プラスチックといえば、現代の生活において見ない日はないほど浸透している素材です。
しかし、環境に関する意識が高まる昨今、プラスチックは温暖化や海洋汚染問題の一つになっています。
このような環境問題が叫ばれるなか、イギリスではプラスチック税が新たに導入されました。
今回は、イギリスのプラスチック税について目的と効果を詳しく解説します。
プラスチック問題について
プラスチックは、ビニール袋やペットボトルなど身近な梱包材に使用されています。
手軽で耐久性が高い上にリーズナブルなことから、各国で使われている素材です。
しかし、ほとんどのプラスチックは使い捨てされる運命にあります。
正しく処理されなかったプラスチックは海や川などに流れてしまうため、大きな問題の一つです。
現に、世界中の海に流れ出したプラスチック廃棄物は、合計で1億5,000万トンにも登るといわれています。
プラスチック税とは
プラスチック税は、正式名称「プラスチック製包装税」といいます。
2022年4月1日からイギリスで施行された制度で、イギリス国内のプラスチック製包装材を製造する業者とプラスチック製包装材を輸入する業者に対して課せられる税金です。
すべてのプラスチック製包装材に対してではなく、再生プラスチックが3割未満の製品が対象となっています。
金額は、1トン当たり200ポンドで、日本円にして約32,000円です。
参照元:進むプラスチック包装対策、政府も2022年4月から包装税導入へ|JETRO日本貿易振興機構
プラスチック税の目的
イギリスでも、世界各国と同じくプラスチック廃棄物に関する問題を抱えています。
中でもプラスチック廃棄物が増加する要因となっているのが、プラスチック製包装材です。
実に、プラスチック廃棄物のうち6割以上が包装材から発生しているといわれています。
プラスチック税は、再生プラスチックを3割以上使った製品には課せられません。
つまり、新たにプラスチックを生み出すのではなく、再利用を促すことを目的とした制度です。
プラスチック税の効果
プラスチック税が導入されたことにより、イギリスのプラスチック包装材は大きく変化するとみられています。
もともとイギリスを含むヨーロッパは、環境に関する意識が高いエリアです。
プラスチック税以外にも環境税や炭素税などが課せられ、CO2対策も進んでいます。
再生プラスチックを促進させるためには、消費者に対する啓蒙に加え、再利用システムの構築も欠かせません。
これまでの環境対策に加え、プラスチック税が導入されたことで、プラスチック問題が解決されることが期待されます。
イギリスでのプラスチックに関する動き
プラスチック税が導入される以前から、イギリスではプラスチック削減に向けた動きが多数あります。
特に、プラスチック製包装材を多く使うスーパーマーケットでの活動が顕著です。
続いては、イギリスの業者による取り組みを3つ紹介します。
テスコの軟性プラスチック全面廃止
イギリスの大手小売業者「テスコ」では、2021年5月10日より飲料品をセット販売する際に使用していた軟性プラスチックをイギリスにある店舗から全面廃止しています。
これは、軟性プラスチックが再利用しづらい素材であることに起因しており、現在使用されているのは硬性プラスチックです。
セインズベリーズの回収システム
イギリス国内で高いシェアを誇る「セインズベリーズ」では、2021年2月から包装に使用されるポリプロピレンフィルムの回収システムを設置していました。
また、2025年までにはプラスチックを半分に削減するという目標を掲げています。
ユニリーバ
イギリスとオランダに本籍を置くメーカー「ユニリーバ」では、2025年までにすべてのプラスチック容器を再利用すると発表しました。
すでに、2010年からプラスチックの使用量削減を行っており、日本で販売されている同社の「ダブボディウォッシュシリーズ」では、ボトルのプラスチック使用量が11%も削減されています。
そのほか、イギリスで2019年に発売された「シフエコリフィル」は、10倍に薄めて使用できる住居用洗剤です。
この商品を活用すれば、ボトル製品よりもプラスチック使用量を75%削減できます。
プラスチック問題に対して私たちができること
イギリスがプラスチック税を導入したことからもわかるように、プラスチック問題は早急に解決する必要のある地球全体の課題です。
解決には、私たち一人一人の活動も欠かせません。
例えば、できるだけエコバックを持ち歩き、ビニール袋を使わないようにしたり、再利用できるものは回収ボックスに入れたりと、小さな意識も集まればプラスチック問題の解決につながります。
まとめ
プラスチック問題は、イギリスだけの問題ではありません。
日本においても、すぐに取り組むべき問題です。
実際、すでに世界中の海には莫大なプラスチック廃棄物が流れ出ています。
快適な地球を未来に残すためには、私たち一人一人の力が大切です。
イギリスを含め、プラスチック問題の先進国と言えるヨーロッパの活動を参考にしながら、できることから少しずつ行動していきましょう。