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インクルーシブ教育とは?メリットや課題、具体例を分かりやすく解説!

多様性が求められる今、障がいのある子どもに向けた教育の改善が重要視されています。その解決策の一つが、「インクルーシブ教育」です。

とはいうものの、「インクルーシブ教育とは?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、インクルーシブ教育の意味やメリット・デメリットを解説するとともに、具体例や実践例も分かりやすく紹介しています。
ぜひ、最後までお読みください。

インクルーシブ教育とは

インクルーシブ教育とは

インクルーシブ教育とは、直訳すると「包容する教育制度」という意味。
障がいのある子どもと障がいのない子どもが、共に学ぶ仕組みを意味します。

とはいうものの、ただ同じ場所で教育を受けたらいい訳ではありません。
一人ひとりの教育的ニーズを把握し、適切な指導を行っていくことが大切といえます。

インクルーシブ教育を実現するためには、

・「障がいがあるから」という理由で排除されないこと
・自分が住む地域で初等教育を受けられること
・個々の特性に合った必要な支援が提供されること

などが必要です。

これまで必ずしも十分に社会参加できるような立場でなかった障がい者が、積極的に参加、貢献できる共生社会の実現に向けて、インクルーシブ教育は欠かせないといえるでしょう。

参照元:共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進|文部科学省

インクルーシブ教育の3大メリット

インクルーシブ教育の3大メリット

共生社会の実現に必要なのが、インクルーシブ教育です。
では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

以下に、インクルーシブ教育の3つの価値についてまとめました。

①障がいに関係なく学べる

個々の教育的ニーズに合わせた指導や支援を行うことで、障がいがある子どもの能力や才能を伸ばせます。

残念ながら障がいがあることで、周囲から人柄を勘違いされることがあるのは事実です。
けれども十分な教育を受けることで、認識されなかった個々のよさが周囲に理解してもらえることが期待できます。

障がいがある子どもが、障がいのない子どもと一緒に授業に参加しながら学習活動に参加している実感や達成感をもつことは、自己肯定感を育むことにもつながるといえるでしょう。

②障がいがない子どもの心を育む

インクルーシブ教育は、障がいのない子どもにとってもメリットがあります。
障がい者への理解が深まるからです。

障がいのある人や子どもと共に学び合う中で、自分と異なる個性や価値観を受け入れる心を育むことが期待できます。

次世代を担う人材に障がいの有無問わず関係を築き、共に生きていく経験があることは、これからの社会にとっても価値があるといえるのではないでしょうか。

③授業内容がより分かりやすくなる

インクルーシブ教育には、だれもが授業の目標を達成できる授業づくりも含まれます。

・小さい字が読みにくい子どものために黒板の字を大きくする
・色の刺激に敏感の子どもが集中できるように、黒板や掲示物の色を精選する
・工程を細かく分けて、作業を進めていく

などの支援は、障がいのない児童生徒にとっても役立つといえます。
授業内容が工夫されることで、誰もが学習のねらいを達成しやすくなり、学ぶことへの楽しさを実感できるのです。

このようにインクルーシブ教育には、障がいの有無に関係なくメリットがあるといえるでしょう。

参照元:共生社会の形成に向けて|文部科学省

インクルーシブ教育の3大デメリット

インクルーシブ教育の3大デメリット

とはいうものの、インクルーシブ教育にはデメリットもあります。

より理解を深めるために、3つの問題点についても解説します。

①特別扱いと思われる

一つ目のデメリットは、「障がいのある子どもが特別扱いされている」と思われることです。

例えば、以下の事例が挙げられます。

・Aさんは、ノートを書かなくてよい
・やるべき問題数や作業が少ない
・一部の内容だけ別室で勉強する

教育的支援は、「特別扱いだ」「ずるい」と思われてしまうことがあります。
これをきっかけにいじめに発展することもあるのです。

特別扱いと非難される事態を防ぐには、周囲の正しい理解が欠かせません。
「どうして、この支援をしているのか」や「だれでも苦手なことはある」ということをしっかり納得できるように説明することが大切です。

②授業の進度が遅れる可能性がある

二つ目は、授業の進度が遅れることです。
丁寧に指導したり、作業時間を長めに確保したりすることによって、授業が計画通りに進まないことがあります。
これは子どもだけではなく、保護者も心配になる場合も多く、非常に難しい問題点といえます。

解決するために、以下の対応が考えられます。

・理解が早い児童生徒のための問題や活動を用意する
・担任とは別に、個別にサポートしてくれる人を配置する

とはいえ、障がいがない子どもだけで授業を行っても、理解度によって計画通りに進まない場合もあります。
そのため、授業の進度の遅れはインクルーシブ教育だけのせいだと断定できないのではないでしょうか。

③担任教員への負担が大きくなる

三つ目は、担任教員への負担が大きくなることです。
障がいがある子どもも、障がいがない子どもも一緒に授業を受けることは教育的な視点で見ると、とてもすばらしいといえるでしょう。
けれども全員参加型の授業づくりは、事前準備や当日の対応など、非常に大きな負担がかかってしまうのです。

「インクルーシブ教育は大切だから」と担任教員へすべて押し付けてしまうのは望ましくありません。
担任教員は個々のニーズや成長を把握することだけではなく、全体をまとめる役割も担っているからです。

