海の豊かさを守ろう

海洋プラスチックごみ問題を解決するための対策とは?

いま、プラスチックごみが世界全体の問題となっています。
2018年世界環境デーの演説で、国連のグテーレス事務総長も「プラスチックごみ」の問題を世界の課題として訴えました。

ポリ袋やペットボトルといったプラスチックとしてよく知られているものだけではなく、洋服や紙おむつ・消しゴムに至るまで、便利なプラスチックは私たちの生活のあらゆる場面で利用されています。

しかし、適切に処理されないプラスチックはごみとなり、分解されずに長い時間自然界に残り続けることで、環境に大きな負荷を与えます。

多くのプラスチックごみが最後にたどり着く先が海です。
WWF(世界自然保護基金)によれば、現存する海洋プラスチックごみは合計で1億5000万トン、毎年新たに800万トンが海に流入していると推定されています。

この海洋プラスチックごみについて、現在どのような対策がとられているのでしょうか。

海洋プラスチックごみ問題への関心の高まり

海洋プラスチックごみ問題への関心の高まり

海洋プラスチックごみは、かなり前から世界で問題視され始めていました。

2015年にドイツで開催されたG7サミットでは、すでに海洋プラスチックごみが国際社会共通の問題として認識され、「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」が策定されました。

翌年に行われたダボス会議では、エレン・マッカーサー財団が「このまま対策がとられなければ、海洋プラスチックのごみの量は2050年には魚の重量を上回る」と報告したことが大きな反響を呼び、国際的な関心が高まりました。

同年開催されたG7伊勢志摩サミットでも、海洋ごみ対策として資源効率性や3R(リサイクル・リユース・リデュース)の取り組みの大切さが再確認され、翌2017年のハンブルグサミットでは首脳会談の中で初めて海洋ごみが取り上げられました。

2018年カナダで開催されたG7サミットでは、対策推進の大きなきっかけとなる「海洋プラスチック憲章」が採択されました。

この宣言には「2030年までにプラスチック包装の少なくとも55%をリサイクルおよびリユースし、2040年までにすべてのプラスチックを100%回収する」という具体的な数値目標が盛り込まれ、各国が産業界と協力しながら対策を行うことが求められています。

参照元:
海洋ごみに関する国際動向について|環境省
和訳版「海洋プラスチック憲章」|JEAN

プラスチックごみ削減にむけた各国の取り組みは?

プラスチックごみ削減にむけた各国の取り組みは?

このような国際的な流れを受け、現在各国ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

中国

世界最大のプラスチック消費国である中国では、新しい製品を作るための原料となるプラスチックごみを世界から輸入していましたが、このごみの汚染が国民の健康被害につながるという懸念などから、2018年に輸入を全面中止しています。

非分解性の袋の使用を2020年末までに主要都市で、さらに2022年までにすべての市と町で禁止する計画が発表されています。

使い捨てストローは2020年をもって全土の飲食店で使用禁止とされています。

参照元:中国、使い捨てプラスチック袋を2022年までに禁止|BBCニュースジャパン

ヨーロッパ

EU(欧州連合)は、ストローやスプーン・フォーク・ナイフといった使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案を採択しています。

また、マイクロビーズと呼ばれるプラスチック粒の入った化粧品については、オランダやフランス、イギリス、デンマークやアイルランドなど複数の国ですでに販売が禁止されています。

参照元:マイクロプラスチック規制の動向|東京環境経営研究所

アメリカ

アメリカは先に紹介した「海洋プラスチック憲章」に採択しませんでしたが、2020年にエネルギー省が海洋プラスチック除去や、プラスチックのリサイクル技術を推進する「プラスチック・イノベーション・チャレンジ」という取組みを始めています。

また、州ごとに具体的な対策を行っており、カリフォルニア州やニューヨーク州、ハワイ州などで、すでにレジ袋の使用を禁止しています。

日本

アメリカとともに「海洋プラスチック憲章」に採択しなかった日本ですが、周知のとおり2020年に小売店でのレジ袋有料化が始まりました。

2022年には、「プラスチック資源循環促進法」が施行される予定です。

この法律では、年5トンの使い捨てプラスチック製品を使う事業者を対象に、カトラリーやヘアブラシ、ハンガーなど12品目の定められたプラスチック製品に対し、削減を義務化することが定められるほか、3R+リニューアブルを促進するための基本方針が策定されています。

海洋プラスチックごみ:企業の取り組みは?

海洋プラスチックごみ:企業の取り組みは?

海洋プラスチックごみ問題に対する企業の姿勢も変わりつつあります。

スターバックスやマクドナルドといった大手チェーンが、プラスチックのストローを紙素材へと切り替えたことがよくニュースに取り上げられていますが、ほかにも様々なアプローチでプラスチックごみを減らす取り組みが始まっています。

【生分解性プラスチック】

使い捨て型のプラスチックに代わる素材として、「生分解性プラスチック」素材をうたった商品を多くの企業が手掛けています。

微生物によって水と二酸化炭素に分解されるという生分解性プラスチックですが、実際は長時間高温の状態であることやコンポストの中など、それぞれの材質に適した特別な条件下でなければ分解しません。

現在は、「気温30度下」など、より一般的な状況下で生分解されるプラスチックも開発されつつあり、ごみ削減に対する効果が期待されています。

【ケミカルリサイクル】

ごみとなった資源をそのままではなく、化学的に組成変換してリサイクルすることを「ケミカルリサイクル」といいます。

BRINGというブランドは、ペットボトルの樹脂から洋服を作る従来のリサイクル素材ではなく、洋服を原料レベルにまで分解、再生したケミカルリサイクル素材で新しい服をつくる試みを行っています。

まとめ:海洋プラスチックごみ対策に国境はない

まとめ:海洋プラスチックごみ対策に国境はない

使い捨てられ、そのままの形で、もしくは細かなマイクロプラスチックとなって海を漂うプラスチックごみ。

それらはごみの渦となって移動し、世界のあらゆる場所に辿り着きます。
北極の氷や深い海溝といった場所でさえ、プラスチックごみの汚染を逃れることはできません。

海洋プラスチックごみの問題の対策には、国という枠をこえた協力が必要不可欠です。
そしてそこにはもちろん、私たち1人ひとりの努力も必要となります。

国、自治体、企業そして個人―国際社会を構成するものすべてが、それぞれのアプローチで海洋プラスチックごみの削減に向けたアクションを起こすことが求められているのです。

  • 記事を書いたライター
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ICU卒業後、出版社にて女性誌の編集・ライティングに約10年間従事。その後NPOや財団法人で機関誌の編集・執筆を担当するなかで、社会貢献・慈善活動についての知見を深める。米・ペンシルバニアに滞在経験があり、現地の人々の寄付活動の熱心さに感銘を受ける。得意分野は、SDGs、多様性、フィランソロピー。

  1. 海洋プラスチックごみ問題を解決するための対策とは?

  2. 海洋プラスチックごみ|その種類や問題点とは?

  3. 情報格差の現状とその原因とは?実際の事例とあわせて紹介

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