2017年、香川大学の一つのゼミがきっかけとなり、香川大学生による香川県民へ向けた環境問題啓発プロジェクト「香川大学学生ESDプロジェクトSteeeP」が立ち上がりました。
このプロジェクトは、食品ロス、海ごみ、そしてSDGsに関する様々な活動を実施しています。団体のビジョンは「香川から世界へ!エコな社会を目指して」。今回は香川大学学生ESDプロジェクトSteeePの設立の経緯、団体のビジョンとミッション、そして具体的な活動内容について、団体メンバーで香川大学3年生の日笠さん、2年生の池田就さんに、MIRASUS編集部がお話を聞きました。
「香川大学学生ESDプロジェクトSteeeP」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
設立は2017年です。大学でのゼミをきっかけにして、香川大学生による香川県民の皆様に向けた環境問題の啓発活動を目的に活動をスタートしました。食品ロスや海ごみ、そしてSDGsに関する様々な活動を実施しています。
―団体名の由来を教えてください。
「ESD」は「Education for Sustainable Development」の頭文字から取っています。「SteeeP」の3つの「e」は「environment(環境)」「energy(エネルギー)」「education(教育)」を表していて、この3つのeについて一歩ずつ取り組んでいくことに由来しています。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
団体のビジョンは「香川から世界へ!エコな社会を目指して」で、ミッションは「香川県民の皆様に環境問題を身近な問題として認識していただくこと」としています。
私たちは香川から世界へ持続可能な社会を目指すことを目標とし、様々な活動を通じて香川県民の方にSDGsや環境問題を身近に感じてもらい、それを行動に繋げていくことを目指しています。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
私たちは環境問題やSDGsに取り組む学生プロジェクトです。フードドライブや海ゴミイベント、環境出前講座や企業取材等の幅広い活動に取り組んでいます。また、香川県学生地球温暖化防止活動推進員としても活動しています。
フードドライブでの活動は、3年前の10月30日、食品ロス削減の日から始めました。現在は毎月第3土曜日に地域のコミュニティセンターや商店街に赴いて、フードドライブを実施し、今までで合計で25回行い、約2800kgの食品ロス削減に貢献してきました。
特に最近では、市役所と連携したフードドライブウィークをスタートし、地域のスーパーや企業とも協力しながら活動を展開しています。
―海ごみイベントはどのような取り組みですか?
年に1回もしくは2回の開催で、2日間のイベントを行っています。1日目に座学で知識を深め、2日目に実際に高松市の海岸でごみ拾いを行っています。また、今後は行政や地域コミュニティ等と連携してイベントを開催する計画を進めています。
イベントの参加者は、主に小学生とその家族の皆様で、学生10名から15名が運営メンバーとして参加し、ペアを組んで一緒にごみ拾いを行います。
―なるほど。出前授業などもされているそうですね。
はい、私たちは「環境教育」にも力を入れていて、定期的に香川県内の小学校や地域のコミュニティセンターに赴き、環境問題や食品ロスをテーマにした授業を行っています。
座学の他にも、エコ工作を行い、例えば廃食油を利用してキャンドルを作ったり、保冷剤を使用してスノードーム作りをするなど、小学生の子たちが興味を持ってくれるように色々と工夫しています。
―大学内でも何か取り組みがあれば教えてください。
今年から香川大学内で「グリーンカーテン」の取り組みを再スタートしました。大学の自習スペースの部屋に大きな窓があるのですが、そこに植物を育ててグリーンカーテンを設置することで、真夏の室内のエアコン設定温度が適切になるようにしています。
私たち学生と先生にも協力していただきながら、毎日水やりをして植物を育てています。きゅうりやトマト、ゴーヤなどが実になるので、収穫もできてメンバー同士で持って帰って食べたりしています。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
香川大学の学生が40名ほど所属していて、担当教員が1名ついています。幹部は代表1名・副代表3名で、活動する班は「食品ロス班」「環境教育班」「海ごみ交流班」「取材班」の4部門で構成されています。
―団体に加入するのはどんな入会理由が多いですか?
- 「環境問題が進行することへ危機感を感じ、自分にできることに取り組みたい」
- 「SDGsや環境問題を中学・高校時代に学び、大学生として発信していきたい」
- 「組織で自発的に活動し、地域に関わりたい」
主にそういった想いを持って、活動に参画してくれる学生が多いです。
団体活動の特徴とは?
―団体の特徴やユニークな点を教えてください。
私たちの団体は、学生が主体となり運営を行っているのが特徴です。さらに、全学部からメンバーが集まり、部門制を導入することで役割分担を明確にし、企画から開催まで各自が責任を持って実施しています。
また、活動を通じて行政、商店街、コミュニティセンター、小学校、スーパーといった様々な立場の方々と連携を図りながら地域社会に貢献しています。特に、香川県の「食品ロス削減キャラクターたるる」を用いた啓発活動は、私たちが独自に行っているユニークな取り組みで、食品ロスの問題を広く知ってもらうべく活動しています。
―活動を行う中でのやりがいを教えてください。
私たちの活動を通じて食品ロス問題などに対する関心を持っていただけたときや、活動に参加いただいたときに、やりがいを感じます。また、環境問題に対して積極的に取り組む中で、行政や企業との協力・連携を実現し、多くの関係者の方と交流しながら広い範囲で地域貢献を行えることも大きなやりがいと感じています。
―反対に大変な点はどんなことがありますか?
大変な点としては、イベントの企画から運営までを実施する際に、参加者目線を常に意識しながら準備を進めることが挙げられます。特に、海ごみイベントでは参加する子どもたちの安全確保が何よりも重要です。
さらに、どのイベントも開催日に向けて逆算しながら、地域のコミュニティセンターや小学校、行政や企業の方々など、外部の人たちと連携しながら進めていくことは、スケジュール管理や対応力などときに難しく感じる点です。また、小学生の子どもたちから大人の方まで幅広い世代の方に向けて実施しているため、年齢に応じた発信方法も求められています。
―団体に入ってからの学びや気づきなどがあれば教えてください。
まずは、環境問題や食品ロスについての知識が身につきました。知識を身につけるとともに、イベント等を企画から運営までを行い、啓発活動を実施しているため問題をより身近なこととして捉えるようになりました。また日常生活でも活かし、例えば買い物に行った際には、手前取りということを意識して行動するようになりました。
さらに、活動を行っていく中で行政や企業との関わりが増え、様々なイベントで外部の方と話す機会が増えたことが新たな学びとなっています。
学生の立場だと、普段は大人の方々と話す機会があまりないのですが、行政・企業と連携して企画を進めていく中で、様々なサポートやアドバイスをいただき、これが自分の視野を広げ、とても勉強になっています。
―最後に、今後の活動予定について教えてください。
「全国省エネミーティングへの登壇」「香川県庁でのフードドライブウイーク」「海洋プラスチック・ゼロ会議への参加」等各月、毎週様々なイベントへの出展や参加をしています。
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
今回活動をご紹介した「香川大学学生ESDプロジェクトSteeeP」のページはこちら
Instagram:https://www.instagram.com/steeep.kagawa/
X(旧Twitter):https://twitter.com/Steeep2