SDGsの達成にはAI(人工知能)の活用が欠かせません。
なぜなら、SDGsの達成には劇的なイノベーション(技術革新)が必要だからです。
農業、医療、物流、交通、教育などあらゆる分野でイノベーションによる効率化や進化が求められています。
AIは、私たちのあらゆる生活の場面において、劇的なイノベーションを起こすことができます。
本記事では、SDGsの達成にAIが欠かせない理由を解説するとともに、イノベーションが変える未来について説明していきます。
SDGsとAIの関係性
SDGsとは、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)のことで、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成されています。
SDGsで定められた目標の達成には、さまざまな努力やイノベーションが必要です。
なぜなら、現在の生活スタイルは大量生産と大量消費に支えられていて、このままではCO2の削減はおろか、資源の枯渇や環境汚染によって人間生活が持続できなくなる可能性があるからです。
限りある資源を守り、人類の活動と繁栄が未来永劫続くためには、私たちひとり一人の意識改革や行動の見直し、そして劇的なイノベーションが必要です。
劇的なイノベーションを実現させるためには、AIによる革新的な未来の創造が欠かせないのです。
SDGsの達成にAIが欠かせない理由
それではSDGsの達成にAIが欠かせない理由について解説していきます。
AIが活躍する場面は幅広いのですが、ここではわかりやすく3点をご紹介します。
エネルギーや資源の効率化
SDGsの達成には、エネルギーや資源の効率化が欠かせません。
化石燃料に依存したエネルギー消費を、再生可能エネルギーや核融合発電などの新しい技術に代替することが必要です。
これらの新しい技術開発やエネルギー消費の効率化にAIが必要とされます。
AIはエネルギー開発のシミュレーションで利用されたり、電力の需要を予測して無駄な電力消費を抑えたりすることに使われます。
参照元:
・世界の叡智を集結した究極のエネルギー|東芝エネルギーシステムズ株式会社
・AIで燃料調整を効率化、火力発電の運用コストを1億円削減|三菱日立パワーシステムズ
労働の削減
AIは、これまで人間が役割を果たしてきたさまざまな労働を削減してくれます。
例えば、工場や店舗、会社での単純作業をAIが自動化して削減したり、危険な現場での作業をAIを使ったロボットが代わりにやったりしてくれます。
将来は、タクシーやトラックの運転なども、AIが役割を果たしてくれるでしょう。
AIが自動で人や物を運ぶことによって、より安全で便利になります。
業務の高速化
AIは圧倒的なスピードで業務を高速化してくれます。
膨大なデータを分析したり、必要な情報を瞬時に取り出したりすることができるAIは、時間のかかっていた業務をどんどん高速化していきます。
それにより、人々はもっと多くの情報を活用したり、自分の時間を有効に活用できたりするようになります。
SDGsに貢献するAIの事例
SDGsにおいてAIが果たす役割について、より具体的な事例をご紹介します。
農業分野(画像処理とドローン、農薬散布やピーク予想)
AIは農業分野でも貢献することができます。
高度な画像処理技術とドローンを組み合わせることによって、農薬や肥料の散布を効率的に行うことができます。
いままでは、大きな農地にくまなく農薬や肥料を散布する必要がありました。
作物のどこに病気が発生し、農地のどこに栄養が足りないのかがわからなかったからです。
ですが、AIによる画像処理技術と自律的な飛行ができるドローンがあれば、農地全体の中で問題が起きている作物だけにピンポイントで農薬や肥料をまくことができます。
無駄なコストを削減するだけでなく、自然環境にも優しく、より健康的な作物が育てられるようになります。
また、AIによって栽培が高度化されると、日光の量や水、肥料を調整して作物がなる時期を調整することができます。
あわせて天候や市場の動向から需要を予測し、ピークに合わせて出荷時期を調整することもできます。
作物の無駄がなくなることで環境にも良いし、市場価格を安定させることで誰もが安心して農作物を食べることができるようになります。
参照元:農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会|農林水産省
医療(画像処理とがん治療)
