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森林破壊の現状に対する日本の取り組みをご紹介|衛星監視・法整備・国産材活用まで

森林破壊の現状に対する日本の取り組みを紹介

森林破壊とは、農地転換や違法な伐採などによって森林が失われ、回復が追いつかない状態を指します。世界では熱帯林を中心に森林の減少が続いていると報告されており、生物多様性の損失や気候変動の加速につながる深刻な環境問題とされています。この記事では、森林破壊の現状に対する日本の取り組みをご紹介しながら、途上国への衛星技術支援から国内の法整備、木材の国内活用まで、複数の側面を整理します。あわせて、私たちが消費者としてできる具体的な行動もまとめました。

この記事で学べること

  • 世界の森林破壊の現状とその主な要因
  • 日本が「森林大国なのに木材輸入国」と言われる理由
  • JICAとJAXAの衛星技術を使った違法伐採監視の仕組み
  • クリーンウッド法やグリーン購入法など国内の制度
  • 間伐材や国産材を選ぶなど、私たちが日常でできる行動

森林破壊の現状|世界で今何が起きているのか

森林破壊という言葉は聞いたことがあっても、実際にどの程度の規模で進んでいるのかを具体的にイメージできる人は多くありません。まずは世界的な現状を押さえたうえで、日本の取り組みを見ていきましょう。

世界の森林減少はどのくらい進んでいるのか

国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関は、世界全体で見ると森林減少のペースはかつてよりも緩やかになってきているものの、依然として毎年広い面積の森林が失われ続けていると報告しています。減少の主な要因は、農地やプランテーションへの転換、違法伐採、道路開発などとされ、特に南米やアフリカ、東南アジアの熱帯林で顕著だと指摘されています。熱帯林は地球上の生物多様性の宝庫であると同時に、大量の二酸化炭素を蓄えている場所でもあるため、その減少は生態系だけでなく気候変動対策にも影響を及ぼすと考えられています。

熱帯林で違法伐採が止まらない背景

熱帯林の減少が止まりにくい背景には、監視の難しさがあります。広大な森林を地上から常時パトロールすることは現実的ではなく、これまでは人工衛星による画像監視が使われてきました。しかし従来の光学衛星は雲がかかると地表を撮影できないため、雨季にまぎれて行われる違法伐採を見逃しやすいという課題があったとされています。加えて、木材需要が旺盛な国への輸出ルートが複雑に絡み合っていることも、違法伐採木材の排除を難しくしてきた要因のひとつです。こうした課題に技術面から応えているのが、次に紹介する日本の衛星監視支援です。

日本はなぜ「森林大国なのに木材輸入国」なのか

森林破壊というと海外の話に聞こえるかもしれませんが、実は日本自身も「森林資源をどう使うか」という課題を抱えています。日本は国土に占める森林の割合が非常に高い国でありながら、使用する木材の多くを輸入に頼ってきたという、一見矛盾した状況にあるからです。

国土の約7割を占める森林と眠る人工林

日本の国土面積のうち、森林が占める割合はおよそ7割にのぼるとされ、先進国の中でも高い水準です。そのうちの一定割合は、戦後の復興期に植えられた人工林で構成されており、当時植林されたスギやヒノキなどは、すでに十分な太さまで成長し、本格的に利用可能な時期を迎えているといわれています。つまり日本には、使おうと思えば使える木材資源が国内に相当量蓄積されている状態です。

木材自給率が示す長年の構造変化

それにもかかわらず国産材の利用が進まなかった背景には、戦後の復興需要に応えるために貿易自由化が進み、価格の安い輸入木材が急速に普及したという歴史があります。国産材は割高になり、林業の採算が合わなくなったことで、山村の過疎化や高齢化とあいまって、林業に携わる担い手も減少していきました。木材自給率は2000年前後に大きく落ち込んだあと、林野庁が「森林・林業再生プラン」を打ち出すなどの政策的な後押しもあり、近年は回復傾向にあると報告されています。ただし依然として国内需要の一定割合を輸入材が占めている状態であり、国産材の利用拡大は今も続く政策課題です。

