「食品ロスの世界ランキングで日本は何位なのだろう」と気になって検索した方は多いのではないでしょうか。まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは、東京2020オリンピックの大会食材でも問題視されたことをきっかけに、日本国内でも関心が広がりました。この記事では、世界と日本の最新データを比較しながら、ランキングの見方の注意点、日本企業の具体的な取り組み、そして家庭でできる実践的なアクションまでを整理してお伝えします。
食品ロスとは|日本と世界に共通する「もったいない」の実態
食品ロスとは、本来食べられるはずだったのに捨てられてしまう食品のことです。売れ残りや規格外品、食べ残し、賞味期限切れなどが該当します。発生源は大きく2つに分けられます。1つはスーパーや飲食店、食品メーカーなど事業活動から出る「事業系」の食品ロス、もう1つは家庭の調理くずや食べ残し、買いすぎによる廃棄などの「家庭系」の食品ロスです。つまり、食品ロスは企業だけの課題ではなく、家庭で暮らす私たち一人ひとりにも関わる問題だといえます。
食品ロスの世界ランキングで日本は何位なのか|順位の見方に注意
農林水産省がかつて紹介した廃棄量主要国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、韓国、中国、日本の8カ国)の人口1人あたり食品廃棄量の比較では、1位オランダ、2位フランス、3位イギリスという順で、日本は6位という結果が示されていました。9カ国中6番目という順位は中位に見えますが、比較対象をアジアに絞ると日本が最下位だったという点は見落とされがちなポイントです。
ランキングの指標によって順位は変わる
ここで注意したいのは、食品ロスの「世界ランキング」と呼ばれるものが、実はひとつの決まった調査結果ではないということです。国連環境計画(UNEP)が公表している「フードウェイスト指標報告書」は、家庭・外食・小売の消費段階で捨てられる食品廃棄物を国別に集計する方式をとっており、生産から流通まで含めたロス全体を比較する調査とは範囲が異なります。つまり、「どの段階までを集計するか」によって同じ国でも順位が変わりうるため、ランキングの数字だけを見て一国の対策の巧拙を判断するのは早計だといえます。日本の順位を語るときは、どの調査・どの指標に基づく順位なのかを確認する視点を持つことが大切です。
世界の食品ロスの現状|生産量の3分の1が失われているとされる
国際連合食糧農業機関(FAO)は、世界で生産される食料のおよそ3分の1が毎年失われている、または廃棄されていると報告しています。またUNEPが2024年に公表した報告書では、小売・外食・家庭の消費段階だけで年間およそ10億トン規模の食品が廃棄されていると報告されており、これは消費者に提供される食料全体のおよそ5分の1に相当するとされています。一方でFAOと世界食糧計画(WFP)などがまとめた報告では、2023年時点で世界の7億人超が飢餓に直面していると推計されており、食料が足りている地域で大量に捨てられている一方、別の地域では十分な食料が届いていないという構造的なアンバランスが指摘されています。
食品ロスは、廃棄後にごみ処理施設で焼却される過程でも二酸化炭素を排出するため、気候変動対策の観点からも削減が急がれています。生産・流通・消費のどの段階でロスが生まれても、そこに使われた水や土地、エネルギーが結果的に無駄になってしまう点も見過ごせません。
日本の食品ロスの現状|2030年目標にどこまで近づいたか
農林水産省の推計によると、日本の食品ロス量は令和3年度(2021年度)に約523万トン(事業系約279万トン、家庭系約244万トン)でしたが、令和4年度(2022年度)の推計では約472万トンまで減少したと報告されています。これは調査を開始した平成24年度以降で最も少ない水準とされ、政府が掲げる「2030年度までに食品ロスを2000年度比で半減させ、489万トン以下にする」という目標に、想定より早いペースで近づいていることを示しています。
数字が改善している背景には、事業者側の取り組みだけでなく、家庭からの廃棄量も緩やかに減ってきていることが挙げられます。ただし、目標を達成したとしても食品ロスがゼロになるわけではなく、削減の努力を継続する必要がある段階にあることは変わりません。日本は食料の多くを輸入に頼っている国でもあるため、輸入した食料を大量に廃棄してしまう構造自体を見直す視点も欠かせません。
食品ロス削減に取り組む企業の事例|複数の工夫を比較する
