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脱炭素社会で車はどうなる?ガソリン車がなくなるって本当?2026年の最新動向と買い替えの考え方

脱炭素社会で車はどうなるのか。ガソリン車がなくなるという話は本当なのか。結論から言うと、日本政府が掲げているのは「2035年までに新車販売で電動車100%」という目標で、ガソリン車の販売や走行を法律で禁じるものではありません。しかも、ここでいう電動車にはハイブリッド車(HV)も含まれます。

一方で、世界では2035年のエンジン車規制を緩める動きが2025年末から出ており、日本の自動車メーカーも戦略を見直しています。この記事では、日本の目標の中身、いま乗っている車の扱い、世界とメーカーの最新の動き、そして買い替えを考えるときの判断基準を順に整理します。

この記事で学べること

  • 日本の「2035年電動車100%」目標に、ハイブリッド車が含まれる理由
  • いま持っているガソリン車が乗れなくなるのかどうか
  • 2025年の日本の新車市場と世界の電気自動車の販売状況
  • EU・英国・米国の規制の変化と、ホンダが2040年目標を取り下げた経緯
  • 買い替えや乗り続けを決めるときの判断基準

日本の「2035年電動車100%」は何を求めているのか

話の出発点は、2020年10月に当時の菅総理大臣が表明した「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という方針です。これを受けて政府はグリーン成長戦略を策定し、自動車分野では乗用車の新車販売で2035年までに電動車100%を実現するという目標を掲げました。

脱炭素社会そのものの考え方を確認したい方は、次の記事もあわせてご覧ください。

「電動車」の範囲は電気自動車だけではない

経済産業省の資料では、電動車はEV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)を指します。つまり「新車販売で電動車100%」は、「新車がすべて電気自動車になる」という意味ではありません。ガソリンで走るエンジンを積んだハイブリッド車も、この目標の中に入っています。

元の記事では将来的にハイブリッド車も禁止になると予想していましたが、現時点で政府が示している目標の範囲では、そのような規制は示されていません。2050年のカーボンニュートラルに向けて、2035年より先をどう設計するかは、これから議論される部分です。

目標であって、販売禁止の法律ではない

もう1つ押さえておきたいのは、この2035年の数字が政策目標だという点です。政府が示しているのは電動車の販売比率の目標で、ガソリン車の新車販売を禁止する規制ではありません。資源エネルギー庁は、特定の技術に絞らず、あらゆる技術の選択肢を追求する立場を説明しています。

「ガソリン車がなくなる」という言い方は、実際には次の3つの話が混ざっています。

  1. 2035年に新車の販売をすべて電動車にするという日本の目標(ハイブリッド車を含む)
  2. EUなど海外で議論されてきたエンジン車の新車販売規制
  3. 2050年に向けた将来の走行の規制(日本では決まっていない)

この3つを分けて読むと、ニュースの見え方が変わります。

いま持っているガソリン車は乗れなくなるのか

目標が決まっても、すでに登録されている車の走行を日本が禁じる予定はありません。2035年の目標が対象にしているのは新車の販売であり、中古車の売買も目標の対象外です。

車は想像以上に長く使われている

自動車検査登録情報協会の資料によると、2025年3月末時点で乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.35年でした。新車で買った車が13年ほど走り続けるのが平均的な姿です。仮に2035年に新車がすべて電動車になっても、街を走る車が一斉に入れ替わるわけではありません。

車の入れ替わりが遅いことは、脱炭素の観点では課題でもあります。新車の電動化が進んでも、保有台数全体の排出量が下がるまでには時間がかかるからです。政府が2050年の目標を見据えて、燃料の脱炭素化(後述する合成燃料など)も並行して考えているのは、このためです。

2050年に向けた考え方

2050年のカーボンニュートラルは、2035年の目標より長い時間軸の話です。経済産業省は、自動車の生産・使用・廃棄を通じたCO2ゼロを目指す方針を示しています。2050年に向けた全体像は、次の記事が参考になります。

ガソリン車の走行を禁じるかどうかは、日本ではまだ決まっていません。今日の時点で「次の車検に通らなくなる」といった心配は不要です。ただし、燃料費や税制、自治体の補助の見直しなど、車を持つ費用に影響する制度は変わっていく可能性があります。

