ASANTE PROJECTは2016年の春、早稲田大学と上智大学の2人の学生が、アフリカのタンザニア現地の校長先生の言葉に動かされ立ち上がりました。目指したのは、単なるボランティアではなく、現地の声に耳を傾け、行動を通じて真の国際協力を行うこと。
今回はASANTE PROJECTの活動理念と現在までの活動内容、今後の展望について、団体代表で上智大学2年生の功刀さんに、MIRASUS編集部がお話を聞きました。
「ASANTE PROJECT」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
団体設立は2016年4月です。「おもちゃの前に鉛筆が足りないのです。」2016年春のタンザニアでのボランティア活動の際に現地の校長先生に言われたこの言葉を受けて、創設代表の稲川と小林が結成を決意。単なる思い出作りではなく、現地のニーズを肌で感じ、行動することによって本当の国際協力を目指し、ASANTE PROJECTは立ち上がりました。2018年には大阪支部も設立しています。
―団体名の由来を教えてください。
「ASANTE」はスワヒリ語で”ありがとう”という意味です。現地の声、「ASANTE(ありがとう)」を学生の力で生み出すという思いをこめて名付けられました。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
ASANTE PROJECTの活動理念は下記の3つです。
- 現地のニーズを肌で感じ、行動に移す
- 持続的かつ将来性のある支援を目指す
- 学生の力で社会に変革をもたらす
団体としての最優先事項は現地のニーズに応えることです。実際に年に2回タンザニアへ渡航することで目で見て、顔を合わせて現地の要望を把握するようにしています。
また、一時的な支援にならないこと、自立できないほど依存関係が強くなりすぎないようにすることも意識しています。
―学生の力で社会に変革をもたらすとは?
この点に関しては、創設メンバーである稲川と小林が、創設当時、それぞれ早稲田大学と上智大学出身の学生であることが所以しています。
私たちはタンザニアのNGOさんに現地の案内などで協力していただくことはありますが、基本的には全て学生が中心となり、自分たちで企画から実行まで行っています。学生だけで考え、行動することに意味があると信じていて、メンバーみんなが積極的に活動に参加しています。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
私たちはアフリカ地域の主にタンザニアの子どもたちの教育支援を行っています。タンザニアで購入したキテンゲやカンがと呼ばれる伝統布(アフリカ布)を用いてポーチやペンケース、ピアスなどのハンドメイド商品を当団体メンバーが手作りして、学内や学外のイベントなどで販売しています。
そして、その売上や企業の皆様からの協賛金、クラウドファンディングで得た資金を用いて、例年2月と9月頃の年に2回、タンザニアへメンバーの数人が渡航し、支援校の幼稚園や小学校の教室数やトイレ、キッチンなどの建設を行っています。
また、協賛企業様からいただいたチョークや鉛筆などの文房具を支援校に寄付する物資支援も行っています。タンザニアでの活動時には、現地のNGOであるBright Aid for Tanzanian Ahildの方々に協力してもらっています。
国内ではワークショップやSNSでの広報活動などを通したアフリカの負のイメージの払拭も目指しています。
―いろんな活動をされているんですね。ハンドメイド商品はどのぐらいの頻度で販売しているのですか?
学内のスペースを借りて、年に3回ほど1回あたり2〜3日間、上智大学の学生に向けて販売したり、ソフィア祭(学園祭)にも出店しています。あと、いま東京のアフリカ料理屋さんに商品を置かせてもらう計画が進行中で、話が進めばそちらで販売する予定です。今後も機会を増やしていろんなところで販売していきたいです。
―アフリカの負のイメージの払拭とは具体的にどのようなことがあるのでしょうか?
アフリカと聞くと、途上国や貧困など、日本人から見てどちらかというと可哀そうという負のイメージが強いと思います。たしかに、日本の生活と比べると不自由を感じてしまう場面が無いという訳ではないのですが、でも、実際に現地の人たちと交流をはかると、本当にみんな明るく楽しく生活しています。
タンザニアを訪れた際にも、そこの文化や魅力に触れることができました。特にアフリカのリラックスした雰囲気や ”ポレポレタイム” と呼ばれる時間に縛られない生活様式は素敵だなと感じました。そういったアフリカならではの魅力もたくさんあり、ポジティブな側面をもっと伝えていきたいです。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
ASANTE PROJECTは東京本部が約40人で大阪支部は約15人所属しています。企画部・広報部・渉外部の3部署で成り立っています。
―団体に加入するのはどんな入会理由が多いですか?
人によって様々ですが、国際協力に関心があるため活動に参加している学生が多い印象を受けます。特に、対象がアフリカ地域という点が珍しく興味を惹かれたという話をよく聞きます。また、当団体が販売しているアフリカ布のハンドメイド商品の鮮やかな柄などに魅力を感じたというメンバーもいました。
団体活動の特徴とは?
―他団体と違う何かユニークな特徴があれば教えてください。
何と言っても支援先を生で見ることができ、子どもたちと触れ合える点ですね。渡航を通してタンザニアならではの空気感なども味わえます!また、協力いただいているNGOはいるものの、ほとんどが学生主体で動かしている団体である点も特徴の一つだと思います。
―活動を行う中でのやりがいや、反対に大変なことを教えてください。
実際にタンザニアに行って自分たちが集めた資金を用いて学校施設などが作られ、子どもたちの笑顔が見られることです。現地に滞在している間に学校ができあがることもあります。
また、ハンドメイド商品の販売時やワークショップで「アフリカってこんな面があったんだ!」という声を聞ける場面も嬉しい瞬間ですね。一方で、コロナ禍の影響により海外渡航など活動が一時的に停滞した期間は苦しい時期でした。
学業との両立はもちろん、イベントやワークショップ、協賛企業などは自分たちで企画を探す必要のある場合が多く、やろうと思えば何でもできる自由さがある反面、自分たちが動かなければ活動機会を得られない点が大変だと感じます。
―団体に入ってからの学びや気づきなどがあれば教えてください。
一番は、やっぱり現地に行くことができた点がすごく自分にとって大きかったなと思っています。
訪れることにより、目の当たりにする現地の風景やそこに漂う空気感に接することで、アフリカに関するイメージは、具体的なものへと変化しました。初めに抱いていた貧困などのネガティブな先入観に対し、実際に足を運んでみると、想像とはまったく異なる生活様式や魅力的な文化があり、そこに住むことに魅力を感じるほどでした。また、現地の人々との対話は、非常に貴重な体験となりました。
―最後に、今後の活動方針について教えてください。
11月から12月いっぱいまでクラウドファンディングを行います。今回は教室の屋根と床の建設費を募るためにご協力をお願いしています。
支援先の学校で教室数が不足しており、複数の学年が同じ教室で授業を受けています。校長先生や教員の希望は、子供たちが集中して学習できる環境を整えることです。そこで今年の2月から教室の建設を進めましたが、予算不足で床と屋根が完成せず、工事が中断してしまいました。
子供たちがのびのびと勉強ができるための環境を整えるために、今回のプロジェクトを成功させたいと思います。また、来年の2、3月には今回のプロジェクトの進行のために団体メンバーで実際にタンザニアへ渡航し、現地視察を行います。
◯ クラウドファンディングのページはこちらから
子どもたちに集中できる環境を in Tanzania – クラウドファンディング READYFOR
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
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