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日本にも教育格差がある?その原因と対策とは?

世界から見ると先進国である日本ですが、その陰には相対的な貧困問題が横たわっています。

日本は先進国でありながら2015年の貧困率は15.6%と、G7の中でもアメリカについてワースト2位となっており、7人に1人の子どもが貧困状態に陥っているほど深刻な状態にあります。

そんな中でも特に深刻なのが「子どもの貧困」から来る教育格差です。今回は、年々深刻さを増している「日本の教育格差」について解説します

日本の教育の現状

日本の教育の現状
日本においては、小学校・中学校の義務教育制度が確立されており、開発途上国のように初等教育が受けられないという事態はめったに生じません。識字率もほぼ100%と言われています。

また、文部科学省によると、高校以上の進学率は以下の通り。2020年度には、大学・短大・専門学校への進学は83.5%、大学(学部)進学率は54.4%に達し、過去最高を記録しました。

・高等学校への進学率:97%超
・高等教育機関(大学(学部)・短期大学(本科)入学者,高等専門学校4年在学者及び専門学校入学者)への進学率:83.5%
・大学(学部)・短期大学(本科)進学率:58.6%
・大学(学部)進学率:54.4%
・専門学校進学率:24.0%文部科学省
参照元:高等学校教育|文部科学省
参照元:令和2年度学校基本調査(確定値)の公表について|文部科学省

これだけ見ると、日本は全体的には十分に教育が行き届いているように見えるかもしれません。確かに日本の格差は広がってきたとは言え、アメリカなどに比べたらまだまだ小さいです。

しかしその反面、アメリカのように突出した人材に機会を与える仕組みも確立されていません。結果的に、確実にある「教育格差」に目をつぶった教育制度となっているのです。

日本の教育格差が生まれる背景

日本の教育格差とは
2018年に、東京大学の学生の約60%が、世帯年収950万円以上という調査が発表されて話題になりました。これは、日本の平均年収分布に比べると、明らかに隔たりがあるものです。

中学受験で振り分けられるようになった子どもの可能性

戦後、日本は高度成長期にかけて、いわゆる「底上げ」の教育を行うことで、中流層を生み出してきました。

しかし、近年では、少子化も相まって競争も薄れてきます。そこで平均的な人材よりもトップ層の人材を早期に選抜する必要が生じてきました。そこで作られたのが中高一貫校です。

かつては高校や大学受験で見極められていた子どもの可能性は、中学受験で振り分けられるようになりました最近の中学受験の過熱ぶりを目にする機会も多いでしょう。

高校や大学の受験は、本人の年齢も15歳や18歳となっているため、進学先にある程度「自分の意思」を反映させることができます。自分の目的のために努力もできるでしょう。しかし12歳の時点では、一番重要なのは「親のバックアップ」です

どの中学を選ぶか、そのためにはどの塾に通うか、その費用を捻出できるか……こうしたもろもろの要素が、子どもの学習機会を決めてしまいます。

親が受験への意欲を持ち、かつ情報を的確に入手できるかどうか、そしてそれを支援できる経済力があるかが子どもの教育格差につながるのです。

若者の向上心を奪う教育格差

「そんなのは都会だけの話」と思われるかもしれません。しかし、地方から首都圏などの大学に進学すると、自分たちの生まれ育った環境とのあまりの違いに驚きます。教育だけでなく、文化資本にも大きな地域格差があるからです。

これは、いわゆる一流大学に進学した人ほど顕著に感じます。裕福な家庭で、十分な教育と教養を与えられる環境を目の当たりにした彼らは、卒業しても地元には戻りません。自分たちの子供をより良い環境に置きたいと思うからです。かくして、地方からは優秀な人材がどんどんいなくなってしまいます。

日本の「生まれ」によって生じる教育格差は「勉強しても『生まれ』が良くなきゃ無駄」と、若者の向上心を奪う結果にも繋がっているのです。

日本の教育格差の原因

日本の教育格差の原因
日本の教育格差には、主に3つの原因があります。

地域による格差

日本の教育状況は地域によって大きな隔たりがあります。
大学が近くにあり、進学校があって、大学に進学することを当然だと考えている環境と、大学どころか高校もない環境では、教育を受けることに対する意識が違ってくるのは自然といえるかもしれません。

地域によっては、そもそも教育に対しての考え方すら異なることも多いです。
2018年には「神さま、どうか、娘の希望する大学が福岡県内でありますように。」という西日本鉄道のキャッチコピーが炎上しました。日本でもトップクラスの「都会」といえる福岡市ですら、いまだに女性の進学に対してジェンダーギャップがかなり強いことを伺わせます。

ジェンダーによる格差

医大での男女別合格点の違いに続き、都立高校や私立校でも男女別定員が存在し、合格点が大きく異なることが問題になっています。
同じ学校でも、女子の方がより高い学力を求められ、男子と同じ点数を取っていても、女子の合格点に届かずに不合格になってしまうことで、将来に大きな影響が出るでしょう。

学校運営の実務の問題もあるのでしょうが、子どものうちにジェンダーによる格差を目の当たりにした女子は、無力感を覚えます日本でいくら「女性活用」をうたっても、人材の登用につながらない現状とリンクしているといえるでしょう。

世帯収入による格差

前述の東大生の世帯から見てもわかる通り、経済力があるかどうかは大きな要因です。
貧困による経済格差は進学率に顕著に現れます。

日本では、2020年4月から私立高校授業料実質無償化(高等学校等就学支援金制度)と、大学など高等教育の無償化(授業料等減免制度)が始まっていまが、これはあくまで入学した後の話。

貧困家庭では塾などの費用が捻出できないため、学校以外の教育で入試準備をしなくてはなりません。また、進学よりも就職して家計を助けてほしいというプレッシャーも強いです。

社会的、経済的に恵まれた生まれ育ちの子供の割合が高い進学校では、周りも親も良い大学に進学することが当たり前ですが、貧困家庭の子どもが多く集う学校であれば、勉強しても無駄という雰囲気が蔓延し、中退すら特別なことではありません。中学受験や高校受験で偏差値の選別が行われることで、ますますこの格差は広がる傾向にあります。

日本の教育格差への対策

日本の教育格差への対策
本来であれば、教育格差の解消は、政治で取り組むべき問題です。

しかし、2019年には萩生田光一文科相が、大学入学共通テストで活用される英語の民間試験について、受験生の経済状況や地理的条件によって不公平が生じることについて「自分の身の丈に合わせて」と、教育格差を前提とした発言をして批判されています。

こうした背景から、日本の教育格差への対策はNPOや企業がきめ細かく取り組んでいるケースが多いです。
例えば、安価で受講できる塾やオンラインのコンテンツ、最近では、YouTubeなど無料の動画サービスでも比較的質の高い教育コンテンツが視聴できるようになっています。

オンラインであれば、地域的な問題による教育格差の対策に非常に有効です。
また、放課後の時間を利用した学習支援や、音楽やスポーツなどの習い事を無料もしくは低料金で提供するボランティアも実施されています。ただし、ネットに接続できるかどうか、安定した速度環境が必要です。

まとめ|日本の教育格差

まとめ
教育格差を埋めるためには、自治体・NPO団体等における、より一層の体制強化と、包括的なアプローチが必要とされています。
また、私たちも、教育格差は努力では埋めがたい要因から起きていることについて、もっと関心を持つ必要があるでしょう

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