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不登校支援にはどんな取り組みがある?具体例も交えて解説

文部科学省の調査によると、2020年度の不登校児童数は、小・中学生合わせて19.6万人で、8年連続で増えています。
また、満15歳から満39歳までを対象とした内閣府の調査では、若者の引きこもりは54.1万人に上り、その要因の1位は不登校であると示されました。
54.1万人というのは鳥取県の全人口(55.3万人)とほぼ同じであることを考えると、とてもインパクトのある数字であることがわかります。

これらの調査からわかるとおり、不登校は引きこもりの問題とも密接に関わる大きな社会問題のひとつとして考えられます。

そこで今回は、不登校に対する現状について、その支援方法や取り組み状況とあわせてご紹介します。

参照元:
「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」|文部科学省
「若者の生活に関する調査報告書」|内閣府

不登校の定義、現状

不登校の定義、現状

文部科学省によると、不登校は「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。

なお、2020年度の調査では、病気や経済的な理由に加え「新型コロナウイルスの感染回避」を理由に欠席した場合も除かれています。

参照元:「不登校の現状に関する認識」|文部科学省

実は日本では、不登校児童の教育機会確保のために法律が制定されています。

第三条
二 不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。
三 不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること。

しかし、不登校になる要因は多岐にわたるため、法律だけでは対応しきれていないのが実情です。
前述の文部科学省の調査「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、不登校の要因として以下のような項目が挙げられています。

・無気力、不安(46.9%)
・生活リズムの乱れ、あそび、非行(12.0%)
・友人関係をめぐる問題(10.6%)
・親子の関わり方(8.9%)

ひとくちに「不登校」といっても、その原因はさまざまであり、不登校児童のひとりひとりの事情に寄り添った支援の仕組みを作ることが求められています。

不登校支援のポイント

不登校支援のポイント

文部科学省によると、不登校の支援のポイントは以下のように示されています。

「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

これは「不登校=悪いこと」と考えるのではなく、「社会的な自立」という目標の達成のための支援が大切であるということを示しています。

不登校児童に対する取り組み

不登校児童に対する取り組み

不登校支援のポイントは、不登校児童に対して「社会的な自立」を促すというものでした。
その「社会的な自立」を達成するために活動している団体や取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは不登校児童への支援を行っている団体の取り組みについて、以下の2つの観点から紹介します。

・国や自治体、学校による支援
・NGOやNPO法人による支援

国や自治体、学校による不登校支援

国や自治体、学校による不登校支援の代表例に「教育支援センター(適応指導教室)」の運営が挙げられます。

教育支援センターは不登校に関する相談や不登校児童に対するカウンセリングや学習支援を行う教育施設です。
主に不登校の小・中学生を対象としていますが、一部は高校生の受け入れも行っています。

教育支援センターでは教員免許を保持する職員による個別指導が行われていることが多いため、児童にとって無理のないペースで通うことができます。
精神科医や臨床心理士などのカウンセリングも設けられていることも多く、その点も安心です。

また、教育支援センターで相談・指導等を受けた小・中学生の不登校児童のうち84.5%が出席扱いとなっているため、出席日数不足による留年を気にする人にとっても魅力的な制度です。

参照元:
「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」|文部科学省
「不登校児童生徒への支援について」|文部科学省

民間企業やNPO法人による支援

民間企業やNPO法人でも、不登校児童に対する支援が行われています。
たとえばNPO法人日本フリースクール協会は、日本ではじめてのフリースクールのネットワークとして、不登校や引きこもりの人に対して学校以外の学習の場所、また居場所となることを目指して活動しています。

フリースクールとは、「不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」のことで、2015年度に文部科学省が実施した調査では、全国で474の団体・施設が確認されています。

参照元:「フリースクール・不登校に対する取組」|文部科学省

日本フリースクール協会では、不登校児童への居場所となることを目指して、以下の6点を中心活動として不登校支援を実施しています。

・親子相談会…不登校など問題を抱える親子と相談する場を設ける
・親子電話相談室…いつでも子どもや保護者からの相談を受けられる体制をつくる
・実践相談会…フリースクールにおける指導の実例などを紹介する
・勉強会…有識者を招き、フリースクール関係者への勉強会を開催する
・日本フリースクール協会設立の意義の告知…フリースクールの定義や存在理由を周知する
・広報…行政や学校、教育委員会、マスコミなどと連携して支援者を募る

これらの活動は、まさに「不登校支援の総合窓口」ともいえる役割を果たしているといえるでしょう。

参照元:NPO法人日本フリースクール協会HP

不登校児童のために私たちができること

不登校児童のために私たちができること

前述の文部科学省資料「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、2020年度の不登校児童の割合は2.0%(小・中学生合算)であり、50人に1人程度が不登校という状況です。

不登校はどこか遠い場所で起きている問題ではなく、私たちひとりひとりが考えていく必要があります。
これまで国や自治体、あるいは民間企業やNPO法人の不登校支援について取り上げましたが、個人で取り組めることはないのか気になる人も多いと思います。

そういった人は「不登校支援を行っている団体への寄付」を検討してみてはいかがでしょうか。
団体によっては寄付金控除に対応しており、寄付したお金が一部、税金から免除されるので各団体へ問い合わせてみても良いでしょう。

まとめ

まとめ

今回は不登校支援について、その取り組みや方法についてご紹介しました。

冒頭にも書いたとおり、日本では8年連続で不登校児童の数が増えています。
不登校児童の中には友人関係や家庭環境に問題を抱えている人も多く、このような問題が理由で不登校になっている場合は、その問題の解決が重要です。

今回紹介したような、国や自治体が行っている取り組みや、民間企業やNPO法人が行っている取り組みを活用することで、問題の解決が進む可能性があります。
私たちひとりひとりが不登校児童の抱える問題について理解し、支援していく意識が大切です。

  • 記事を書いたライター
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ライター&ブロガー。人見知りという弱点を補うため、文章力を身につける。もともとブロガーだったが、ライター業にも挑戦することで生き残る道を見出した。現在は長崎の田舎でのんびりSDGsについて考える日々を送っている。得意ジャンルは社会問題・環境問題。趣味は読書と英語学習。人見知りだけど、犬とは仲良くできる。

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