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発展途上国における医療格差問題|すべての人に健康と福祉を

医療格差という言葉を聞いたことがありますか?
世界保健機構WHOによると、2017年の時点で世界人口の約半数が基礎的な医療サービスを受けることができず苦しんでいると言います。

医療格差は発展途上国、先進国共に直面している大きな問題ですが、この記事では「発展途上国における医療格差」にフォーカスしてご紹介していきます。
「助かるはずの命が助からない」ことの多い発展途上国では、どのような現状が広がっているのか、そして改善に向けて実施されている取り組みについてご紹介していきます。

医療格差とは、大きな課題ですが、私たちに出来ることは何があるのでしょうか。

発展途上国における医療格差の現状

発展途上国における医療格差の現状

そんな「先進国にいたら助かる可能性が高い病気」が原因で命を落とす人が多いというのが、発展途上国の医療現場の現状です。

ワクチンを受けていればかからなかったかもしれない、早期に治療を受けていたら助かっていたかもしれないというのに、医療サービスが整っていなかったり、金銭的な理由や知識不足が原因で、命が失われているのです。

感染症の95%は発展途上国でおきている

発展途上国の主な死亡理由は、感染症です。
感染症の中でも、エイズ、肺炎、結核、マラリアなどが目立ちます。
これらの感染症は、現代の先進国ではほとんどみられることがなく、感染症の95%は発展途上国で発生していると言われています。

結核や肝炎、破傷風などはすでにワクチンが存在し、ほとんどの国では幼いうちにワクチン接種が必須と義務付けられています。
それでも医療へのアクセスが出来ない地域においては、このような予防策のある病気で、命を落とす人(特に幼児)が多いというのが悲しい現状です。

日本で子どもが生まれると、保健所などの自治体から予防接種の連絡が届き、書かれているスケジュールにのっとったワクチン接種をしていきます。
そんな日本にいたら「当たり前」のことが、生まれる国が違えば「裕福な家族だけの特権」となっています。

持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット3.3では「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。」と掲げられています。

多くのNGO団体などが現地の政府と一緒にワクチン普及に向けた取り組みや、医療環境の改善に向けて働きかけをしている最中です。

発展途上国では5歳未満の子供の死亡率が高い

5歳の誕生日を迎える前に亡くなってしまう子供は、年間520万人と言われています。
世界地図の分布図をみると、圧倒的にサブサハラ以南のアフリカが多いというのが現状です。

オーストラリアとニュージーランドにおける5歳未満児死亡率の平均は264人に一人ですが、サブサハラ以南のアフリカは13人に一人と、なんと20倍も高い数字となっています。

子どもの死亡に関するデータ

画像引用源:ユニセフの主な活動分野|保健|UNICEF公式ページ

5歳までに亡くなる3大死亡原因は、肺炎、下痢性疾患、マラリアです。
病気にかかった時点ですぐに医療サービスにかかることが出来れば救えた可能性が高い病気のせいで、命を落とす子どもが多いというのが現状です。

また5歳未満児死亡のうち、新生児死亡(生後28日以内に死亡)が占める割合は47%となっています。
生まれてから1か月も経たずになくなるケースが圧倒的に多いということになります。

出産のケアが適切でなかったり、そもそも医療関係者のいない環境で生まれてくる子どももいまだに多いというのが、大きな問題となっています。

持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット3.2では「「2030年までに、新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳未満の死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らす」が掲げられています。
ただし2019年時点で、目標の2030年までに目標達成は無理そうだと見込まれている国がすでに60か国もあります。

今のペースではターゲット3.2の達成は限りなく難しく、取り組みを加速していく必要があります。

発展途上国では妊婦の死亡率も圧倒的に高い

発展途上国で亡くなっているのは赤ちゃんだけではありません。
全世界における妊婦さんが亡くなるケースの94%が、発展途上国で起きていると言われてます。

さらに悲しいのが、そのうちのほとんどが「適切な処置がなされていれば救われた」ということです。
先進国であれば出産時に病院へ行ったり、自宅分娩の場合でも医療関係者が立ち会うことは当たり前です。
しかし、医療機関の限られる発展途上国においては、それらは「当たり前」ではなく、2017年のデータで、毎日810人の女性が妊娠・出産が原因で命を落としています。
大量出血や感染症で命を落とすケースが多いですが、場合によっては不適切な環境下での堕胎が原因となることもあります。

