アメリカ・ニューヨークにある国連本部が、ジェンダー格差の悪化を示す衝撃の発表をしました。
その発表によれば、「完全なジェンダー平等の実現には、現在のペースでは300年近くを要する」とのこと。
持続可能な開発目標、通称「SDGs」では2030年までのジェンダー平等達成が掲げられていますが、その数字とは比べものにならないほどです。なぜここまで遠ざかってしまったのでしょうか?
完全なジェンダー平等の実現を遠ざける4つの主な要因
国連本部の発表を裏付けたデータは、UNウィメンと国連経済社会局がまとめた報告書です。
それによると「現在の進歩のペースでは、法的保護での格差を解消し、差別的な法律を廃止するのに最長で286年、職場で管理・幹部職に就く男女が同数となるには140年、各国議会で男女の議員数が同数となるには40年以上かかる」との見通しが。
その要因について、報告書では主に4つの出来事を取り上げています。
一つ目は新型コロナウイルスのパンデミックとその余波、二つ目はロシアウクライナ戦争をはじめとする世界各地の激しい紛争、三つ目は気候変動、四つ目は「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」と言われる「女性の性と生殖に関する健康と権利」に対する反発です。
どの問題も世界規模の出来事ではありますが、一つ一つの要素を噛み砕けば、日本にとっても他人事ではない課題ばかりです。
さらに同報告書には、家を失った女性の数が2021年に過去最悪となったことや、出産可能な年齢の女性の12億人以上が人工妊娠中絶を選べない環境にある現状などもまとめられています。
今こそ、女性と少女に投資を
UNウィメンのシマ・バホウス事務局長は「今こそ女性と少女に投資し、進歩を取り戻して加速させるために力を合わせることが重要だ」と、世界へ向けてメッセージを発信しました。
日本でもコロナの影響により多くの人が職を失い、中でも女性の雇用悪化は極めて深刻な状況です。あらゆる性別の人が対等に、自分らしく生きる社会が実現するよう、まずはこうした警鐘に耳を傾けることからはじめてみましょう。
参照元:Progress on the Sustainable Development Goals: The gender snapshot 2022