2020年7月1日から、日本でもレジ袋有料化が始まりました。
始まる前はいろいろと騒ぎになりましたが、気づくとあっという間に1年が経ち、レジ袋の有料化が日常に溶け込んだなと感じている人も多いのではないでしょうか。
また、有料化を受けて、買い物に出かける時はマイ袋を持っていくのがが当たり前になったという人もいれば、他のプラスチック製品にも目が行くようになり、「日常におけるエコ意識が高まった」と感じている人も増えています。
そんな人々の生活に一石を投じたレジ袋の有料化ですが、世界各国における取り組みはどのような状況でしょうか。
エリアごとに分けて、レジ袋有料化の取り組み事例をご紹介していきます。
世界各国のレジ袋有料化:アメリカ編
なんとなく「エコ意識」「サステイナブル意識」の高そうなアメリカですが、アメリカにおいては州ごとに対応がゆだねられているので、場所によって導入開始時期やルールが異なります。
サンフランシスコの場合
アメリカの中で1番最初にレジ袋有料化を取り入れたのはサンフランシスコ州でした。
サンフランシスコがレジ袋の有料化に踏み切ったのは2007年。
2015年のSDGs目標制定よりもずっと前に、いち早く踏み切っています。
冷凍食品や肉を入れる袋は除外されているものの、脱プラスチック袋をしてすでに10年以上たっている計算になります。
プラスチック削減に向けて力を入れているサンフランシスコ州は、2019年に「サンフランシスコ国際空港でのペットボトル飲料水の販売禁止」へと乗り切りました。
アメリカの中でも一歩先を行くサンフランシスコ州の取り組みに、多くの州や国は追従していく形となるでしょう。
ハワイの場合
日本人の旅行先として人気のハワイも2015年からレジ袋の有料化が導入されています。
遊びに行ったときに、レジでは袋をもらえずビックリしたという観光客も多いのではないでしょうか。
自然豊かなハワイにおいては、環境問題を身近に捉えている方も多く、エシカル消費意識が高い国と言えます。
2020年、私たち日本が「レジ袋有料化」に大騒ぎをしている一方で、ハワイにおいては「レジ袋有料化」一歩先である、プラスチック製の使い捨て袋の廃止が導入されました。
これを受けて、買い物時にはマイバッグか紙袋を使うよう推奨されるようになっています。
世界各国のレジ袋有料化:ヨーロッパ編
ヨーロッパにおける法制は2015年にEU全体として指令が採択されました。
決められたのは「プラスチック製の袋の1人当たりの年間使用量を2019年末までに90枚以下、2025年末までに40枚以下にすること」という内容で、削減方法は各国にゆだねるというものでした。
イギリスの場合
2015年のEUガイドラインを受けて、1番に動き出したのはイギリスでした。
同2015年中に、プラスチック製の使い捨て袋は有料化との法律が設けられました。
いわゆるレジ袋(厚さ70μm以下の持ち手があり、密閉できない口が開いたもの)が対象で、販売する場合は5ペンス(約10円)以上とのルールまで設けられています。
フランスの場合
2015年のイギリスのレジ袋有料化を受けて、2016年に後を続いたのはフランスでした。
厚さ50μm以下の使い捨てプラスチック製の袋を禁止と発表。
マルシェなどで野菜や果物を入れるような袋や、レジ袋以外の使い捨てのプラスチックの袋も含むという厳しい措置に乗り切りました。
一方で、バイオマスを原料とし、一般家庭でコンポストにすることが出来る袋に関しては、引き続き使用可能という独自ルールを設けています。
コンポストについては、以下の記事にて詳しくご紹介しています。
スペインの場合
スペインでも2018年に有料化がすすめられました。
商品の販売時に、消費者に提供されるプラスチックの袋は有料となりました。
衛生面から必要とされれる肉や魚などの食品の一次包装は除外されていますが、買い物の時のビニール袋は基本有料化が進みました。
