インドと聞くと、ITが進んでいるという印象を持つ人も多いでしょう。
実際のところ、2030年には世界トップの経済大国になるとも言われており、大きく影響するのがIT産業です。
マイクロソフトやGoogleのCEOがインド人ということもあり、いかにITに特化した国であるかがわかるでしょう。
今回は、インドがIT大国と謳われる所以やインターネット普及率について触れていきます。
インドのインターネット普及率について
インドでオンラインショッピングを利用している人は、2018年の段階で1億2,000万人に達したとされ、さらに2025年には2億人を突破すると予想されています。
もはや、日本のインターネット普及率を超える勢いがあるほどです。
この背景にあるのは、政府が主導するブロードバンド普及プロジェクト「BharatNet(バーラトネット)でしょう。
その特徴について紹介します。
バーラトネットとは?
バーラトネットを推進しているのは、モディ政権です。
高速インターネット網をインドの全域に行き渡らせるプロジェクトとしてスタート。
前身となったのは、2011年の段階で、当時の政府が承認した「NOFN」です。
NOFNでは、国家光ファイバー網プロジェクトとして起動しましたが、実際のところ成果としては大きなものではありませんでした。
しかし、モディ政権によって「バーラネット」と名称も変わり、滞っていた計画が大きく進展します。
実際のところ、2017年12月には、10万もの村で高速インターネット回線が使えるようになりました。
2019年3月には全てのエリアで高速ブロードバンドの提供に実現し、今に至ります。
インターネットユーザーの急増
バーラトネットによるインターネットの普及は、雇用機会を生み出しサービスのクオリティを上げ、国家における取り組みでもインド経済に大きく影響することでしょう。
TRAI(インド電気通信管理局)が統計したところでは、インドにおけるインターネットユーザーは2020年3月時点で7億4,319万人とされ、2019年と比べて3.4%増加しています。
IT大国インドとなったのはなぜ?
インドがこれだけインターネットに力を入れ、IT王国となったのには訳があります。
5つの理由をご紹介しましょう。
アメリカとの時差
実は、アメリカとインドとの時差はちょうど12時間となっています。
そのため、アメリカの企業がビジネスをする上で、インドは欠かせない国です。
なぜなら、アメリカが夜の間、インドは昼になるため、インドにも支社を設置すると実際のところ24時間業務を稼働させることができるため。
なるべく稼働時間を無駄にしたくないと考えるアメリカ企業がインドに参入したことは、インドがIT大国になるための大きなステップとなったことは容易に想像できるでしょう。
インドでは英語が通じる
インドは以前イギリスの植民地でした。
そのため、英語が浸透しておりネイティブのように流暢に話すことができる人が多いといった特徴があります。
ご存知の通り、英語を公用語として使用している国は多く、IT産業をグローバルに展開するにあたって英語が使えるかどうかは必要不可欠です。
そのため、インドに拠点を置く企業が増えたと言われています。
実質、インドのバンガロールというエリアは、インドのシリコンバレーと呼ばれるほどIT企業が多いのが特徴です。
数学が得意である
インド式数学やゼロの発見にも表れているように、インド人の多くは数学が得意な傾向にあります。
数学が得意な人に多い思考が、プログラミング能力といって論理的な考え方です。
これら二つの性質は、IT産業において欠かせないものであり、インドに適している産業ともいえるでしょう。
カースト制度に影響されない
インド人の多くは、ヒンドゥー教を進行しています。
ヒンドゥー教では、カーズと制度と呼ばれる身分制度がありました。
現在は、憲法によって禁止されたとは言え、いまだに色濃くカースト制度は残っています。
例えば、職業に就く際に、カースト制度があることで職種が限定されることもあるでしょう。
しかし、ITに関わる産業はこれまでになかった新しい産業です。
そのため、歴史あるカースト制度に影響さないといった特徴があります。
つまり、身分は関係なくスキルさえあれば、IT企業に就職することができるといったメリットがあるのです。
このような背景から、インドにおいてIT産業が一気に発展したと言えます。
税制が優遇されている
インドはIT産業をはじめとする特定分野への投資に対して、税制が優遇されています。
例えば、研究開発への投資もその一つです。
この税制の優遇も、IT産業がインドに広まった理由の一つでしょう。
世界各国を本拠地とするIT企業が、インドに研究開発部門を設立しています。
企業にとっては、節税をしながら豊かな人材を確保できるため、活用するほかない国と言えるでしょう。
若い人材が多い
インドは他の国と比べて、人口分布図におけるピラミッド型が非常に美しい国です。
つまり、30代未満の若者が多く、IT産業においても欠かせない世代が豊富だと言えます。
もともと有能な上に、知識や技術を吸収するのに積極的な世代が多いことで、IT産業を営む企業はこぞってインドに拠点を設けました。
初等教育におけるプログラミングの導入
日本では、2020年から小学校でプログラミングが必須科目として導入されました。
しかし、インドでは2005年の段階からプログラミングを初等教育に導入しています。
この差は歴然であり、2005年当時にプログラミングを習った人たちは、すでに大人となりこれからのIT産業を担う存在として重宝されていくでしょう。
人口が多い
地球上に暮らす人口のうち、実に1/6はインド人です。
そして、先進国のような高齢者問題が少なく、若い世代が人口の大半を占めています。
日本では、ITエンジニア不足が深刻な問題となっている一方で、インドでは非常に人材が豊富だと言えるでしょう。
まとめ
インドがIT大国である背景には、インターネットの普及率も大いに影響していました。
一説によると、他のインフラよりも早くインターネット環境が整ったと言われています。
とは言え、いまだ発展途上の中にあるインドです。
インターネットの普及と合わせて、その他のインフラが整備され、誰もが健やかに生きられるための整備が必須課題と言えるでしょう。
IT企業がインドに参入したことで、脆弱だったインフラへの巨額の予算を政府は投じるようになっています。
この先のインドの成長は見逃せません。