日本に暮らしていると、干ばつをイメージすることが難しい方も多いでしょう。しかし、世界に目を向けると、干ばつは各国で起きており多くの人の暮らしを脅かしています。
中には、取り返しのつかない深刻な状態にまで陥っているエリアもあるのが現実です。こちらの記事では、干ばつが起こる原因に触れながら、現状や対策方法などをご紹介します。
また、個人的にもできる対策についても参考にしていただける内容です。
世界的な問題となる干ばつの原因とは?
干ばつとは、長期間雨が降らない時期が続いたり、極端に雨が少ないことが原因となって起こる自然現象です。干ばつが続くと、農作物への被害が出るばかりか、土地の乾燥が進み砂漠化の原因にもなります。
また、自然現象に限らず、人為的要因によっても砂漠化は進む可能性がある点も否めません。
例えば、森林を過剰に伐採したり過放牧などが挙げられます。ただでさえ、脆弱な生態系となっている土地において、許容範囲を超える活動を行うと、干ばつや砂漠化の原因となるでしょう。
干ばつが深刻な国について
世界には、干ばつが深刻なエリアが多くあります。開発途上国に起こりがちというイメージがありますが、実は、それ以外にも干ばつに見舞われている地域はあるのが現状です。
どのような国やエリアが、干ばつの影響を受けているのか、その一部をご紹介しましょう。
アフリカ
世界の中でも、特に干ばつや砂漠化が進んでいるのがアフリカです。アフリカ大陸の中には、たくさんの国がありますが多くの地域が干ばつに見舞われています。
その原因となるのが、水食です。水食とは、降雨や地表を流れる水が、土壌を地表から流してしまう現象のことを指しています。
木々が地面を守る森林では水食が起こりにくい一方で、畑や裸地で起こりやすい傾向にあるでしょう。特に、アフリカのような途上国では、農地を作ることを目的として森林が過剰に伐採されています。
これが原因となって砂漠化が進むとともに、地球温暖化による気候変動が干ばつをあと押している状況です。
モロッコ
モロッコも、過剰な森林開発によって干ばつや砂漠化が進んでいるエリアです。1970年代にモロッコでは大規模なオリーブ畑の開発が行われました。
オリーブ畑となった土地は、もともと森林であり、土地を守る木々が大きく減少しています。さらに、1980年代には、居住地域も広がり森林火災も増えました。
そのため、ますます森林が減少するに至り、水食を原因とする砂漠化が進んでいます。
インド
インドは、そもそも国の1/3がサバンナや砂漠気候に属しているエリアです。そのため、国の半分以上は荒廃した土地であり、さらに過剰な森林伐採や過放牧が行われ、深刻な干ばつに悩まされています。
さらには、灌漑水管理が徹底されておらず、砂漠化を後押しするような状況は否めません。
エチオピア
1974年に社会主義国家に変わったエチオピアでは、土地の利用券が分配され、森林が次々と伐採され農地へと転換された過去があります。
さらに、人口増加が起こったことで、ますます農地が拡大し水食が原因とされる砂漠化が進んでいるのが現状です。
中国
発展途上国以外で干ばつや砂漠化が進んでいるのが中国です。特に、中国の西北部における砂漠化は深刻な状況に陥っています。
その原因となるのが、風による土壌の分散である風食に加えて、過剰な森林伐採や過放牧といった人為的な活動もあげられるでしょう。
対策として、植栽も行われていますが、深刻な干ばつによる水不足で、砂漠化の波は収まっていません。
干ばつ対策としての日本の取り組み
干ばつや砂漠化に対する取り組みは、日本でも行われています。
1970年に世界で締結された砂漠化対処条約に対して、日本は当初から署名を行なっていることもあり、長期間にわたって世界の干ばつや砂漠化への協力を手がけてきました。
その取り組みは現在も続いており、政府や企業において実行されています。続いては、日本で行われている干ばつ対策における取り組みをご紹介しましょう。
政府による干ばつ対策の取り組み
日本政府は、水資源保護や森林保全、農業開発などにおける技術協力を手がけいます。
例えば、干ばつや砂漠化に悩むエリアの近隣地域において、実際に成果を上げている知識や技術、ノウハウ等をまとめ、干ばつエリアの住民への普及や定着を住民が主体となって取り組める事業提供です。
そのほか、環境省主導のもとで行われる干ばつや砂漠化に対する研究・調査も行われれています。
この成果として、これまでの砂漠化現象の説明や、砂漠防止における効果的な土地利用の方法、生態系管理における計画提案を手がけているのがポイントです。
団体による干ばつ対策の取り組み
アメリカに本部があるCWS(Church World Service)JAPANでは、自然災害や貧困に悩む人々の生活への支援を手がけています。その取り組みのひとつが、パキスタン南部での干ばつ対策防災事業です。
干ばつの影響が広がるパキスタン南部にて、CWS JAPANと国土防災技術株式会社とが連携を撮りながら、水利効率化や農法改善のプロジェクト立案を行いました。
具体的な目標は、干ばつ影響地域のける農業用水やそれに対応する技術へのアクセス改善や、貧困層における飲み水へのアクセス改善等が挙げられます。
干ばつ対策に向けて私たちにできること
世界的な干ばつを乗り越えるために、日本政府や関連機関だけではなく、多くの団体や企業が対策を試みてます。しかし、活動を続けていくための資金が足りないばかりか、人材も足りない点は否めません。
そこで、一般市民としてサポートできることは、支援金を寄付することです。様々な団体が、干ばつや砂漠化に対する取り組みを行うための支援金を募集しています。
最近は、webからの募金も可能になっており、気軽に個人でも干ばつ対策のサポートが行えるでしょう。
まとめ
日本には関係ないように感じてきた干ばつ問題ですが、このまま温暖化が進み気候変動が続くと、直接的に影響を被る可能性も否めません。
特に、日本は食料のほとんどを輸入に頼っている国です。万が一、水の需給におけるバランスが崩れてしまうと、農業にも大きく影響を及ぼすため、食糧難に陥る可能性もあるでしょう。
また、干ばつ問題は自然の影響だけではなく、人為的な原因が元となることも多々あります。まずは、世界で起きている干ばつの現状に意識を向けることで、対策につながることも少なくはありません。
小さな一歩が、世界の干ばつエリアを救い、日本での水問題を未然に防ぐことができます。