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土壌汚染の事例から教訓を得よう。世界で起きた被害を紹介

これまでに世界中の至るところで、土壌汚染が確認されています。
実際にあった土壌汚染の事例を知っておくと、同じ過ちを繰り返してしまうのを防げるでしょう。

今回は土壌汚染の事例として「豊洲市場の移転問題」「ラブキャナル事件」「イラク戦争と土壌汚染の関係性」について詳しく解説します。
そして、私たちが土壌汚染を防ぐためにはどんなことができるのかもあわせて考えていきます。

「豊洲市場」で起こった土壌汚染の事例

「豊洲市場」で起こった土壌汚染の事例

豊洲市場の土壌汚染問題は、一度は耳にしたことがある人も多いでしょう。

2001年に菊池市場の豊洲への移転が決定し、その後開設予定地の土壌や地下水から有害物質が確認されました。
ベンゼンやシアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなど7つの物質が発見されています。

豊洲はかつて工場が設立されていた場所ですが、撤去されてから長い間ずっと更地のままでした。
確認された有害物質は、ガスの製造工程で生成されたものと見られています。

豊洲市場の開催が認められるまで

2014年に「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」が行われて、土壌汚染対策工事が終わったと伝えられました。

しかし、2016年に事態が一転。
豊洲市場の地下で盛土の作業が完了していなかったと発表されました。

同年から食の安全を守るために、専門家会議や技術会議を設置しています。
汚染土壌や汚染地下水の対策を進めて、公害の発生を未然に防ぎました。

2018年には知事が「豊洲洲市場は安全であり、安心してご利用いただける」と発言。
農林水産大臣も豊洲市場を認可しています。

参照元:
万全な土壌汚染対策|東京都中央卸売市場
豊洲市場年表|東京都中央卸売市場

「ラブキャナル事件」と呼ばれている土壌汚染の被害例

「ラブキャナル事件」と呼ばれている土壌汚染の被害例

「ラブキャナル事件」は、世界で最も有名な土壌汚染事件と言っても過言ではありません。

土壌汚染が発生した場所は、アメリカニューヨーク州のナイアガラの滝近く。
1978年に家の地下室から湧いてきた黒い汚水を分析したところ、なんと82種類もの高濃度な化学物質が検出されました。
ベンゼンやトルエン、クロロフォルムなど11種類の発がん性物質も確認されています。

汚染された運河跡地は子どもの遊び場になっていたため、素手で有害物質に触れてしまっていました。
妊婦の流産や死産も増えるなどと、住民への被害が深刻な事件です。

土壌汚染が広がった原因

当初はナイアガラの滝近くで運河を造る予定でしたが、不況により計画は途中で終了。
1920年以降に運河跡地は売られ、工場の廃棄物を捨てる場所へと変わりました。
たくさんの有害廃棄物をドラム缶に入れたまま放置したのが、ラブキャナル事件の原因です。

金属容器は時間の経過とともに腐食して、中身が漏れ出てしまいます。
さらに降水量が多いと地下水の水位が上がり、流れてきた有害物質は地表へ入り込んでしまう仕組みです。

1950年代後半から何度も異臭騒ぎが起きていて、汚染地域もだんだんと拡大していきました。

政府の対策や費やした金額

1978年8月7日に、カーター大統領はラブキャナルに「非常事態宣言」を発出。
政府は化学物質の撤去をするように命令を出し、ラブキャナル跡地は柵で囲まれて立入禁止になりました。

ラブキャナル事件をきっかけに「米国スーパーファンド法」も設立。
汚染された地域に住んでいた239世帯が転居するために、連邦政府は約1,000万ドルを支給しています。

およそ10年間で汚染対策に費やした額は、2.5億ドル以上です。
覆土で有害物質を封じ込めたり、排水路で周囲に広がった有害物質を除去したりと、いろいろな対策が取られてきました。

参照元:環境リスク管理の実務|経済産業省HP

イラク戦争によって起きた土壌汚染の事例

イラク戦争によって起きた土壌汚染の事例

イラクの紛争中に軍産インフラが何度も壊されてしまい、大気や土壌などに有害物質が度々放出しています。
「油井火災」や「石油の燃焼による煙」も汚染の原因です。
石油が適切に管理されていない可能性があり、原油の漏出が懸念されています。

長年続いている爆撃や軍事車両の移動によって、自然にかなりの負荷がかかってしまいました。
砂漠の地表を崩してしまうと下にある砂が露出してしまったり、流出してしまったりします。

土壌汚染が悪化するのを防ぐためには、劣化ウランの調査も必要です。

しかし、爆撃の位置情報を軍隊に確認しなくてはならないため、イラクの地表を守るのは容易ではありません。
大量の不発弾も地面に眠っていて、浄化作業の難航が予想されます。

参照元:国連環境計画、戦後イラクの人々と環境を守る戦略を発表|国際連合広報センター

土壌汚染を防ぐために私たちができることは?

土壌汚染を防ぐために私たちができることは?

工場の廃棄物や紛争などが要因で土壌汚染が引き起こってしまう場合が多いですが、私たちも化学物質の扱い方を間違えないように気をつけなくてはいけません。

化学物質を利用している製品は、およそ5万種類以上。
例えば、化学物質をたくさん含んでいるものとして、絵の具やペンキなどの染料が挙げられます。
洗剤や石鹸、化粧品などの生活必需品も、化学物質が取り入れられている製品です。

日頃から必要な分だけを使い、正しく捨てるように心がけましょう。
なるべく長持ちするように工夫するのも大切ですね。

ひとりひとりが注意すれば、環境へのダメージを少なくできますよ。

参照元:水質汚染・土壌汚染を防ぐために私たちにできること|土壌汚染の窓口

土壌汚染の事例から学び、被害を減らそう

土壌汚染の事例から学び、被害を減らそう

今回は、日本とアメリカで起きた「土壌汚染の事件」とイラクが抱える「土壌汚染の課題」について紹介しました。

人の経済活動を優先してしまうと、地面は弱っていってしまいます。
また、紛争は人間だけでなく地表も被害を受け続けていて、一度汚された土は簡単には元に戻りません。

私たちが豊かな生活を続けるためにも、土をきれいな状態で維持する必要があります。

過去に起きた土壌汚染の事例を忘れずに、自然と共存して暮らしていきましょう。

  • 記事を書いたライター
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コロナ禍の影響で仕事を休職し、生きづらさを感じていたとき、SDGsに出会いました。プライベートではエシカルグッズを集めてみたり、キッチンガーデンを楽しんでみたりしながら、巣ごもり生活を送っています。ひとりひとりが地球に優しい行動を取れるように、SDGsを広めていきたいです。

  1. 土壌汚染の事例から教訓を得よう。世界で起きた被害を紹介

  2. 最近の土壌汚染の現状は?世界で取られている対応も紹介

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