公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
ジェンダー平等を実現しよう

バングラデシュの女性差別の実態、家族法の問題など解説

バングラデシュの国教はイスラム教であり、人口の8割以上がイスラム教徒となります。
イスラム教では一夫多妻制を認めており、男性1人につき4人の妻との婚姻が認められています。

一夫多妻制というと、多くの人がハーレム状態の男性を想像してしまいますが、コーランの教えでは、男性は女性を養う責任があり4人の妻帯をした場合には、4人を経済的にも平等に扱わなければならないという条件があります。

この一夫多妻制、元々は戦争で夫を亡くした妻を救済するために導入されたシステムで、女性にやさしいものでした。
ここでは、バングラデシュに根付く慣習や、女性達が抱える問題についてひも解いていきたいと思います。

閉鎖的な環境のバングラデシュの女性達

閉鎖的な環境のバングラデシュの女性達

まず、バングラデシュという国の生い立ちについて説明します。

インド、パキスタン、バングラデシュは元々イギリス領インド帝国という一つの国でした。
しかし、第二次世界大戦後にイギリスが植民地を手放す形でインドとして独立するも、ヒンズー教徒とムスリムが統合できず、インドとパキスタンという形で分離します。

さらにその後、東パキスタンと西パキスタンが分裂し、旧東パキスタンが現在のバングラデシュとして独立しました。
そのため、バングラデシュの文化や風習は、インドやパキスタンと非常に似ている部分があります。

イスラム教のコーランには、「美しいものは隠しておきなさい」という教えがあります。
そのため、女性=「美しいもの」は社会から隔離しておくという習慣があるのです。
パルダと呼ばれるこの習慣は、現在でも女性達の間で引き継がれています。

パルダとは、「美しいもの」を隠すためのヴェールやカーテンの事を意味します。
女性は原則として家族以外の男性と接しないこととなっており、厳格なイスラム女性が外に出る場合には、ブルカという布で目以外の体中を覆います。

また、家族以外の男性と会話することや、男性に微笑みかけることなども禁止されています。
病院に行くときには、必ず家族の男性の同行が必要です。
さらに、男性医師は女性に触れることができません。

そのため、女性の患者は女性医師の診察をうけるか、男性医師に受診するとしても医師の目に触れないように診察を受けなければなりません。

このような慣習の下、バングラデシュの女性達は、非常に独特で閉鎖的な環境におかれているのです。

現在では、主に都会の女性達を中心に仕事を持つ人も出てきており、自分の服装をその場その場で選ぶようになってきたようですが、ほとんどの女性達はイスラム教徒としてブルカを纏うことを肯定的に感じているようです。

家族法とは?

家族法とは?

バングラデシュのムスリム家族法では、女性が男性よりも不利になるような規定が多く設けられています。
例えば、離婚後の生活費に関しては、ごくわずかしか規定されておらず、女性が離婚を言い渡されて(妊娠していた場合は、出産後)90日以上経つと、生活費を得る権利を失います。

また、イスラム教で許容されている一夫多妻制も大きな問題の一つです。
初めに述べたように、イスラム教の一夫多妻制は夫を失った妻を救済するために作られた優しい制度のはずでしたが、この制度を利用して、妻の承認を得ないまま次の結婚をしてしまうというケースが出てきているのです。

イスラム教の教えの下、教育を受けず未成年のごく早い段階で結婚させられた女性達は、夫から離婚されてしまうと経済的な自立が困難となります。3か月すると夫からの生活費も打ち切られてしまい、多くの女性達が貧困に追いやられてしまうのです。

そして、自分では生きていけない女性達が離婚した後も義実家に残り、精神的または身体的な虐待にあってしまうことも深刻な問題となっています。

参照元:バングラデシュ:差別的な家族法が女性の貧困を助長|裁判所や法律、援助プログラムの欠陥に取り組む改革が必要|HUMAN RIGHTS WATCH

バングラデシュにおける女性差別の実態

バングラデシュにおける女性差別の実態

男性による卑劣な暴力など、バングラデシュにおける女性差別は日本では想像がつかない現状があります。

アシッド・アタック/酸攻撃

アシッド・アタックとは、インドやパキスタン、カンボジアやバングラデシュに蔓延る酸攻撃のことです。
結婚や性行為、求愛を拒否したという理由により、男性が女性の顔に「硫酸」「塩酸」「硝酸」などの劇物をかけ、やけどを負わせるという卑劣極まりない行為です。

