地方創生は少子高齢化が日本において、非常に重要なキーワードです。
なぜなら、このまま少子高齢化が進むと、地方はどんどん人口が減っていき、地域経済が成り立たないばかりか、ふるさとが消滅してしまう危険性すらあるからです。
推計によると、2040年には全国896の市区町村が「消滅可能性都市」に該当。うち、523市区町村は人口が1万人未満となり、消滅の可能性がさらに高い。
引用元:「地域消滅時代」を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について|国土交通省
地方には独特の伝統や文化があり、ふるさとを愛する人もたくさんいます。
誰もが安心して暮らせる社会を実現するためにも、地方創生は欠かせない取り組みなのです。
この記事では、地方創生の取り組みについて具体的な事例をご紹介をお伝えします。
地方創生について理解を深めたい方は、最後までぜひ本記事をお読みください。
地方創生の取り組み『地方が取り組む具体的な事例をご紹介』
地方創生の最新事例を、2021年 6⽉内閣府地⽅創⽣推進室の『SDGs未来都市・⾃治体SDGsモデル事業 事例集 』をもとにご紹介していきます。
より多彩な事例を知りたい方は、こちらの資料を参考にしてください。
参考:2021年 6⽉内閣府地⽅創⽣推進室『SDGs未来都市・⾃治体SDGsモデル事業 事例集 』
事例①:北海道上⼠幌町「だれもが⽣涯活躍・環境と調和したビジネス展開」プロジェクト
北海道上⼠幌町は、人口減少・流出や地域経済の停滞に歯止めをかけるため、次世代高度技術を活用して疫病や災害に強い住民の幸せ本位のまちづくりを進めています。
北海道上⼠幌町が目指す2030年のあるべき姿
①食料とエネルギーの自給
②環境と調和したビジネス展開で強靭な地域と経済を実現
③だれもが生涯活躍のまちづくりでQOL向上、
④人材還流と新ビジネス展開
⑤スマートタウンの構築
2030年のあるべき姿の実現に向けて行う取り組み
(経済)雇⽤の創出と外貨獲得による地域経済の活性化
(社会)若年層の社会増と⽬標⼈⼝達成で地域社会を維持
(環境)資源循環型農業と再⽣可能エネルギーの地産地消
北海道上⼠幌町の取り組みの事例
まちづくり会社が運営している「かみしほろ人材センター」では、上士幌町の法人や個人から短期で簡単な仕事の依頼を受け、人材センターの会員の方に仕事を行ってもらう仕組みを作っています。
人材センターの会員の方は、これまで培ってきた「得意なこと」や「できること」を生かしてもらうことができます。
例えば、趣味で続けていた庭作りの知識を生かして、庭の剪定作業を請け負っている会員の方もいて、やりがいある仕事ができているそうです。
参照元:お父さんとの思い出の庭の手入れを、同じ町民が手助けしてくれた。|上士幌ホロロジー
事例②:⼭形県⽶沢市『市⺠総参加で実現するSDGs未来都市⽶沢』
人口減少等の課題を抱えつつも将来にわたって持続可能な「未来都市」であるために、ものづくり、健康長寿、環境教育をより高次元なものへと発展させる取り組みを進めています。
⼭形県⽶沢市が目指す2030年のあるべき姿
①鷹山公のつくりあげた「ものづくり」産業が市内経済をけん引するまち
②「現代の藩政改革」による健康長寿日本一のまち
③「草木塔」などの本市独自の精神文化を基軸にSDGsを実装する環境教育先進都市
2030年のあるべき姿の実現に向けて行う取り組み
(経済)市内企業間や企業と大学との連携や米沢ブランド戦略の推進による市内産業の高付加価値化
(社会)健康寿命の延伸と暮らしの満足度の向上
(環境)環境教育とCO2削減・吸収源対策の推進によるゼロカーボンシティの実現
⼭形県⽶沢市の取り組みの事例
米沢ブランド戦略推進プロジェクトでは、市民が一体となり、産品やサービス、観光、文化、行政など様々な領域で米沢品質向上の運動を起こすことで、米沢全体を高付加価値化し、まちの活性化と関係人口の拡大を目指しています。
米沢牛などの特産品のPR強化はもちろん、旅館や地場産業なども「米沢ブランド」として盛り上げています。
参照元:米沢ブランドについて|米沢品質
事例③:愛知県小牧市『SDGs未来都市こまき』
愛知県小牧市では、こどもを中心にすべての人がつながり、年齢・性別・国籍・障がいの有無等に関わらず、それぞれの個性や能力を活かすことができる“誰一人取り残さない”持続可能で多様性と包摂性のあるまちを目指しています。
愛知県小牧市が目指す2030年のあるべき姿
・若年世代から支持される魅力あふれるまち