インクルーシブ教育を実践することは教員への負担が大きくなると理解したうえで、学校だけではなく、保護者や地域住民、関係機関や教育委員会、自治体や政府が手厚いサポートをすべきだといえます。

教育機関に関係のない方も、地域社会全体で子どもを育てていくという意識をもつことが大切なのではないでしょうか。

日本の課題

日本の課題

インクルーシブ教育は、日本の教育課題を解決することにつながります。
では日本の教育現場には、どのような課題があるのでしょうか。

これまでは、盲・聾・養護など、障がいをもった児童や生徒には、特別支援学校できめ細かい指導を行うことに重点が置かれていました。

現在は、小中学校において通常学級に在籍する、

・LD(学習障害)
・ADHD(注意欠陥多動性障害)
・高機能自閉症

などの児童生徒に対する指導及び支援の充実化が課題となっているのです。

一度、世界と比べながら考えてみましょう。

今回は、特別支援学校や特別支援学級、通級指導など、特別な指導を受けている児童生徒の割合で比較しました。

・イギリス:約20%
・アメリカ:約10%
・日本:約3%

このように、日本は1割も満たしていません。
つまり、特別な教育支援を必要とする児童生徒の多くは、通常学級で学んでいるといえるのです。

文部科学省の調査によると、学習や行動面で著しい困難を示す児童生徒は、一クラスあたり「6.3%程度」在籍していることが考えられることも明らかになりました。

つまり日本教育には、LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障害の可能性のある児童生徒への対応が早急に求められているといえるでしょう。

参照元:
通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について|文部科学省
共生社会の形成に向けて|文部科学省

インクルーシブ教育の具体例

インクルーシブ教育の具体例

日本の教育には課題があることが分かりましたが、インクルーシブ教育はすでに実践されてます。

ではインクルーシブ教育は、具体的にどのような実践や取組みがされているのでしょうか。
以下にくわしくまとめました。

①個別の教育支援計画や指導計画の作成

一人ひとりの障がいの状態や教育的ニーズをより的確に把握するために、学校は個別の教育支援計画や指導計画を作成しています。

ただ作って終わるわけではありません。
実際の様子を見ながら改善することで、個々にあった指導ができるように努めています。

さらに保護者と情報共有することで、互いに助け合いながら支援や指導を続けられます。

②教育相談

障がいのある子どもやその保護者が、気軽に相談できるように「教育相談」という機会を設けています。
これはスクールカウンセラーが担当していて、学校や子育ての悩みを聞き、専門的なアドバイスをしてくれるものです。

このように、教員以外のサポートや専門的な機関の活用が、インクルーシブ教育には重要だといえるでしょう。

③環境整備

環境整備も重要なポイントです。
子どもによっては、目や耳などから受ける刺激に敏感に反応し、集中できなくなることがあります。

そのため障がいのある子どもが、学習に集中できる環境を整えることも実践の一つ。

・黒板の周りの掲示物をすべてなくす
・パーテンション(仕切り)を置いて、周りの刺激を減らす
・外部の音があまり聞こえない場所に席を配置する
・黒板の文字の色が白と黄色に精選する
・説明を言葉だけではなく、絵や写真で可視化する

このように同じ空間にいながら、少しでも集中できる環境を整えることも有効な支援といえるのです。

④特別支援学校や専門機関との連携

学校が特別支援学校や専門機関と連携していることも、インクルーシブ教育の取り組みと言えます。
担任教員は全力で学級経営をし、子どもたちと向き合う中で、「支援をしているのに、どうして効果が見られないのか」「この子にあった支援はどうすべきか」と日々悩んでいます。

このように、教員が障がいのある児童生徒に対して理解を深めたいときに必要なのが、高い専門性をもった方からのサポートです。

インクルーシブ教育には、教員の専門的な知識が欠かせません。
そのため特別支援学校や専門機関と連携し、学校に見学に来てもらってアドバイスを受けたり、研修を実施したりしています。

さまざまな機関と連携しながら、障がいについての理解を深めることも価値ある実践といえるのではないでしょうか。

参照元:レインツリーの国×インクルーシブ教育システム|文部科学省

これからのインクルーシブ教育

これからのインクルーシブ教育

今回は、インクルーシブ教育について解説しました。

インクルーシブ教育とは、障がいの有無に関係なく、一緒に学び合う教育です。
これまで「障がいがあるからできない」「障がい者だから働けない」と排除されてきた社会の風潮を改善するために、共生の教育は必要不可欠といえるでしょう。
どんな子どもも一緒に達成感を味わえる授業の積み重ねが、個々の特性やよさを認め合える社会の実現につながります。

けれども、この責任を学校現場に全て押し付けるのでなく、地域や企業、自治体や政府も自分ごとに捉えて、インクルーシブ教育の実現に向けてサポートしなければなりません。

これからのインクルーシブ教育は、SDGsの目標「4.質の高い教育をみんなに」「10.人や国の不平等をなくそう」への貢献になるのではないでしょうか。

  • 記事を書いたライター
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MAMI FUJITA

ライター&オンライン講師。小学校教諭歴6年。退職後、社会との繋がりに悩む専業主婦がサステナブルライフと出会って自分らしい生き方を叶える。現在はサステナブルライフ、SDGs、食、教育分野の記事を執筆中。自分・社会・環境を大切にする輪を広げたい。著書『ふだん使いのSDGs:自己肯定感ゼロから解放される!家事BOOK!』

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