AIは医療分野でも活用が期待されます。
例えば画像処理技術によってガンを早期に発見したり、ガンの外科手術や治療を超精密なロボットが無駄なく効果的に行うことができます。
AIが健康診断を行うことで、病気を未然に防いだり、病気になる前に治療ができるようになります。
医師や看護師が近くにいなかったり、病院が近くになくても、遠隔技術とAIがあれば、定期的な診断や病気の相談もできるようになります。
診断後には、自動的にドローンが必要な薬を運んでくれることでしょう。
物流(CO2削減と在庫削減)
物流には主に空運、海運、陸運がありますが、AIによって自動化と効率化が期待できます。
身近な陸運で例えると、宅配便がドローンで自動化されたり、コンビニの配送が自動化されたりします。
必要な時に必要なだけ物流がリアルタイムで動くことにより、無駄なCO2の発生が削減されたり、無駄な在庫が削減されたり、廃棄処理を減らしたりすることも可能です。
参照元:交通・物流 設備・インフラで活用されるAI|経済産業省
交通(自動運転とCO2削減)
AIにより交通が自動化されることで、悲しい事故が無くなります。
渋滞や迷惑駐車なども減ることで、CO2も削減されます。
運転が不要になれば、より多くの人が行きたいところに行けるようになります。
移動時間が短縮されたり、移動に伴うコストが減ったりして、生活も豊かになるでしょう。
参照元:先端技術について|内閣府
教育(習熟度の管理と遠隔教育)
地域や家庭環境による教育格差をAIが是正できるようになります。
優れた授業をたくさんの子どもとたちが遠隔で受けることができるようになったり、子どもひとり一人の習熟度をAIが把握して、その子にあった勉強を提案できるようになります。
授業の遅れを挽回したり、得意な科目の成績を伸ばすこともできるようになるでしょう。
参照元:ICTの活用の推進|文部科学省
SDGsにとってAIはデメリットもある
AIは、SDGsの達成には欠かせないイノベーションです。ですが、AIによってもたらされるデメリットもあります。
AIによってもたらされるデメリットを3つ紹介します。
格差の拡大
AIを十分に活用できる国や人々と、その恩恵を十分に得られない国や人々の格差が広がることが考えられます。
「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」ということも起こりかねません。
できるだけ平等に、そして多くの人にAIの恩恵が受けられるようにする必要があります。
参照元:人工知能がもたらしうる富裕国と貧困国の格差拡大|国際通貨基金
インフラ整備の違いによる恩恵の差
AIはITテクノロジーです。
インターネットや電力が十分に利用できる環境が必要です。
ですが、砂漠地帯やジャングルの奥地と言ったインフラが整備されていない場所だと、ITテクノロジーの恩恵が受けられない可能性があります。
地球のどこに行ってもAIの恩恵が受けられるようなインフラ整備が必要です。
効率化によるエネルギー消費量の増大
物流や交通、労働などが効率化することによって、無駄なエネルギーは削減されます。
その一方で、AIの進化によって必要な電力量が増えたり、効率化によってより多くの需要に応える必要が出てくると、いままで以上にエネルギーを消費することが考えられます。
例えば、AIは膨大な計算をするために、コンピューターは多くの電力を必要とします。
そして、高速で稼働するコンピューターはたくさんの熱を排出しますので、その熱を下げるための空調の電気にも多くのエネルギーを必要とします。
再生可能エネルギーの活用や省電力化の技術も同時に進めていく必要があります。
まとめ:SDGsの達成にはAIが欠かせない
SDGsの達成には、AIが欠かせない理由について解説しました。
AIはイノベーションを起こすことによって、いままでできなかったことを実現することができます。
効率化や高速化、自動化によって、労働を削減したり、より付加価値の高い成果や生産性を高めることができます。
一方で、AIによって格差が拡がったり、AIの恩恵を受けられないというデメリットも懸念されます。
効率化によって、エネルギーがもっと必要になることも考えられます。
SDGsを達成するためには、AIを活用したイノベーションが欠かせません。
AIをうまく活用して、より多くの人に恩恵が与えられるようにバランスを考える必要があります。
デメリットを最小限に抑え、メリットを最大限に享受できるようにAIの活用を考えていきましょう。