2022年に誕生した学生団体「Innovation Around 20(あらとぅ)」(以下、あらとぅ)。around20世代を中心に、スローファッションの魅力を広める活動を展開しています。
「あらとぅ」が目指すのは、「おしゃれに、カッコよく、楽しく」をキーワードにした、持続可能な消費のあり方の提案。ビジョンとして掲げる「エシカル消費、地球にやさしい消費選択が当たり前の世界」の実現に向け、古着回収やイベント開催を通じて、楽しみながらスローファッションの魅力を伝えています。
今回は「あらとぅ」代表で青山学院大学2年生の佐藤さんにお話を伺いました。
「あらとぅ」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
「あらとぅ」は2022年に設立しました。現在around20世代と呼ばれる若者たちに「スローファッション」の魅力を伝え、行動を促すことを目的としています。
私たちは、ファストファッションが抱える社会問題を解決するためには、消費者側の意識と行動の変化が必要だと考えました。特にこの世代は、安い服を使いすぐ捨てがちで、この問題に取り組むため、立ち上げたのが「あらとぅ」です。
―団体名の由来を教えてください。
団体名の「Innovation Around 20(あらとぅ)」は、around20(20歳前後)世代の消費行動を変容させる(Innovation)という意味を込めています。この世代に特化したアプローチで、意識改革を目指していきたいという想いが込められています。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
ビジョンとしては、「エシカル消費、地球にやさしい消費選択が当たり前の世界を実現する」ことを掲げています。
また、ミッションとして、「『スローファッション』を同年代に対して、おしゃれにカッコよく楽しく伝え、広める」ことを目指しています。おしゃれを大切にしながらも、社会的な課題に真摯に向き合う姿勢を大切にしています。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
主な活動としては、古着回収、イベント開催、外部イベントへの参加の3つです。
地域やイベントを通じた古着回収を積極的に行いながら、私たちが定期開催するイベント「Link20」では、古着を活用したコーディネート対決やワークショップを行い、スローファッションを楽しく学べる場を提供しています。特に人気のある「コーデ対決」では、参加者が古着を使った斬新なコーディネートを披露し合い、楽しみながら持続可能なファッションについての意識を高めています。
また、「あらとぅ」では、古着をただ回収するだけでなく、新たな使い道を模索しています。過去には、回収した古着を使ってエコバッグ「あずま袋」を作るワークショップを実施し、大変好評でした。
他にも、廃棄予定の食品を利用した染色のワークショップも人気で、最近では、玉ねぎの皮を利用して布を染める試みを行い、フードロスとスローファッションを掛け合わせたユニークな取り組みが話題となりました。
―いらなくなった服を単に回収するだけでなく、様々な活用方法を提案しているのですね。
リサイクルは、しっかりと出口を見つけることも重要な課題の一つです。リサイクルを行うだけでなく、自分たちの手で新しい価値を創り出すことにも取り組みたいと考えていて、フリマアプリでの販売やリメイク商品の制作も視野に入れています。
しかし課題も多く、特に回収した服の保管スペースや管理体制の整備が大きな壁となっています。現在は団体が所属する青山学院大学の倉庫を利用していますが、スペースの制約や運営資金の不足などが課題として挙がります。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
現在、代表1名、副代表2名、広報10名、渉外7名、メンター5名の計25名で活動しています。それぞれの役割に応じて、チーム一丸となって取り組んでいます。
「学生時代に何か熱中できることをしたい」「古着が好き」「環境問題や社会問題に興味がある」など、さまざまな理由からメンバーが集まっています。特に「古着」や「環境問題」に関心を持つ人たちが多いです。
団体活動の特徴とは?
―他団体と違う何かユニークな特徴があれば教えてください。
私たちは社会問題に真剣に取り組むだけでなく、「おしゃれ」「カッコいい」「楽しい」という視点を大切にしています。真面目に深く考え込むのも大事ですが、それよりも自分たちがおしゃれにカッコよく楽しく、持続可能な方法で課題解決を目指すことに、常にこだわっています。
また、メンバーが主体的にプロジェクトを提案し、実現できる自由な環境も特徴の1つです。たとえば、過去にはメンバーがインスタグラムで見つけた着物リメイクブランドと連携し、イベントを開催した例があります。このように、個人の関心やアイデアから新たな活動が生まれる仕組みが「あらとぅ」の強みです。
一方で、「何をやりたいかわからない」という新しいメンバーも多く、まずは「できること」を増やす段階にあります。そのため、イベントの企画や運営を通じて経験を積むことで、自分のやりたいことを見つけられる環境を提供しています。
―普段の活動の学びや気づきなどがあれば教えてください。
「あらとぅ」が伝えたいのは、「回収ボックスに入れることがゴールではない」というメッセージです。多くの服が海外に送られた後、現地で利用されることなく廃棄されたり、埋め立て地に送られるなど、問題が解決されていないケースが多いです。
「服を買う前に本当に必要かどうかを考えること。買った服を大切に長く着ること。そして、不要になった服を捨てるのではなく回収やリメイクの選択肢を検討すること。」「あらとぅ」はこの3つのポイントを積極的に伝えています。
―最後に、今後の活動方針について教えてください。
今後、「あらとぅ」はスローファッションの普及に向けた取り組みをさらに拡大する計画です。特に20代前後の若者をターゲットに、ファッションを通じた環境配慮の選択肢を提案し続けることが目標です。また、保管スペースの拡充や、地域と連携したリサイクルイベントの開催なども視野に入れています。
さらに、回収した服をアップサイクルするプロジェクトの強化や、企業との連携を通じた新たな取り組みの模索も行っています。これらを通じて、若者世代が地球にやさしい消費行動を「当たり前」の選択肢として考えられる社会の実現を目指しています。
また、今年 3月28日・29日に下北沢でイベントを開催予定です。このイベントでは、さらに多くの人にスローファッションの魅力を伝えられるよう、さまざまな企画を準備中です。ぜひ足を運んでいただければと思います。
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
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