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ジェンダー平等を実現しよう

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」における日本の現状とは?

SDGsとは”Sustainable Development Goals”の略称であり、日本語で持続可能な開発目標と訳されます。
2015年9月の国連サミットで採択された目標であり、2030年までに国連加盟国193ヶ国が達成することを目指しています。

SDGsでは17の目標が掲げられており、そのうち5つ目は「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げ性別における差別がない未来を目指しています。
2014年に史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんが女性が教育を受ける権利を求めて積極的に活動していたことでも有名になった目標です。

この記事ではSDGsの5つ目の目標である「ジェンダー平等を実現しよう」に対しての日本の現状について解説します。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは

日本ユニセフ協会によれば、SDGsの5番目の目標である「ジェンダー平等を実現しよう」は以下の6つで構成されています。

5-1. すべての女性と女の子に対するあらゆる差別をなくす。
5-2. 女性や女の子を売り買いしたり、性的に、また、その他の目的で一方的に利用することをふくめ、すべての女性や女の子へのあらゆる暴力をなくす。
5-3. 子どもの結婚、早すぎる結婚、強制的な結婚、女性器を刃物で切りとる慣習など、女性や女の子を傷つけるならわしをなくす。
5-4. お金が支払われない、家庭内の子育て、介護や家事などは、お金が支払われる仕事と同じくらい大切な「仕事」であるということを、それを支える公共のサービスや制度、家庭内の役割分担などを通じて認めるようにする。
5-5. 政治や経済や社会のなかで、何かを決めるときに、女性も男性と同じように参加したり、リーダーになったりできるようにする。
5-6. 国際的な会議※で決まったことにしたがって、世界中だれもが同じように、性に関することや子どもを産むことに関する健康と権利が守られるようにする。
※国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画、北京行動綱領とそれらの検証会議の成果文書
5-a. それぞれの国の法律にしたがって、女性も財産などについて男性と同じ権利を持てるようにし、土地やさまざまな財産を持ったり、金融サービスの利用や相続などができるようにするための改革をおこなう。
5-b. 女性が能力を高められるように、インターネットなどの技術をさらに役立てる。
5-c. 男女の平等をすすめ、すべての女性や女の子があらゆるレベルで能力を高められるように、適切な政策や効果のある法律を作り、強化する。
参照元:5.ジェンダー平等を実現しよう | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会

詳しくは下記の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

ジェンダー平等に対する日本の現状

世界経済フォーラムが2019年12月に公表した「世界ジェンダーギャップ指数」によれば、日本は153カ国中121位と他の先進国と比較して著しく低い順位となりました。

2019年は114位でしたので、そこからさらに7位順位を落として過去最低を記録しました。

この指数は男女の社会的・文化的な格差を示したものであり、経済・政治・教育・健康の4つの分野のデータを元に作成されています。1が完全な平等を実現している状態であり、0が完全な不平等が存在していることを意味します。

1位のアイスランドが0.877であるのに対して、日本は0.652と日本のジェンダー平等は世界的に見ても著しく遅れていることがわかります。

分野別にジェンダー指数を見てみると、経済が0.598で世界115位、政治が0.049で世界144位、教育が0.983と世界91位、健康が0.979と世界40位となっています。

どの分野でも他の諸国に対して、遅れを取っていますが、なかでも政治・経済の分野で著しく不平等が存在していることがわかります。

参照元:Global Gender Gap Report 2021 | 世界経済フォーラム

教育現場におけるジェンダー平等の課題

2021年4月にアミー株式会社により公表された日本国内でのジェンダー平等についての意識調査アンケートによると、職場や学校では約60%~70%の人が実際は男女平等になっていないと回答しました。
職場では、採用において男女が不平等であることや、業務内容が不平等であることがあげられました。

東京都立高校の普通科の一般入試では、男女別に定員を設けており男女で合格点が異なります。
2015年から2020年に実施された入試では、調査対象校の約8割は女子の合格点が高かったことが判明しました。

中には、1000点満点中243点女子が男子を上回ったケースや、男子の合格ラインには入っていたものの女子の合格最低点に及ばない女子20名が不合格にされているケースなどが発覚しています。
都の教育委員会は、このような問題を改善すべく1998年から是正措置を行っていますが、なかなか改善されていないのが実情です。