途上国支援の柱|JICAとJAXAが手がける衛星監視

日本の森林破壊対策は、国内だけにとどまりません。むしろ国際的に評価されている取り組みのひとつが、途上国の熱帯林監視に対する技術支援です。

日本の国際協力機構(JICA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、陸域観測技術衛星「だいち2号」のレーダーデータを活用し、熱帯林の伐採状況を検知する仕組みを共同で構築してきました。従来の光学衛星と異なり、だいち2号に搭載されたレーダーは雲を透過して地表を観測できるため、雨季でも継続的なモニタリングが可能になったとされています。このシステムは森林早期警戒の枠組みとして途上国の関係機関に共有され、違法伐採が疑われる区画をいち早く特定する手がかりとして活用されてきました。運用開始から数年間で、対象国において多数の違法伐採の兆候が検知されたと報告されており、取り締まりの実効性を高める材料として役立てられています。

こうした衛星技術の提供と並行して、日本は荒廃した森林の回復や土砂災害の予防に関する技術協力も行っています。日本国内で培われてきた治山技術、つまり山の斜面を保全し土砂の流出や崩壊を防ぐノウハウを、森林火災や地滑りのリスクが高い途上国の現場に応用する取り組みです。衛星による「見える化」と、現場での「治す技術」という両輪で、熱帯林の保全を後押ししている点が、日本の国際支援の特徴だといえます。

国内の法整備|クリーンウッド法とグリーン購入法

途上国支援と並んで重要なのが、国内に流通する木材そのものを合法なものにしていくための法整備です。せっかく海外の違法伐採を監視しても、その木材が日本国内で普通に流通してしまえば、需要を通じて森林破壊を後押ししてしまうことになりかねません。

クリーンウッド法が変えた木材業界のルール

正式名称を「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」というクリーンウッド法は、合法的に伐採された木材の利用と流通を後押しするために施行された法律です。この法律のもとでは、木材関連事業者は取り扱う木材が合法伐採されたものであるかどうかを確認し、記録する措置を求められます。こうした合法性確認の体制をきちんと整えている事業者は、国が定める登録実施機関に申請することで「登録木材関連事業者」として認定される仕組みです。近年は制度の実効性を高めるための見直しも進められており、事業者に求める確認や情報提供の水準を引き上げる方向性が議論されてきたと報告されています。私たち消費者が木材製品を購入する際に「登録木材関連事業者」から仕入れられたものを選ぶことは、合法伐採木材の流通を後押しする具体的な行動のひとつになります。

グリーン購入法との連携で広がる公共調達

もうひとつの重要な法律が、国や独立行政法人といった公的機関に対し、環境負荷の少ない商品を優先的に購入するよう定めたグリーン購入法です。木材・木材製品については、クリーンウッド法に則って合法性が確認されていることに加え、林野庁が示す「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に準拠していることが求められます。公共調達という大きな需要を通じて合法木材の市場を広げていく仕組みであり、クリーンウッド法が事業者側のルールだとすれば、グリーン購入法は買い手側から市場を動かす役割を担っているといえます。

国内森林を活かす実践|間伐材・木質バイオマス・国産材輸出

法制度が整っても、実際に国内の森林資源が使われなければ、輸入材への依存は変わりません。ここでは、国内の森林を活用しようとする複数の取り組みを見ていきます。

間伐材マークが後押しする林業の循環

健全な森林を保つためには、密集しすぎた木を間引く「間伐」という作業が欠かせません。間伐を怠ると地表に日光が届かず下草が育たなくなるほか、木の根が十分に張らず、台風や地震の際に倒木や地滑りのリスクが高まるといわれています。一方で間伐には手間とコストがかかるため、採算が合わずに放置される森林も少なくありません。そこで、間伐によって出た木材(間伐材)を割り箸や家具、建材などに活用し、収益につなげる動きが広がっています。全国森林組合連合会は、間伐材を使った製品に「間伐材マーク」を表示する取り組みを進めており、消費者が間伐材由来の製品だと分かる形で選べるようにしています。