日本の新車市場の現在地

次に、日本の実際の販売状況を見ます。目標との距離を知るには、いまの数字を確認するのが近道です。

電気自動車の割合はまだ小さい

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の統計を集計した報道によると、2025年の国内のEV販売は6万677台で、乗用車全体に占める割合は1.6%でした。前年比では1.6%増で、2年ぶりに前年を上回っています。軽自動車を除く登録車のEVは3万9885台で、前年より17.1%増えました。

伸びてはいるものの、新車の大半がEVになる状況とはまだ距離があります。充電設備の整備や車種の充実、価格といった課題が、普及の壁として指摘されています。

売れているのはハイブリッド車

資源エネルギー庁の解説によると、2023年度の乗用車新車販売ではHVが約5割を占めています。日本では、電動車の中でもハイブリッド車が現実的な選択肢として選ばれている状況です。

この点が、「電動車100%」という目標が現実味を持つ理由でもあります。ハイブリッド車を含めれば、すでに新車の半分前後が電動車に当たるためです。一方で、ハイブリッド車はガソリンを使うため、走行中にCO2を排出します。「電動車の比率」と「CO2の削減量」は別の指標だと理解しておくと、数字を読み違えにくくなります。

世界のEV販売は4分の1に達した

世界に目を向けると、状況は大きく違います。国際エネルギー機関(IEA)の「世界EV見通し2026」によると、2025年の世界の電気自動車販売は前年比約20%増の2000万台超で、新車販売の約4分の1を占めました。そのうち約6割を中国メーカーが供給しています。

2026年は約2300万台、新車の3割近くに達する見通しです。ただし、2026年第1四半期は中国と米国の政策変更の影響で、世界の販売が前年同期比8%減になったとも報告されています。普及は続いていても、政策に左右されて足踏みする時期があることがわかります。

世界のガソリン車規制は「禁止」から「柔軟化」へ

元の記事では、欧州などの規制を「ガソリン車の禁止」の流れとして紹介していました。その後の2〜3年で、各地の規制は大きく動いています。

EUは2035年の規制を緩める提案をした

EUは2023年に、2035年から新車のCO2排出量を100%削減する(実質的にエンジン車の新規販売を認めない)ルールを定めました。これに対し、欧州委員会は2025年12月16日、2035年の削減目標を90%に改める案を公表しました。残る10%は、EU域内で作られた低炭素鋼や、合成燃料・バイオ燃料の利用で相殺する仕組みです。案では、プラグインハイブリッド車や航続距離延長用エンジンを積んだ車などが、2035年以降も一定の役割を持てるとされています。

欧州議会の手続き資料では、この案は法案として提出された段階にあり、最終的な内容は議会と加盟国の審議で決まります。この記事の執筆時点で最終合意に至ったかどうかは確認できていないため、最新の状況は欧州委員会や欧州議会の公表資料で確認してください。

英国は2030年に残しつつ、ハイブリッドは2035年まで

英国は、ガソリン・ディーゼルのみの新車を2030年から販売できなくする方針を維持しています。2025年4月に公表された制度の見直しでは、一定の電気走行能力を持つフルハイブリッド車とプラグインハイブリッド車は2035年まで販売を認める形になりました。同じ「2030年」でも、ハイブリッド車の扱いを含めて中身は元の記事の紹介とは変わっています。

米国カリフォルニア州は規制の根拠を失った

元の記事で触れていたカリフォルニア州は、2035年に新車をすべてゼロエミッション車にする規則(ACC II)を持っていました。しかし2025年6月12日、連邦議会が可決した決議にトランプ大統領が署名し、この規則の根拠となる連邦の認可が取り消されました。同日、11の州が無効を求めて提訴しており、法的な争いが続いています。

世界を見渡すと、「2035年に向けて一直線に禁止へ進む」という単純な図ではなくなっています。目標の年を動かす国もあれば、ハイブリッド車を残す国もあります。日本のように電動車の範囲を最初から広く取っている国は、むしろ現実路線に近い位置にいるとも言えます。

自動車メーカーの戦略は分かれている

メーカーの動きも、2021年当時から大きく変わりました。

ホンダは「2040年に全車EV・FCV」を取り下げた

元の記事が書かれた2021年4月、ホンダは「2040年に販売する新車をすべて電気自動車か燃料電池車にする」と表明していました。ところが2026年5月14日の「2026 ビジネスアップデート」で、この2040年の目標を取り下げ、2030年度まではハイブリッド車を四輪事業の中核に据える方針を示したと報じられています。あわせて、北米向けEV 3車種の開発中止も発表されました。