食品ロス削減は行政の目標だけでなく、企業の現場でも具体的な工夫として広がっています。ここでは業態の異なる複数の取り組みを比較してみましょう。
コンビニ・スーパーの販売時点での工夫
コンビニエンスストアやスーパーマーケットの一部では、賞味期限や消費期限が近づいた商品を購入すると電子マネーのポイントが多く付与される仕組みを導入し、値下げに頼らずに売り切る工夫を進めています。経済産業省や小売業界が連携して呼びかけてきた「エコ割」のような取り組みは、廃棄を減らしながら消費者にもメリットを提供する仕組みとして広がってきました。
食品メーカーの賞味期限表示・納品ルールの見直し
加工食品業界では、賞味期限が3分の1を過ぎると小売店への納品を受け付けないという、いわゆる「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習が、まだ食べられる商品の返品・廃棄を生む一因として指摘されてきました。この課題に対し、賞味期限の表示を日付単位から月単位に切り替えたり、納品期限を緩和したりする動きが食品メーカーや小売業界の間で広がっており、商習慣そのものを見直す動きとして注目されています。
フードシェアリングサービスの広がり
売り切れずに廃棄されそうな食品を、飲食店や食品メーカーからお得な価格で購入できるフードシェアリングサービスの利用も広がっています。こうしたサービスは、廃棄予定だった食品を「まだ食べられる商品」として消費者に橋渡しする役割を果たしており、事業者にとっても廃棄コストの削減につながる仕組みです。フードバンク団体への食品提供と合わせて、余った食品を「捨てる」から「活かす」に転換する動きが企業と地域の両方で進んでいます。

家庭でできる食品ロス削減の3つのアクション
企業や行政の取り組みだけでなく、家庭での小さな選択も食品ロス削減に直結します。無理なく続けられる3つのアクションを紹介します。
買い物の前に冷蔵庫を確認する
家庭での廃棄の多くは、食べ切れる量以上に買ってしまうことから生まれます。買い物に出る前に冷蔵庫の中身を確認し、必要なものだけをリストにしてから店に向かうと、余分な購入を減らせます。結果として食費の節約にもつながる、続けやすい工夫です。
冷凍保存とリメイクで食材を使い切る
使いきれずに傷んでしまう食材を減らすには、余った野菜や肉をその日のうちに小分けして冷凍したり、残った料理を別の一品にアレンジしたりする工夫が役立ちます。野菜の皮を厚くむきすぎないなど、可食部を無駄にしない下ごしらえも合わせて意識すると、生ごみそのものを減らすことができます。
外食では「30・10運動」を意識する
会食での食べ残しを減らす合言葉として、環境省や自治体が呼びかけている「30・10運動」があります。乾杯から30分は料理を楽しむ時間にあて、お開き前10分は再び料理を食べる時間にするという、会話と食事にメリハリをつける取り組みです。注文の際に食べられる量を意識するだけでも、外食時の食品ロスは減らせます。

まとめ|小さな行動の積み重ねが世界と日本の食品ロスを減らす
食品ロスの世界ランキングは調査の指標によって順位が変わるため、数字だけを見て一喜一憂する必要はありません。大切なのは、日本の食品ロスが減少傾向にあることを踏まえつつ、企業の取り組みと家庭での選択の両方が削減に貢献しているという事実を知ることです。世界にはまだ食料が十分に届いていない人々が多くいる一方で、食べられる食品が大量に捨てられている現実があります。今日の買い物や食事の場面で、まずは1つだけ試してみてください。
- 食品ロスの順位は調査指標によって変わるため、数字だけで判断しない
- 日本の食品ロスは減少傾向にあり、2030年度目標に近づいている
- コンビニのポイント還元や賞味期限表示の見直しなど企業の工夫が広がっている
- 買い物前の冷蔵庫チェックと使い切る工夫が家庭でできる第一歩になる
本記事はMIRASUS編集チームが農林水産省・国連機関などの公的資料をもとに作成しています。
参考文献
- 農林水産省「食品ロス・食品リサイクル」(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/)
- UNEP「Food Waste Index Report 2024」(2024年・https://www.unep.org/resources/report/food-waste-index-report-2024)
- FAO「The State of Food Security and Nutrition in the World(SOFI)」(https://www.fao.org/publications/sofi/en/)