持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット3.1では「2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生 10万人当たり 70人未満に削減する。」とあります。
積極的な働きかけもあり、2020年の統計によるとお産の80%以上が「医療従事者のもと」行われるようになり、この5年でも少しずつ改善されてきています。

とはいえ、まだ2割は医師もいない環境で生まれてくる子どもがいるということ。
何かあった時の対応が遅れ、母子ともに危険な出産をしている人たちが、発展途上国ではまだまだいるというのが現状です。

参照元:Maternal mortality|WHO公式ホームページ

途上国での医療格差に対する取り組み「全ての人に健康と福祉を」

途上国での医療格差に対する取り組み「全ての人に健康と福祉を」

発展途上国の医療格差を少しでも減らすために、できることは何があるのでしょうか。

衛生面を整えること

発展途上国で多くの命を脅かしている感染症は「水へのアクセス」が保証されることで、リスクを減らすことが可能です。

具体的には、

・きれいな飲み水を飲めること。
・下水の処理が整いトイレで用を足せること。

日本で暮らしていると意識することなく出来ているこの2点ですが、発展途上国ではまだまだ裕福な世帯や都市部で暮らす人の特権といったところです。

多くの5歳未満児が亡くなる原因でもある感染症(コレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスなど)は、不衛生な環境や汚染された水が原因であることが多いです。

人間の健康におけるもっとも基本的な「水」を確保することは、すべての国の責任であるとされ、早急な解決方法が求められています。

医療不足を整えること

発展途上国では、医療体制が整っていないというのも大きな問題です。

2020年の世界保健機構(WHO)が発表したレポートによると、「人口と医師の人数の割合」は先進国と発展途上地域で依然として大きな差がありました。

地域 医師一人あたりに対する人口
アフリカ 3,623人
東南アジア 1,147人
西地中海地域 914人
太平洋地域 531人
アメリカ 353人
ヨーロッパ 232人

参照元:World Health Statistics 2021|WHO公式ホームページ

数字で比較すると分かりやすいですが、子どもや妊婦の死亡率の高いアフリカ地域は、圧倒的に医師の数が足りていません。
地域ごとにも医療格差は大きいですし、また一つの国をとっても都市部と農村部でアクセスできる医療のレベルが異なるなど、根強い問題が広がっています。

現地の政府やNGOなどが協業しながら、少しずつ取り組みを進めていることは事実であり、2014-2019年の5年間で、アフリカ地域ではこれでも徐々に改善されてきています。

とはいえ、「全ての人に健康と福祉を」をアフリカ地域が達成するのは、まだまだ時間がかかると言えるでしょう。

予防策の教育を整えること

感染症の多くは「予防策」を知っていて、実施していれば防ぐことが出来ることが多いです。

発展途上国では多くのNGO団体が、現地の医療機関などの連携して「予防策」の普及活動を続けています。

・きれいな水で手を洗うことを習慣にする
・飲み水や調理にはきれいな水を使う
・適切な月齢を迎えた子どもにワクチンを接種する
・マラリア対策としては蚊帳の利用を徹底する
・HIV感染対策として早期からの性教育を行う

これらは世界中で行われている感染症予防に対する教育の一例です。

「治療」が出来るような制度を整えることも大切ですが、まずは感染症を始めとする病気にかからないように「予防する」ということが大切です。

学んだことがすぐに実践に取り入れられるように、衛生面を整えたり、ワクチン配布などを現地政府や医療関係者と連携して整えていくことも求められています。

まとめ

まとめ

医療格差とは、一言でいうと生まれた場所や環境によって、医療を受けられるか否かの差が生まれてしまっているという歪みのことを指します。

先進国でも発展途上国でも見られる医療格差ですが、特に発展途上国での格差の幅は大きく、そのギャップが故に「先進国にいたら助かったであろう命」が毎日失われているという悲しい現状が広がっています。

持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット3番では「すべての人に健康と福祉を」を掲げ、どこの国にいても、どこの町で暮らしていても、性別や年齢に関係なく、すべての人が最低限の保健サービスを受けられることを目標にしています。

各国の医療関係者やNGO団体などが、連携して取り組みを進めています。
険しい道のりであることは間違いないですが、一つ一つの指標を見ていくと「医療従事者の元での出産件数」は確実に右肩上がりになっていたり、「子どものワクチン接種件数」もじわじわと増えています。

大きすぎる問題だと諦めるのではなく、一歩一歩確実に進めていくことが「すべての人に健康と福祉を」の達成に不可欠と言えるでしょう。

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