特にバングラデシュは、1999年以降3000件以上もの被害が出ていますが、女性蔑視のこの国では裁判などに持ち込まれるケースは未だ少ないということです。

劇薬をかけられた女性達の皮膚は溶け、中には骨まで達する場合もあるということです。
そして、何より顔を失ってしまった女性達は結婚の機会を失うなど、その未来をも奪われてしまうのです。

フォトワバジ

「フォトワ」とは、イスラム教に精通して法学上の権威者である者が下す判断を意味し、「フォトワバジ」とは、村裁判で判断を下す人々を意味します。

この村裁判では時に恣意的に判断が下され、石打や鞭打ちなどの非常に厳しく残虐な刑罰が課せられます。

この「フォトワ」でも女性はしばしば差別の対象となり、何の落ち度もない女性の家族までもが刑罰の対象となってしまうのです。
厳しすぎる刑罰や、刑罰の後に起こる村内での差別に堪えられず自殺してしまう者も出てくるなど、昨今では問題視されています。

参照元:第8章 バングラデシュにおける貧困削減と人間の安全保障

女児童労働の問題

女児童労働の問題

バングラデシュには児童家事使用人が存在し、その8割は女の子であると言われています。

農村部の貧しい家庭では、将来結婚して家を出る女の子には教育を受けさせる必要がないと考えられています。
その上、女の子が結婚するときにはダウリー(*)という多額の貢ぎ物が必要になるため、女の子には労働させ、自分でダウリーの費用を稼がせている家族も存在します。
*ダウリー:結婚時に新婦側の家族が新郎側の家族に多額の持参金や宝石などを贈答する風習

貧しい家から家事使用人として雇われた子供達には非常に安い給料しか支払われず、朝から晩まで働かされます。
そして雇い主の多くは、この子供達は自分たちの思うままに動いてくれると考えており、食事の準備から掃除や洗濯、そして自分たちと大差ない年齢の子供の世話までさせます。

そして家事使用人として雇われた子供達は、頻繁に言葉や身体的な暴力、および性的虐待をうけているのです。
中には雇主の男性から性的虐待が繰り返され妊娠し、その妊娠を隠すために暴力を振るわれてしまうケースもあるのです。

2020年にはバングラデシュも世界的なパンデミックに襲われ、仕事を失った親のために使用人として労働に出される子供達が増加傾向にあるとされています。

まとめ

まとめ

最近では、イスラム教というと中には過激派集団のようなイメージを持ってしまう方もいるかもしれませんが、過去に著者が知り合ったイスラム教の友人たちは非常に温厚で真面目なイスラム教徒達でした。
ラマダンの期間は断食を行い、太陽が昇っている時間には本当に全く食事を取らないほど、敬虔な人々でした。

そして、もう一つ印象的だったのは、イスラムの美しい女性達がとても「控えめ」であることでした。
かつて、日本の女性達も「男性からは三歩下がって歩く」というほど控えめなところがありましたが、イスラムの女性達には、その頃の日本女性を思わせる「控えめさ」を感じました。

イスラム教の中には、弱い女性を守る意図があります。
美しく控えめな女性達を守るために作られた教えが、いつしか傲慢な一部の男性達により、自分たちの都合の良いように解釈され、暴力や虐待につながってしまっていることが残念でなりません。

著者が東南アジアで見たイスラム女性達は、とてもシャイで自由な人達でした。
それでもイスラム女性として、海水浴をするときにも肌を露出せず、ヒジャーブを頭に被り長い民族衣装を着たまま楽しそうに泳いでいました。その姿がとても微笑ましかったのを覚えています。

バングラデシュの女性や子供達が、その自由を一日も早く手に入れられることを心から願っています。

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

大手旅行会社に10数年勤務し、世界各地を旅して回る。その後、結婚を機に多民族国家シンガポールへ移住&出産。多種多様な生き方をする世界の人々と触れ合うことから、日本という島国の独特さを痛感。東日本大震災を機に日本に帰国。主に旅行関連記事、大手企業ブログ記事などを執筆する中、地球規模で推進されるSDGsに心を奪われる。2021年5月から「MIRASUS」にて執筆中。

  1. 海洋汚染は危機的状況!私たちにできることは?日々の暮らしを見直す

  2. バングラデシュの女性差別の実態、家族法の問題など解説

  3. インドの深刻な女性差別~ヒンドゥー教の慣習の上に成り立つインドカルチャー ~

公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加




UZUZ



新卒就活 アスリートエージェント

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

RELATED

PAGE TOP