近年、SDGs(持続可能な開発目標)の目標1「貧困をなくそう」が世界的に注目を集めています。新型コロナウイルスの世界的流行により、貧困率は再び上昇に転じ、課題の深刻さが浮き彫りとなりました。
「貧困」とは、教育・仕事・食料・医療・飲料水・住居・電力・ガスなど、生活に必要不可欠な資源やサービスにアクセスできない状態を指します。この記事では、日本における貧困の現状と、私たち一人ひとりができる取り組みについて考えていきます。
世界と日本の貧困の現状
世界には、さまざまな理由から貧困状態にある国が存在します。現在、世界人口の約9%、約7億人が1日1.9ドル未満で生活する「絶対的貧困」の中で暮らしているとされています(世界銀行調べ)。
一方、経済大国とされる日本でも貧困は身近な問題です。たとえば、ひとり親家庭の約2世帯に1世帯、子どもの約7人に1人、単身高齢者では男性の36%、女性の56%が、等価可処分所得の中央値の半分(約127万円)に満たない「相対的貧困」の状態にあります(厚生労働省「国民生活基礎調査」より)。
貧困状態にある人々は、食事や医療だけでなく、教育の機会にも恵まれません。教育が「贅沢」と捉えられてしまう状況では、スキルや知識を得ることが難しく、結果として貧困が次世代に引き継がれる「貧困の連鎖」が生じます。
私たちにできること:小さな行動が大きな変化を生む
貧困の原因は複合的で、解決には政府や企業、NPOなどによる多角的な支援が必要です。しかし、私たち一人ひとりの行動も、積み重なれば大きな力となります。
1. 寄付や募金をする
ユニセフをはじめとする多くのNGO・NPOでは、寄付金や募金を活用して、特に開発途上国における貧困層の子どもたちを支援しています。支援団体は国内外に数多く存在するため、信頼できる団体を調べ、自分が共感できるテーマや地域に寄付することが大切です。
また、買い物を通じた支援も可能です。寄付につながる商品を選ぶ、フェアトレード製品を購入するなど、日常の中でできる支援方法もあります。加えて、古本や衣類などの買取価格が自動的に寄付されるサービスを利用するのも一つの方法です。
2. ボランティア活動に参加する
貧困問題の解決に取り組む多くの団体が、ボランティアを募集しています。こうした活動に参加することで、貧困の実態を現場で学び、自分ごととして捉えることができるでしょう。学生であれば、インターンとしての参加も有効な手段です。
たとえば、子どもの貧困に取り組む団体では、小・中・高校生向けの学習支援や、子ども食堂での活動を行っています。「塾に通う余裕がない」「家庭や学校に居場所がない」「将来の夢が持てない」――そんな子どもたちに寄り添い、直接支援することができます。
また、高齢者を支えるボランティアも重要です。地域でのイベント運営支援や、外出が困難な方への送迎、食事の宅配、一人暮らし高齢者の見守りなど、多岐にわたる活動があります。中には、高齢者の相談支援に関わるボランティアも存在します。
さらに、貧困や社会課題に関するイベントを実施するNGOやNPOでの運営サポートも立派な貢献です。自分にできる範囲から、少しずつ始めてみましょう。
3. 温暖化対策で間接的に貧困を防ぐ
気候変動による自然災害も、世界の貧困を悪化させる大きな要因です。SDGs目標1では「2030年までに、貧困層や脆弱な人々のレジリエンス(回復力)を高め、気候変動による災害への脆弱性を軽減する」ことが掲げられています。
特に貧困地域では、地震・洪水・豪雨といった自然災害への備えが不十分で、被害によって生活基盤が簡単に崩壊してしまいます。
このため、個人レベルでも気候変動への対策を心がけることが重要です。日本は「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げ、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指しています。
しかし、日本財団の調査によれば、17〜19歳の若者の約半数が「カーボンニュートラルの実現可能性がわからない」と回答しています。大きな目標に見えるかもしれませんが、節電・節エネルギーの実践といった身近な行動から始めることが、長い目で見れば貧困緩和にもつながるのです。
【番外編】貧困問題に取り組む紙がある!?
環境問題や社会課題を解決する紙として合わせて知っておくべきものに「kome-kami」(コメカミ)があります。
kome-kamiは江戸時代のお米を糊や紙に使う文化にヒントを得て、加工・流通段階や家庭で出る食用に適さないお米、備蓄用アルファ米で廃棄されてしまうものと、FSC認証パルプでアップサイクルした紙素材です。
よくある混抄紙とは違い、ただ混ぜるだけではないのがkome-kamiです。お米の力を引き出し機能性を持たせることで、化学薬品の代替原料として活用。環境負荷低減とCO2削減を実現しています。
さらに、フードバンクを応援することで必要な方に届けるための新しい循環を創り、食品ロス問題と子供の貧困問題に貢献する新しい循環の仕組も造り、広げています。
貧困を「知る」ことから始めよう
貧困問題の解決には、まずその実態を知ることが出発点です。私たちはしばしば「日本は安全で豊かな国」と考えがちですが、実際には相対的貧困が広がり、目に見えにくい困窮が社会の中に存在しています。
「衣食足りて礼節を知る」と言われますが、逆に言えば「衣食足らず」では倫理観が損なわれやすくなります。貧困は教育と就労の機会を奪い、社会的な不平等を助長します。実際に、格差が拡大した国では治安の悪化や内戦の長期化が見られる例もあります。
日本でも、経済的困窮が犯罪の温床となるケースがあります。たとえば、「オレオレ詐欺」や「給付金詐欺」などに若者が加担する背景には、将来への絶望や社会からの疎外感があります。彼らは自らの行為を「所得の再分配」と正当化しているケースもあり、社会の無関心が一因となっているのです。
私たちがまず意識すべきは、世界と日本の貧困を切り離さず、連続する問題として捉えることです。そして、貧困によってすでに起こっていること、これから起こりうることに目を向け、できる行動を始めることが求められています。
参照元:
・世界の貧困に関するデータ|THE WORLD BANK HP
・国民生活基礎調査|厚生労働省HP
・日本の子どもの貧困と対策の現状/国民生活基礎調査|厚生労働省HP