見るだけで癒される海、いつまでもそこにあるものだと思っていませんか?
今、地球の海は危機的状況にあります。
私たちの海を壊すことができるのも、守ることができるのも、私たちです。
深刻な海洋汚染について一緒に考えてみましょう。
海洋汚染とは?
海洋汚染とはその名の通り、海が汚されてしまうことです。
人類が誕生するずっと前から地球を見守ってきた海を、私たち人間が危機に陥れているのです。
具体例を見ていきましょう。
海洋ごみ
海を漂うごみを海洋ゴミと言います。
その中でも特に深刻なのが、プラスチックごみです。
海岸に行くと、発砲スチロールやペットボトルなどが打ち上げられているのを見かけますよね。
世界中で毎年、最低でも年間800万トンもの海洋プラスチックごみが確認されています。
プラスチックが海に還ることはありません。
増え続けるだけです。
何の対策も施さなければ、2050年には魚の重量をプラスチックごみが上回る計算です。
プラスチックごみを餌と間違えて魚が食べてしまい、病気やケガを負うこともあります。
ごみが小さくなってしまったマイクロプラスチックが、北極や南極の海で発見されたとの報告もあります。
小さなプラスチックは目に見えない大きさのものもあるため、大変危険視されています。
というのも、知らず知らずのうちに魚を介して、私たち人間もプラスチックを摂取している可能性があるのです。
体内でももちろんプラスチックは分解されませんので、何年、何十年もかけてプラスチックごみが体内に蓄積すると想像すると恐ろしいですよね。
同じことを海に行っているのは、私たち人間です。
海は広いので少しくらいごみを捨てても問題はないだろうと軽く考えてしまう人が多いのか、ごみの不法投棄は止まりません。
海を自分に置き換える想像力が必要です。
生活排水・工場排水
台所、風呂、トイレ。
私たちは普段の生活の中で多くの排水を行っています。
これを生活排水と言います。
排水しても下水処理できれいな水になって海に戻しているのだから問題ない、とはなっていないのが現状です。
下水処理でもちろん透明な水にはなりますが、リンや窒素が半分も除去できていない段階で海に流されています。
これにより海の栄養分が多すぎる、いわゆる富栄養化が起こり海の生態系に大きく影響するのです。
赤潮やアオコは、この富栄養化が原因とされています。
工場排水も同じくです。
自治体によっては排水の基準値を法で厳しく定めているところもあります。
工場は規制できても、個人宅からでる生活排水を規制する法律はいまのところありません。
一人一人のモラルに任せられています。
富栄養化の原因の過半数は生活排水であることを、私たちは日々意識しなければなりません。
船の事故等による油の流出
海でタンカーの事故などをニュースで見ることもありますよね。
仕方のないことですが、油が大量に海に流れ出てします。
すべて回収することは困難であり、ただ流れていく油を見送るしか術はありません。
微量であれば事故以外でも油が流れ出ることがあります。
操作ミスなどでおこるものは防げるはずなので、よりいっそう気をつける必要があります。
海を汚染している意識が必要です。
私たちにできる「海洋汚染」対策
私たちにでき得る海洋汚染対策は、どのようなものでしょうか?
世界では持続可能な開発目標SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」も追い風となり、各国が海洋汚染対策に取り組んでいます。
日本でも、2020年にプラスチック製買い物袋の有料化が始まったのが記憶に新しいですよね。
2022年には「プラスチック資源循環促進法」が導入される予定です。
買い物袋だけでなく、ストローやスプーンなども有料化の対象となります。
EUでは、使い捨てのプラスチック容器を禁止する指令も作られています。
極端かもしれませんが、世界はプラスチックごみを何とか減らす流れで動いています。
法令を待つことなく、今日から私たちが個人でできる対策も多くあります。
海洋ごみ
リデュース(ごみになるものを減らすこと)
何となく小さなレジ袋をゴミ袋にして、さらに大きなゴミ袋に入れて捨ててはいませんか?
小分けのレジ袋はなくてもいいですよね。
水分なら新聞紙などに吸わせることで水漏れも防げます。
スプーンやストローなども気軽にもらってしまうかもしれません。
家から持参すれば、もらう必要はありません。
食品を購入する際に、パッケージなど環境負荷を加味して製品を選ぶこともできるでしょう。
リユース(ものを繰り返し大切につかうこと)
ちょっと壊れたからといってすぐ捨てて新しいものを買ってはいませんか?
修理することで長く使用できます。
不用品は捨てずに、リサイクルショップやフリマサイトなどで別の人に譲りましょう。
瓶製品などリターナブル容器はきちんと返却することで、ごみにならずに再利用してもらえます。
リサイクル(ごみを捨てるのではなく原材料として再生利用すること)
ごみの分別はしっかりしているでしょうか?
自治体によっては、リサイクルできるように細かくごみの分別をしています。
「まあいいか」ではなく、海のため、地球のためになると思って分別しましょう。
購入する際はリサイクル製品を選び、不要になった家電は家電リサイクル法や小型家電リサイクル法に従って該当する家電を回収場所に持っていきましょう。
生活排水
食べ残しをしないことや、器についた汚れを排水溝に流さないことが大切です。
カレーなど油分の多い食材は、紙でふき取るなどしましょう。
油をそのまま排水溝に流す行為が、どれだけ海洋汚染につながるか想像してみて下さい。
また洗剤やシャンプー、歯磨き粉などは適量を使うことが大切です。
多く使用すると、多く排水してしまいます。
毎日のことを、多くの人が意識すれば必ず生活排水問題は改善します。
地球にやさしい洗剤などを選ぶ姿勢も広がれば、大きな改善となります。
まとめ
海洋汚染を取り上げましたがいかがでしたか?
海洋汚染は、誰かが何とかしてくれる問題ではありません。
「私たち」が日々の暮らしを「見直す」ことで、改善に加わることのできる問題なのです。
いままで知らずに海洋汚染に加わってきた人も多いでしょう。
しかし海洋汚染の実態を知ったあなたは、今日から暮らしを見直すことができるのです。
まずは一歩、地球のために何かを変えてみてください。
その1歩は大きな1歩となるでしょう。