世界には貧困な生活を強いられている人々がいまだに多く、富裕層と貧困層の格差は大きなものとなっています。
貧困な環境で生きる人々は、教育の機会に恵まれず、生きていく上で必要な知識や技術を得ることができません。
本来受けられるべき教育が受けられないことが原因で、十分な収入を得られる職業に就けないという現実が待っています。
そして、貧困であるために適切な医療も受けられない、といった負のスパイラルから抜けられなくなるのです。
貧困格差を埋めるためには、このような人々が教育を受けて知識や技術を習得し、所得を向上することによって貧困から抜け出すことが急務です。
この記事では、貧困によって格差が広がるとはどういうことなのか、貧困が招く負のスパイラルとはどのようなものか、について解説します。
世界で抱える貧困の現状とは
発展途上国などに目を向けると、貧困な生活を強いられている人がいまだに多くいます。
栄養不足で病気になる人・エイズやマラリアといった感染症を患っても適切な治療を受けられない人・医療機関が近くにない人・学校に行くことができず労働する子供などが多数いるという現状があります。
また、最近では、新型コロナウィルス感染症のパンデミックの影響で学校が閉鎖するなどし、世界中の学校に通う子供たちから、1兆8,000億時間にも及ぶ対面授業の機会が失われたと推定されました。
こうした状況が、更に教育の機会を奪っています。
質の高い教育を受ける機会に恵まれなければ、十分な収入を得られる仕事に就けないという問題があります。
このような問題が解決できず、格差をより一層大きくしています。
世界でかかえる貧困の現状は、先進国からの支援や投資などをなくして修復することはできません。
貧困によって格差が広がるとはどういうこと?
貧困が原因でさまざまな格差が生じていることが、大きな問題となっています。
例えば、インドはIT大国としての急速な成長が注目されていますが、その恩恵を受けている人はほんの一握りなのです。
中国でも、都市部と地方では暮らし向きに大きな差があります。
貧困による格差の広がりは、特に開発途上国で深刻な状況です。
貧困がもたらす格差には、「教育格差」・「医療格差」・「経済格差」などがあります。
教育格差
教育格差とは、国や地域によって状況が異なりますが、受けられるべき教育が平等に受けられないことをいいます。
貧困な環境におかれた子供は、本来教育を受けられるときに労働を強いられることも多くあります。
教育の機会に恵まれていないことにより、学習の理解度が低い・進学意欲が低いといった状況がゆえに、自己肯定感も低い場合が多いと言われます。
そういった子供たちは、経済的な問題だけでなく、様々な物事に意欲を持てず、社会から孤立することも多い傾向があります。
医療格差
世界には、基本的な医療を受けられない国や地域が多くあります。
適切な医療を受けられず、救われるべき命が失われているのです。
開発途上国などでは、経済的な事情から薬を輸入できない・医療機器を揃えられない、など様々な問題があり、医療格差が深刻化しています。
また、5歳以下の幼い命が奪われる・妊娠22週から出生後7日未満までの周産期で妊産婦が命を落とす・感染症で若い命が奪われるといった状況がいまだに続いています。
このような問題は国際的な支援がなくては、なかなか改善が難しい問題と言えます。
経済格差
経済格差とは、国や地域などの間に生じる経済力の差のことをいいます。
同じ社会・同じ国で生きていながら、富裕層と貧困層では所得が大きく開いていて、なかなか貧困問題は解決できていません。
貿易上での問題では、先進国が発展途上国に暮らす人々の労働力を低い賃金で買い、過酷な労働環境・不平等な貿易を強要するという状況も見受けられます。
このような不当な貿易のことを「アンフェアトレード」といいます。
SDGsの取り組みでは、発展途上国の貧困をなくす取り組みとして、発展途上国との貿易において公平な取引をする「フェアトレード」が勧められています。
貧困格差が招く負のスパイラルの問題
貧困な家庭に生まれた子供は、先程お話した「教育格差」・「医療格差」・「経済格差」を抱えた状況下で育つことになります。
教育の機会に恵まれずに大人になり教育の必要性を理解していない親は、子供に教育を受けさせようとはせず、早々に労働力となることを優先します。
そのため、学校に通えない子供がなかなか減っていきません。
また、医療を受けることが当たり前でない環境で生きてきた親は、子供に何か異変があっても、医療を受けさせる方法さえ知りません。
このような状況が、幼い命を失うことにつながっています。
このような貧困格差が親から子へと連鎖して、負のスパイラルから抜けられなくなってしまうのです。
貧困格差を埋めるためにできる行動とは
貧困格差を埋めるためにわたしたちにできることは、まずは知ることです。
ユニセフのホームページなどを見ると、世界の開発途上国の状況をタイムリーに知ることができます。
日本は物資・環境に恵まれていますが、開発途上国ではそれらに恵まれていないという実態を理解することが大切です。
まだ使える日用品を気に入らなくなって手放そうとするときに、この状況が頭に浮かぶかどうかです。
ものを長く大切に使う・リサイクルショップに持ち寄るなどの方法もありますが、不要品を寄付してくれる団体もあります。
食器・衣類・寝具・おもちゃ・かばんなどを段ボール箱に詰めて団体に送れば、貧しい国に寄付してくれるというものです。
貧困の地域では、生活に必要な物資が揃っていない・買うお金がない、という状況を理解し、行動してみましょう。
自分が使っていた不用品が、海を越えて誰かの生活を少しだけ豊かにできるのは、喜ばしいことです。
まとめ
日本で暮らしていると、貧困という状況にピンとこない人も多いのではないかと思われますが、発展途上国などに目を向けると、貧困な生活を強いられている人がいまだに多くいます。
貧困による格差の広がりは、特に開発途上国で深刻な状況で、「教育格差」・「医療格差」・「経済格差」などがあります。
貧困であることが原因で幼い命が奪われやすく、教育の機会に恵まれないことによって十分な収入を得られる職業に就けない、などの問題へとつながります。
このような環境で生きる人々が同じ環境で子供を育てるため、負のスパイラルから抜けられなくなるのです。
わたしたちは、こうした現状に目を向けて理解し、物資を手放すときには何かできることはないだろうか、などと考えられることが必要なのではないでしょうか。