イギリスのように、ビニール袋の販売価格は決められておらず、小売店の独自判断で値段設定が出来るようになっています。
世界各国のレジ袋有料化:アジア編
日本では2020年からレジ袋有料化が始まりましたが、周りのアジアの国はいつから始めているのでしょうか。
身近な国ではありますが、実は日本よりも前から導入が進んでいます。
中国の場合
なんと中国はどこよりも早くレジ袋有料化・そして一部禁止を導入しているとご存知でしょうか。
2008年という異例の早さで、小売店における消費者が商品を持ち運ぶためのプラスチック袋、つまりレジ袋を有料としています。
販売するレジ袋の値段は、各商店が決めて良いということになっていますが、原価以下での販売やディスカウトなどは禁止と、厳しいルールが設けられています。
韓国の場合
韓国は、2019年にスーパーなどにおけるレジ袋の完全廃止に乗り切りました。
2017年に中国が海外からのゴミの輸出を禁止したことを受け、そのころから急速にレジ袋有料化の波が起き始めていました。
そこから2年が経ち、エコバックの持ち歩きが定番となり、またスーパーなどでの布製のエコバッグ販売や再利用可能なごみ袋が定着してきたことを受け、より厳しい措置へと切り替えたことになります。
世界各国のレジ袋有料化:中東・アフリカ編
レジ袋の有料化に見られるような「エコな取り組み」は先進国だけのものだと思っていませんか。
実は中東やアフリカ諸国にも、早くからレジ袋の有料化・廃止に切り替えている国は複数あります。
アラブ首長国連邦の場合
航空業界の巨大ハブ、ドバイのあるアラブ首長国連邦は2013年からレジ袋を廃止しています。
大きなショッピングモールがたくさんある国ですが、廃止直後は政府が国を挙げてたくさんのキャンペーン活動を実施し、市民や観光客に向けて「エコ意識」を高めるよう働きかけたことが大きく話題になりました。
ルワンダの場合
アフリカの中ではエコ先進国と言われるルワンダは、圧倒的な早さである2008年にビニール袋の持ち込み・使用・製造・販売が禁止となりました。
日本からルワンダへ渡航時、日本側のチェックインカウンターにて「ビニール袋はお持ちでないですか?」と確認が入るほどの徹底ぶりです。
経由地の免税店で買い物をした場合、免税とかかれたビニール袋に商品を入れてもらうことが多いですが、それも入国時に空港にて回収となるほどです。
レジ袋有料化は世界が一丸となり取り組んでいるエコな取り組み
日本では2020年の導入に向けて大きく話題になった「レジ袋の有料化」ですが、世界各国でも同じような取り組みがなされています。
なんとなく「エコ」「サステイナブル」という考え方は、欧米などの先進国から始まるものという思い込みがありますが、中東やアフリカでも早い国は10年以上前から導入しているのだから、驚きです。
また、フランスやハワイなど、「有料化」の一歩先である「レジ袋の完全廃止」に踏み切っている国も複数あり、今後日本も追随していくことでしょう。
「レジ袋の有料化」は、もちろんプラスチック製の袋の使用率を下げるという目的が1番ですが、そのほかにも副産物があることをご存知でしょうか。
手に取ることの多いレジ袋が、マイバッグに切り替わることで、レジ袋以外にもエコ意識が高まる人が増えています。
「レジ袋をもらわないなら、プラスチック製のスプーンも受け取らないでおこう」など、小さなアクションを起こす意識が高まったと言えるのではないでしょうか。
日本だけでなく、世界が一丸となって取り組んでいるレジ袋の有料化と廃止の波は、まだまだ止まることなく進んでいくことでしょう。
その中でも自分にできることは何なのか、マイバッグのほかにプラスアルファを検討することが求められています。
参照元:経済産業省公式ホームページ|レジ袋有料化に係る背景について