セクシャルマイノリティ。
最近では有名人など、公の場面で見ることも多くなった存在ではないでしょうか?
そんな風に認知度が高まってきている存在ですが、そういう話題をしていく上で切っても切り離せないのが『カミングアウト』という言葉。
この記事を読んでくださっている方たちの中にも、なんとなくの意味を知っている方は多いかと思います。
しかし、その行為が持つ影響や、当事者たちの感情の面まで考えたことがあるでしょうか?
今回は、そんなカミングアウトやその周辺知識についてです。
当事者である僕の経験や意見なども踏まえつつ解説していきます。
時に当事者のことを追い込んでしまう『アウティング』などの関連用語についてもお話していきますので、なんとなく知っているという方も、今一度一緒に勉強していきましょう。
カミングアウトとは
そもそもカミングアウトとは、どのような意味でしょうか?
調べてみると、
これまで公にしていなかった自らの出生や病状、性的思考を表明すること。
この言葉が広まった背景としては1980年代にエイズが大流行し、ゲイであることを社会的に知らせる必要性が生じたためであるとされています。
また、欧米では『有名人が自分のセクシャリティについて公表すること』を指すニュアンスが強いよう。
確かに日本でも、テレビやネットニュースを通じてそういった報道が流れることも多く、そのようにイメージしている人も多いかもしれません。
ですが、この認識を改める必要性があると考えています。
例えば実際には、学校や職場などで「今の現状に不満を抱いて」カミングアウトすることがかなり多いです。
これは普段からそういった情報を目にすることが多い僕自身の意見ですが、セクシャルマイノリティという存在をもっと身近なものとして捉えていく必要があると感じています。
カミングアウトの関連用語
次に、カミングアウトの話題になった時に共に出てくることが多い単語についても解説していきます。
カミングアウトの話題となった時によく使用するうえ、実際に当事者と接する際にもとても重要な考え方になるのでしっかりと抑えておきましょう。
クローゼット
クローゼットはセクシャルマイノリティの人々が、自身の性的指向や性同一性を公表していない状態を暗喩するもの。
衣類を仕舞う「クローゼット」を当人の心に見たてて、「(性的指向を)隠している状態」のことを指している。
ゾーニング
ゾーニングとは、「どの範囲の人にまでカミングアウトをするか」という線引きのことをいう。
この言葉は「区分、区画する」という意味の英語の動詞「zone」から来ている。
アウティング
セクシャルマイノリティなどに対して、本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向や性同一性などの秘密を暴露する行動のこと。
この中でも、特に抑えてほしい言葉がアウティングです。
自らのセクシャリティに関する情報は、当事者にとってかなりセンシティブな問題である場合が多いです。
それを不用意に暴露してしまうことは、その人の社会的地位を危うくしてしまう可能性を大いに含んでいるのです。
ここでは深く説明しませんが『一橋大学アウティング事件』という、アウティングによって自殺にまで追い込まれてしまった痛ましい事件も起きています。
アウティングは当事者たちをそれほどまでに追い込んでしまう可能性があるものです。
どのような理由であれ、本人の了承なしにこれを行なうことは絶対にあってはならないことだと思います。
カミングアウトをなぜするのか?
さて、これらを踏まえた上で「そもそもなぜカミングアウトは行われるのか?」ということについて考えていきたいと思います。
これらに関する情報・当事者としての自身の経験から、カミングアウトをする理由というのは次の2つに大きく分けられると考えています。
①感情を共有したい場合
まずは感情を共有したい場合。
誰しも秘密を持った経験はあるかと思いますが、それを誰にも話せずにいるというのは意外とストレスを感じるものです。
それが社会的地位を危うくする可能性があるのなら尚更だと思います。
実際の感情に蓋をして振る舞うのはメンタルヘルスに良くなく、少数でも良いので愚痴などの感情を共有できることは当事者の中でかなり安心できることです。
そしてここで繰り返しになりますが、もしこのような事情を打ち明けられたとしても、アウティングなどの行為は絶対にやめましょう。
先に述べたようにその人の立場を危うくすることに繋がると共に、あなたへの信頼を裏切る行為です。
②現状の待遇・関係を改善したい場合
次に現状の待遇・関係を改善したい場合。
セクシャルマイノリティの方は、生活する中で現状に不満を抱えている場合も多いです。
多いケースとしては、トランスジェンダーの方が自分の性自認とは異なった服装をされたり、異なる性別として扱われること。
僕自身のケースだと、セクシャルマイノリティの事を面白おかしく扱うネタに当事者として違和感を覚えたため、親しい友人たちにはそれとなく伝えています(幸い、そこまでひどい扱いをされたことはありませんが)。
まとめ ~非当事者が意識したいこと~
ここまで本記事ではカミングアウトとその周辺知識、当事者たちの感情について考えてきました。
セクシャルマイノリティには様々な方々が存在し、それら全てを理解することは難しいかもしれません。
ですが、セクシャルなことに限らず、誰しも秘密や、マイノリティな側面は持ち合わせていると思います。
それを相手に明かした時、どう接して欲しいのか、逆にどうされたら嫌なのか?
そういうことをしっかり想像して、日々の言動を考えることが一番大切なのではないかと思います。