家庭におけるジェンダー平等の課題

一方、家庭内で男女が平等か否かというアンケートでは46%の男性が平等と答えているのに対し、65%の女性は平等ではないと答えています。家事と子育ての負担が偏っているというのが大きな理由です。

このように、日本では男女平等は未だ程遠い状況なのです。
アンケートの中には、これらの問題を改善するにはどうすれば良いかという問いもありましたが、「社会機構の改革」「封建的な慣習をなくす」「教育改革」など、いずれにせよ大きな制度改革が必要であることを、多くの人が感じていることがわかりました。

ジェンダー平等で政治経済分野の遅れが目立つ日本

SDGsの5つ目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」で大きく遅れを取っている日本ですが、特に政治(144位)と経済(115位)の分野で不平等が目立ちます。このような結果となったことの背景はどこにあるのでしょうか?

政治の分野では国会議員の女性の割合や閣僚の女性の割合、過去50年の間に女性の首脳が就任した年数で評価されます。

しかし、日本の国会議員の割合は9.9%、女性の閣僚は10%と際立って低くなっています。

また、過去50年どころか日本は憲政史上女性の首相が誕生したことはありません。このように女性の政治家の少なさや女性の政治参加が進まない現状を指摘されて、不平等であると認定されてしまいました。

最近では森喜朗元首相の女性蔑視発言に象徴されるように政治の世界において女性の立場が弱いと世界に知れ渡っています。国会では今回の結果を受けて、候補者の一部を女性に割り当てる「クオータ制」導入も検討されましたが、実現からはほど遠い状況です。

同じアジアの韓国や台湾で女性の首脳が誕生していることを考えると、政治分野でのジェンダー平等の実現は喫緊の課題です。

経済分野でもジェンダー平等に課題がある日本

日本におけるジェンダー平等の現状

経済分野では男女の所得格差や女性管理職の比率の低さが指摘されています。

2003年に内閣府が「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標を発表していますが、2020年時点での達成率は7.5%となっています。
以前と比較して上場企業における女性の役員の数の増加など一定の成果は見られていますが、目標には遠く及びません。

また、日本はG7と呼ばれる主要先進国の中で男女間賃金格差が最も大きくなっています。先進諸国の賃金格差が80~90%で推移しているのに対して、日本は正社員であっても75%となっています。
こちらも以前と比較して、改善はされていますが、いまだに男女の賃金格差が大きいことを示しています。

これは女性が働く環境が整備されていないことも原因であると言われています。例えば、日本では家事や育児は女性がやるべきという伝統的な価値観があり、女性の社会進出を妨げる要因とされてきました。

女性が仕事と育児を両立するためには保育園などの整備が不可欠ですが、現状では保育園の数が圧倒的に足りず。女性が安心して働ける環境が存在するとは到底言えません。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」達成のために

日本は他の先進諸国と比べてもジェンダー平等が実現されているとは言えません。特に政治や経済の分野における男女格差は顕著になっています。

男女の不平等を解決するためには制度を整えることが重要な要素となります。女性に配慮したインフラの整備や教育分野における女性活躍への公的支援、男性の産前産後休暇の取得促進、保育園の整備など国や企業が取り組むべき課題はまだまだあります。

一方で国や企業任せにするだけで現状が改善するとは言えません。私たち一人ひとりがジェンダー平等を意識して生活し、各々が自分にできる最善を尽くすことが求められています。

例えば、日本では「家事や子育ては女性がするものだ」という固定観念が根強くあり、制度はあっても妊娠や育児をきっかけに退職を余儀なくされる女性もたくさんいます。

私たちの家庭や職場などで女性が大きすぎる負担を抱えていないか、女性が不利な立場に置かれていないかに心を配り、声を上げることも身近でできるジェンダー平等の取り組みです。

まとめ|日本におけるジェンダー平等の実現に向けて

SDGs「ジェンダー平等を実現しよう」における日本の現状のまとめ

SDGsの5つ目の目標であるジェンダー平等の実現は女性だけではなく、人類共通の課題です。日本は153カ国中121位と世界標準から大きく遅れをとっています。

政府として女性活躍推進法の制定など女性の活躍を後押しする施策を打っていますが、現状は女性に対する有形無形の差別が存在し、苦しい状況に置かれている女性はたくさんいます。

日本はジェンダーの平等を訴えるSDGs5つ目の目標を真剣に捉え、国や企業だけではなく、一人ひとりが改善に向けて個人単位でできることを模索する必要があります。

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