木質バイオマスと国産材輸出の広がり

脱炭素への関心の高まりとともに注目されているのが、木材を燃料として利用する木質バイオマスエネルギーです。木を燃やして出る二酸化炭素は、その木が成長する過程で吸収した分に相当すると考えられ、化石燃料の代替として発電や熱利用に活用する取り組みが各地の発電事業者や製紙・住宅関連企業で進められています。あわせて、国産材の需要を広げる手段として、政府は木材の輸出拡大にも力を入れてきました。住宅メーカーや木材加工事業者の中には、国産材を使った建材や合板を海外市場に売り込む動きも見られ、国内の需要拡大と輸出の両面から国産材利用を底上げしようとする流れが続いています。こうした複数の企業・団体の取り組みが積み重なることで、間伐材や国産材が「使われないまま放置される資源」から「循環する資源」へと変わっていくことが期待されています。

木材を選ぶときにできること|認証マークと事業者選び

ここまで見てきたように、森林破壊への対応は国際支援や法制度だけで完結するものではなく、木材を最終的に使う私たち消費者や事業者の選び方にも左右されます。実際に木材製品を選ぶ場面では、どのマークや表示を目印にすればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

3つの目印の違いを比較する

木材製品を選ぶ際にチェックできる主な目印を整理すると、それぞれ重視しているポイントが異なることが分かります。

  • 間伐材マーク:国内の間伐材が使われていることを示し、国内林業の循環を後押しする
  • 登録木材関連事業者からの購入:クリーンウッド法に基づき合法性確認の体制が整った事業者を選べる
  • FSCやPEFCなどの森林認証:第三者機関が持続可能な森林管理を認証した木材であることを示す

これらは目的も認証の仕組みも異なるため、「どれか一つが絶対に正しい」というものではありません。国内林業の活性化を重視するなら間伐材マークや国産材表示、輸入材も含めた合法性の担保を重視するなら登録木材関連事業者や森林認証マークというように、購入の目的に応じて使い分ける視点を持つと選びやすくなります。

日常の中で確認できる小さな機会

毎年10月には林野庁が「木材利用促進月間」として木材利用の意義を広める国民運動を展開しており、全国各地でイベントや情報発信が行われています。家具や住宅の建材だけでなく、割り箸やノートといった身近な紙製品にも間伐材由来のものが使われていることがあります。こうした機会に、自宅の家具や日用品がどこから来た木材でできているかをパッケージや商品ページで確認してみるのも、身近な第一歩になります。すべての製品で確認するのは難しくても、次に何かひとつ木材製品を選ぶときに表示を見てみることから始められます。

まとめ

森林破壊に対する日本の取り組みは、途上国の熱帯林を衛星で見守る国際支援と、国内で流通する木材の合法性を担保する法制度、そして国内の森林資源そのものを使っていく実践という、複数の層が組み合わさって成り立っています。日本は国土の多くを森林が占める一方で、使う木材の相当割合を輸入に頼ってきたという矛盾を抱えており、この矛盾を解消していくことが、輸入木材を含めた世界全体の森林資源の節約にもつながると考えられています。

森林は放置すれば健全な状態を保てず、土砂災害のリスクを高めるなど私たちの暮らしにも影響を及ぼしかねません。海外の違法伐採監視のようなスケールの大きい取り組みだけでなく、間伐材マークの付いた製品を選ぶ、登録木材関連事業者や森林認証マークを確認するといった消費者一人ひとりの選択も、森林破壊の現状を変えていく力になります。まずは、次に木材製品を選ぶときにマークや表示を一つ確認してみることから始めてみてください。

  • 世界では熱帯林を中心に森林減少が続いているとされ、違法伐採の監視の難しさが課題になってきた
  • 日本はJICAとJAXAの衛星「だいち2号」を活用し、途上国の違法伐採監視を技術面から支援している
  • 国内ではクリーンウッド法とグリーン購入法が、合法伐採木材の流通と公共調達を後押ししている
  • 間伐材マークや木質バイオマス、国産材輸出など、国内の森林資源を活かす動きが広がっている
  • 消費者は間伐材マーク・登録木材関連事業者・森林認証マークを目的に応じて確認することができる

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
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