背景としては、米国でのEV優遇策の見直しや中国でのEV販売の伸び悩みが挙げられています。2021年には、EV一辺倒に慎重なトヨタと、全面電動化を掲げるホンダの方針が対比されていました。その差は、いまでは小さくなっています。

合成燃料(e-fuel)という別の道

もう1つの選択肢が、合成燃料(e-fuel)です。水素とCO2から作る液体燃料で、既存のエンジンやガソリンスタンドの設備を活かせるのが利点とされています。経済産業省は2023年6月にロードマップを公表し、商用化の目標を2030年代前半としました。2028年頃までに大規模な製造実証を進め、2030年代に導入拡大とコスト低減を図る計画です。

ただし、現時点では量産もコスト低減もこれからの段階です。燃やせば走行中にCO2は出るため、原料のCO2を回収して「差し引きゼロ」にする考え方で成り立っています。電気自動車に代わる決定打というより、すでに走っている車の排出を減らす手段の1つとして位置づけるのが妥当です。

複数の道が並ぶことは、悪いニュースとは限らない

メーカーの方針転換を「脱炭素の後退」とだけ読むのは早計です。EVの電池に使う鉱物や充電設備、電力の脱炭素化といった課題があるなかで、ハイブリッド車や合成燃料も含めて排出を減らす道を並行して進める考え方もあります。大事なのは、どの技術であっても「実際にCO2が減るのか」という点で見ていくことです。

買い替え・乗り続けを考えるときの判断基準

最後に、読者の立場から何を基準に考えればよいかをまとめます。電気自動車に乗ることだけが脱炭素への貢献ではありません。

使い方に合うかを先に確認する

まず確認したいのは、自分の車の使い方です。毎日の走行距離、自宅や職場に充電できる場所があるか、年に何回長距離を走るかで、向く車は変わります。集合住宅で充電設備が使えない場合、EVは日々の使い勝手に影響します。この点は、電気自動車の性能よりも先に確認すべきポイントです。

費用と補助金を、購入前に公式情報で確かめる

電気自動車やプラグインハイブリッド車には、国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金があります。東京都のように、独自に上乗せする自治体もあります。補助額は年度や車種、登録日で変わり、情報源によって数字が食い違う場合もあるため、購入前に経済産業省と自治体の最新の公表資料で確認してください。

「いま乗っている車を長く使う」も選択肢

新しい車に買い替えると、車の製造にも資源とエネルギーが使われます。いまの車が問題なく使えるなら、整備をしながら乗り続けることにも意味があります。そのうえで、次の買い替え時に、使い方に合う電動車を選ぶ。そうした順序で考えても、遅すぎることはありません。

日々の運転でできることもあります。タイヤの空気圧を点検する、急発進を避ける、近距離なら徒歩や自転車、公共交通を選ぶといった工夫は、車種に関係なく燃料の使用量を減らします。

まとめ

日本の「2035年までに乗用車新車販売で電動車100%」は、ハイブリッド車を含む目標であり、ガソリン車の販売や走行を法律で禁じるものではありません。いま乗っている車がすぐ使えなくなる心配はなく、乗用車の平均使用年数が13年を超えるなかで、入れ替わりは時間をかけて進みます。

世界では2025年に電気自動車が新車の約4分の1に達した一方、EUは2035年の規制を緩める案を出し、米国カリフォルニア州の規制は根拠を失い、ホンダも2040年の目標を取り下げました。「ガソリン車は禁止される」という単純な見方では、いまの動きを捉えきれません。次の車を選ぶときは、使い方、費用、補助金の最新情報を踏まえ、自分の暮らしに合う選択を考えてみてください。まず1つだけ試すなら、次の車検や買い替えの時期と、自宅の充電環境を確認してみてください。

  • 日本の2035年目標は電動車の販売比率で、ハイブリッド車も含まれ、ガソリン車の走行禁止ではない
  • 2025年の国内EV販売は乗用車の1.6%で、世界では新車の約4分の1がEV
  • EUは2035年の規制を90%削減に緩める案を公表し、ホンダは2040年の目標を取り下げた
  • 買い替えは、使い方・費用・補助金の最新情報の順に確認する
  • 乗り続けることや運転の工夫も、燃料使用量を減らす選択肢になる

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
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