出されることが原因で、地球温暖化が進んでいます。
気温の上昇は氷の融解や海水の膨張を引き起こし、海面水位が上昇するのです。
海面が上昇すると、サンゴ礁の消失や耕地の水没、高潮による洪水などさまざまな危険をもたらします。
過剰漁獲による海洋生物の減少
世界中で海洋生物が大幅に減少しています。
世界の水産資源のうち30%以上が持続可能な水準を超えて漁獲されており、「過剰漁獲」が深刻です。
魚の獲りすぎが続くと、将来魚を食べられなくなる恐れがあるのです。
サステナブル・シーフードを選ぶ上で知っておくべき認証ラベル
サステナブル・シーフードはどうやって選ぶのかというと、「MSC」と「ASC」の認証ラベルが付いた水産物を購入する方法が効果的です。
MSC認証
水産資源と環境を守った漁業で収穫された「天然」の水産物を認定するものです。
MSC認証ラベルには、「海のエコマーク」と書かれています。
MSCとは海洋管理協議会のことで、国際的な非営利団体。
減少する世界の水産資源を回復させることを目的に設立されました。
MSC認証の水産物は、消費者のもとに届くまでのサプライチェーン全体において非認証の水産物と分けて管理されており、持続可能な漁業までさかのぼることができます。
漁業がMSC認証を取得するためには、何年にも渡って改善が求められる場合もあり、認証取得後は5年ごとに更新が必要です。
MSC認証の漁業は最優良事例とされるレベルの証です。
参照元:MSC公式HP
ASC認証
環境や社会への影響を適切に抑えて育てられた「養殖」の水産物を認定するものです。
ASC認証は責任のある養殖水産物を対象とする世界的な認証・ラベル制度で、厳格な要件を満たす必要があります。
ASCとは水産養殖管理協議会のことで、世界自然保護基金(WWF)と持続可能な貿易を推進するオランダの団体(IDH)の協力のもと2010年に設立した国際的な非営利団体です。
世界の人口が増加する中、高タンパクで栄養豊富な「魚」の需要は高まっています。
天然漁業だけでは供給できる量に限りがあるため養殖の需要が急速に高まりましたが、問題も発生するようになりました。
水質汚染や生態系の撹乱、ずさんな運営などがあると悪影響を及ぼします。
そこで、養殖を適切に管理するための認証制度ができました。
参照元:ASC HP
サステナブル・シーフードを多く展開する企業
サステナブル・シーフードはどこで購入できるのでしょうか。
サステナブル・シーフードを取り扱う数ある企業の中から、商品を多く展開する企業を一部紹介します。
セブン&アイグループ
セブンイレブンやイトーヨーカドーを展開するセブン&アイグループでは、MSC認定商品・ASC認定商品の販売を増やしています。
グループ共通のプライベートブランド「セブンプレミアムフレッシュ」は、MEL(マリン・エコ・ラベル)認証を取得しています。
MEL認証とは、水産資源や海の環境を配慮する漁業・養殖の生産者と、そこからの水産物を加工・流通する事業者を認定するものです。
「MEL」のマークにも注目してみてください。
参照元:サステナブルシーフード月間|セブン&アイホールディングスHP
イオントップバリュ
イオングループの商品の輸出入や加工、卸売を行うイオントップバリュでは、MSC認定商品・ASC認定商品を多く取り揃えています。
また、認証を取得した水産物を消費者にもとに適切に届けるCoC認証の取得にも積極的に取り組んでおり、イオン全店でのCoC認証の取得を目指しています。
CoC認証は、MSC・ASC認証の水産物が加工・流通される過程で他の水産物と混ざらないように管理し、水産物を獲った漁業・養殖場までを追跡できるものです。
参照元:豊かな海の恵みを子どもの未来に。持続可能な水産業の証-MSC、ASC。|TOPVALU HP
まとめ
SDGsの目標14の「海の豊かさを守ろう」を達成するためには、サステナブル・シーフードについて理解することが大切です。
サステナブル・シーフードとは、海の資源や環境を配慮し、適切に管理された水産物のこと。
具体的には、持続可能な漁業で獲られた「MSC認証」の水産物、責任のある養殖で生産された「ASC認証」の水産物のことをいいます。
私たちがいつもの買い物でMSC認証・ASC認証のラベルが付いた水産物を購入することで、海の資源を守ることにつながります。
人間活動によって、海はさまざまな問題を抱えています。
サステナブル・シーフードの考え方を理解し、環境に優しい商品を選ぶことを意識してみましょう。