・こどもを中心にすべての世代がつながるまち
・循環型社会による環境にやさしいまち
2030年のあるべき姿の実現に向けて行う取り組み
(経済)雇用創出、労働者の権利保護、安全・安心な労働環境の促進
(社会)質の高い教育・学習環境の提供、質の高い保健サービスへのアクセス
(環境)再生可能エネルギーの割合の拡大、クリーンエネルギー技術への投資促進
愛知県⼩牧市の取り組みの事例
「こまきこども未来館」を拠点に、こどもを中心にすべての世代がつながる元気なまちが実現しています。
こどもたちの夢への挑戦をまち全体で応援することで、応援する市内企業や市民団体、地域が元気になるとともに、こどもたちを支える大人たちも生涯にわたり活躍することができます。
参照元:こまきこども未来館|小牧市
事例④:⿃取県⿃取市『農村から真の持続可能なまちを実現する』
⿃取県⿃取市では、持続可能な地域を創出するため、「食」と「エネルギー」の自給自足を達成する、人と人が繋がった農村モデルの構築を進めています。
産学官が連携してサスティナビリティとイノベーションを組み合わせ、持続可能な真の農村モデルの普及を目標としています。
⿃取県⿃取市が目指す2030年のあるべき姿
魅力的で生産性の高い次世代の農業と、持続可能な再生可能エネルギーの地産地消を推進し、地域内外の様々な人と繋がっていくことで、「食」と「エネルギー」の自給自足が達成できる地方都市を実現する。
2030年のあるべき姿の実現に向けて行う取り組み
(経済)環境に優しく生産性の高いスマート農業を進めていくことで、地域に新たな付加価値を創造する都市
(社会)地域内外の多様な人々と交流し、学びあうことで発展を続ける交流・学習都市
(環境)地域の特性を活かした再生可能エネルギーの導入をすすめ、エネルギーの地産地消が進む都市
⿃取県⿃取市の取り組みの事例
市内事業者等に「とっとりSDGsパートナー制度」への登録を啓発し、多くの人のSDGsへの参画を促しています。
100年使える素材としてSDGsで再注目されている特産の「伯州綿」で新商品開発しました。
背広やジャケットの下に着るビジネスライナーで、背中の保温に特化した衣類です。
伯州綿は保温性に加え優れた耐久性が特徴で、打ちなおして適正な使い方をすることによって100年近く使い続けることができる素材となっています。
一時衰退していた伯州綿ですが、復活に向けた努力が実り生産量が徐々に増えているそうです。
参照元:とっとりSDGsパートナーマガジンvol.4|鳥取県
事例⑤:熊本県⼭都町『有機農業で持続可能なまちづくり』
熊本県⼭都町では、豊かな自然や美しい農村風景を守りながら環境に配慮した有機農業を拡大していきます。
有機農業を核として経済・社会・環境を循環させ、域内外の関係者を巻き込みながら持続可能な山の都を目指しています。
熊本県⼭都町が目指す2030年のあるべき姿
有機農業の拡大によりCO2削減へと貢献し、有機的な暮らしによる「山の都食のブランド」が確立され、求められる田舎(ふるさと)になっている。関係人口や移住定住人口が増加し、町の農村風景と棚田や森林、水資源を保全する活動へと繋がり、次世代へと継承されている。
2030年のあるべき姿の実現に向けて行う取り組み
(経済) 有機農業の拡大・推進、安全な食の安定供給を実現する。
(社会) 安心安全な「食」の学び、高齢者が元気で活躍できる社会を実現する。
(環境) 田園回帰により人と地域をつなぎ、美しい農村景観を次世代へと継承する。
熊本県⼭都町の取り組みの事例
熊本県⼭都町では、主に都会の子どもたち(保護者同伴)に山都町に来てもらい、農家が解放した畑で野菜の収穫体験等ができる『こども野菜塾』を行っています。
野菜を味わい、感じるなどして、野菜のすべてを学んでもらう塾です。
こうした活動を通じて、真の野菜の魅力や⼭都町の良さを感じてもらう取り組みとなっています。
まとめ あなたも地方創生に取り組んでみよう!
この記事では、地方創生の取り組みについて具体的な事例を紹介しました。
地方創生は、産学官民が一体となって取り組む必要があります。
地域の人々の力をひとつにすることで、大きな力が生まれるからです。
そして、地方にはそれぞれの魅力があり、磨けば光る原石がたくさん転がっているはず。
灯台下暗しということもありますので、改めて地域の強みや魅力を再発掘していきましょう。
ホームページやSNSで日本はもちろん、世界に向けて発信していくことも大切です。
あなたも地方創生をもっと考えてみませんか?もしかしたら、あなたがイノベーションのきっかけになるかもしれません。