貧困をなくそう

日本も無関係ではない、貧困問題の原因とは?

SDGsの目標1「貧困を無くそう」。
地球上の人間が100人だとしたら、上位20人が全体の富の約90%を握っている一方、22人は安全な飲み水を口にできず、15人は栄養失調の状況にあるといわれています。

貧困状態にある人々は、最低限の生活を送ることもできないのです。

日本でも、シングルマザーや子供、若者の貧困などが問題視されています。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。

SDGsにおける貧困の定義と実際

SDGsにおける貧困の定義と実際

SDGsの目標1「貧困を無くそう」では、「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」と謡っています。

ターゲットのトップには、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」と掲げられていますが、これは「国際貧困ライン」がSDGsを設定した時は1.25ドルであったためです。

2015年10月には、世界銀行が国際貧困ラインを改定。現在は1.9ドルとなっています。
1.25ドルは日本円で約138円(2021/6/12)、1.9ドルでも約208円です。

現在、この基準で世界人口の約9%、およそ7億人が暮らしています。

日本の人口の6~7倍の人々が絶対的貧困にあるのが現状です。
その8割以上がサハラ以南アフリカと南アジアで占められています。

参照元:国際貧困ライン、1日1.25ドルから1日1.90ドルに改定|THE WORLD BANK

日本を含めた先進国では、生活状況が自分の所属する社会の大多数よりも相対的に貧しい状態にある「相対的貧困」が問題視されています。

2018年の日本における貧困線は127万円、相対的貧困率は15.4%となっており、これは人口の6人に1人が貧困状況にあることを示しています。

参照元:Ⅱ各種世帯の所得等の状況|厚生労働省HP

親が貧困であると、子どもは必要な栄養や教育が得られずに貧困から抜けることが困難です。
貧困が世代間で連鎖している現状は、世界中で問題視されています。

これは、開発途上国だけの問題ではなく日本も例外ではありません。
日本では、子どもの7人に1人が貧困状態という調査結果が示されています。
30人クラスだと、4~5人が貧困という現状です。

参照元:「子どもの貧困・シングルペアレンツをめぐる課題の整理と解決の方向性」|三菱UFJリサーチ&コンサルティング

貧困問題の原因

貧困問題の原因

貧困に陥るきっかけは、さまざまです。

しかし、そのいずれも自分たちでコントロールすることが難しく、自助努力でどうにかなるものではありません。

戦争・紛争や内戦

絶対的貧困に陥っている地域は、戦争や紛争・内戦が絶えません。その理由は宗教や人種、民族や政治など様々です。

現在、紛争や内戦が発生している地域は、かつての奴隷貿易や植民地支配と深い関係があります。
働き手が奴隷とされ連れ去られたこと、植民地支配が政治を腐敗させたこと、植民地の分割が部族間の民族や宗教の対立と相まって国境紛争を生んだことなど、様々な要因が重なっているのです。

自分の住む地域が戦争に巻き込まれると、住まいも職も財産も失われ、戦火を逃れるために難民となります。
貧困と戦争は、分かちがたく結びついているのです。

この解決のため、SDGsでは目標16「平和と公正をすべての人に」で「あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。」というターゲットなどを掲げています。

政治の汚職問題

紛争や内戦が起こる地域の政府は、汚職問題が深刻化しています。
国際支援も人々まで届くことがほとんどないのが現状です。

汚職がはびこる国では、司法制度や統治制度が弱く、政治が貧困を解消しようとする動きはありません。

天然資源の非持続的な利用は、経済発展を阻害します。
行政が不安定でセーフティネットが機能しないため、人々は簡単に貧困に陥り、抜け出すことができないのです。

この解決のため、SDGsでは目標16「平和と公正をすべての人に」で「あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる」というターゲットなどを掲げています。

身分制度

国によっては、生まれた時から身分が固定されており、一生涯そこから抜け出せないということもあります。

例えばインドの「カースト制度」です。生まれた時から与えられている世襲の「身分」は上下関係だけでなく、階層ごとに就労できる職業が決まっています。

現在は、憲法でカーストによる差別は禁止されました。しかし、長い歴史を持つ考え方のため、差別解消の道は極めて困難です。
下層カーストの人々が、就労できる仕事がなく危険な作業に従事している現状もあります。

この解決のため、SDGsでは目標10「人や国の不平等をなくそう」で「2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」というターゲットなどを掲げています。

災害

地震や台風・大雨による水害、雪害などの災害で、家や仕事を失うことも、貧困の大きな原因です。
2020年は新型コロナウィルスの影響で仕事を失い、貧困に陥る人が増加するだろうと予測されています。

途上国の場合、災害対策の制度や失った収入に対する補填の費用が不十分なことも多く、自助努力ではどうにもならないのが現状です。

しかし、行政や援助機関による支援などのセーフティネットが機能しない場合、簡単に貧困に陥ってしまうことになります。

この解決のため、SDGsでは目標11「 住み続けられるまちづくりを」で「2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす」というターゲットなどを掲げています。

ひとり親世帯の増加

シングルマザーなどのひとり親世帯は、子どもを育てるのにかかる費用を一人で負担しなければならないため、経済的負担が大きいです。
2世帯に1世帯が貧困水準にある日本の現状は、国際的に見て最も高い水準となっています。

自分の子どもの教育のためのお金を稼ぐことができない、もしくは親も教育を受けていなかった場合、教育の重要性がわかりません。
知識や技術を得ることができないので、非正規かつ低賃金の仕事にしか就けなくなります。

こうして貧困の世代間連鎖が始まり、固定していくことになります。

この解決のため、SDGsでは目標4「 質の高い教育をみんなに」で「2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする」「2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする」というターゲットなどを掲げています。

単身高齢者世帯の増加

日本における貧困率は、少子高齢化も影響しています。
年金だけでは生活がまかなえず、子どもからの援助も難しい状況で貧困に陥る高齢者が増えているのです。

特に女性の場合は、厚生年金への加入率が低くなるため、受け取る年金受給額はわずか。
65歳以上のひとり暮らし(単身世帯)の貧困率は、男性が36%、女性は56%に昇っています。

豊かな貯蓄額があるように思われる高齢者世代ですが、実は格差が深刻な状況です。
また、現在の未婚率の増加、氷河期世代の非正規雇用率の割合から見ると、今後は格差が拡大し、貧困世帯の割合が増えるものとみられています。

日本はすでに高齢化社会。
「持続可能な高齢化社会」を目指すために、高齢者向けの金融サービスや、働き続けられる環境を整える必要があるでしょう。

まとめ

まとめ

貧困の原因は、さまざまな要因が複雑に混じりあっています。
また、いわゆる発展途上国だけでなく、先進国における格差拡大によって生じる相対的貧困も問題です。

日本では「貧乏は自己責任」という人もいます。しかし、貧困をばねにして成功できる人はほんの一握り。
貧困は、努力する意欲すら奪うものです。

一流大学の学生の世帯は、高年収の割合が極めて高い傾向があります。
教育費を当然と考えその余裕があるか、贅沢だと思うかの違いです。

生まれついた環境は、自己責任では片づけられません。

アフリカやアフガニスタンにおける絶対的貧困の方が深刻度合いが高く、重要視されがちですが、日本の貧困問題もいずれそうなるかもしれない危険性をはらんでいます。

日本の治安の良さや公的サービスの充実は、格差の少なさの恩恵です。

将来の環境を守るためにも、日本の貧困問題の解決に向けても取り組む必要があります。

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