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ジェンダー平等を実現しよう

女性差別が起こる原因とは?現状や対策もあわせて解説!

女性差別が起こる原因とは?現状や対策も解説

3月8日は、国連が制定した「国際女性デー」です。
女性に対する差別や不平等をなくすことを目的とした国際的な記念日であり、この日には世界各地で関連イベントやキャンペーンが行われます。

しかし、世界では依然として女性差別が根強く残っており、完全な解決には至っていません。
男女平等が長らく叫ばれてきた日本でも、差別的な発言や構造的な格差は依然として存在しています。

本記事では、女性差別が生じる背景やその現状を整理するとともに、国内外の取り組みや解決に向けた動きを解説します。

世界に見る女性差別の実情

世界に見る女性差別の実情

一口に女性差別といっても、その形は多岐にわたります。
日本では法的に保障された人権があるものの、世界には想像を超える深刻な差別が今も存在します。そして、日本国内でもそれらが完全に解消されたとは言い切れません。

まずは、日本を含む世界各地で見られる具体的な女性差別の事例を見ていきましょう。

性暴力や虐待

身体的な特徴から、女性は男性に比べて筋力が弱く、暴力の被害を受けやすい傾向があります。
ユニセフの調査では、世界の女性の約3人に1人が、身体的または性的な暴力を受けた経験があると報告されています。

さらに、近年注目されている問題として「女性性器切除(FGM)」があります。
これはアフリカや中東・アジアの一部地域で慣習的に行われるもので、深刻な出血や感染、不妊、さらには死亡に至る危険も伴います。
健康面だけでなく精神的にも大きな苦痛を与えるため、国際社会はFGM根絶に向けた活動を強化しており、2月6日は「FGM根絶の日(ゼロ・トレランス・デー)」と定められています。

参照元:
ジェンダーに基づく暴力 女性3人に1人が身体的暴力の被害 必要なのは鍵、光、安全な住居|ユニセフ
ユニセフの主な活動分野|子どもの保護|ユニセフ

児童婚

18歳未満での結婚を「児童婚」といいます。特に15歳未満の結婚は深刻な問題で、世界では約2億5,000万人の女性が児童婚を経験しています。

男性の児童婚も存在しますが、健康・教育・社会的な不利益の多くは女性に集中します。
若年での妊娠・出産による健康リスク、就学機会の喪失、就業の制限、配偶者からの暴力などがその例です。

児童婚の発生率は世界的に減少傾向にありますが、そのペースは遅く、特にアフリカでは人口増加に伴い減少が追いついていません。
国連は、このままでは2050年までに児童婚を経験する女性が倍増する可能性があると警告しています。

参照元:ユニセフの主な活動分野|子どもの保護|ユニセフ

雇用における格差

職場における女性差別は世界中で問題視されています。
ILO(国際労働機関)の統計によると、2018年時点で世界の女性の労働力率は48.5%で、男性より26.5ポイント低い水準です。失業率も女性の方が0.8ポイント高く、雇用機会の不均衡が明らかです。

日本でも同様で、厚生労働省によれば令和元年の労働力人口に占める女性割合は44.3%。特に収入格差が顕著で、シングルマザー世帯の貧困は深刻な社会課題となっています。
女性差別の解消なくして、貧困問題の抜本的解決は難しいと言えるでしょう。

参照元:ILO

世界のほとんどにおける傾向としていまだに男性より低い女性の労働市場参加-ILO新刊|ILO
Ⅲ 働く女性に関する対策の概況(平成15年1月~12月)|厚生労働省

教育格差

日本では義務教育段階での男女格差はほぼ見られませんが、世界では約3,200万人の女児が初等教育を受けられないとされています。
背景には経済的困窮や文化的慣習、安全面の問題などが複雑に絡みます。

国内でも、高等教育進学率や大学院進学率では依然として男女差が残っています。
男女共同参画局の調査(2018年)によれば、大学進学率は男性55.6%に対し女性48.2%、大学院進学率では男性14.7%、女性5.9%と差が拡大しています。

参照元
ユニセフの主な活動分野|ジェンダーの平等|ユニセフ
第1節 教育をめぐる状況|男女共同参画局

身近で起こる女性蔑視発言

身近で起こる女性蔑視発言

女性差別は遠い国の出来事ではなく、私たちの身近にも存在します。

たとえば職場における女性蔑視発言は、その典型例です。
一昔前は、上司へのお茶出しや掃除、備品補充などの雑務は「女性の役割」とされる風潮が強くありました。近年は改善傾向にあるものの、「女性が淹れた方が美味しいから」といった性的ニュアンスを含む発言が依然として残っています。

また、昇進や給与など待遇面での不平等も無視できません。
こうした職場での言動や制度上の不公平は、社会構造に根差した女性差別の一端であり、ジェンダー平等を阻む要因となっています。

女性差別が起こる理由

女性差別が起こる理由

世界規模で見ても、女性差別は宗教や文化、社会制度など多様な要素が絡み合って生じています。
これらは長い歴史の中で形づくられた価値観や慣習に深く根差しており、短期間での解消は難しいとされています。

宗教的背景

女性差別の背景には、宗教上の価値観が影響している場合があります。

世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数をみると、下位に位置する国々には保守的なイスラム国家が多く含まれます。これは、「男性が女性よりも高い地位にあるべき」という宗教解釈や社会慣習が一因とされています。

ヒンドゥー教圏では「ダウリー(持参金)」の慣習が長らく存在し、結婚時に新婦側の家族が新郎側へ多額の金品を贈ることが求められてきました。経済的負担から結婚を諦める、あるいは極端な場合には自殺に追い込まれる事例もあり、深刻な社会問題となっています。
インドでは現在、法律でダウリーが禁止されていますが、一部地域では慣習が根強く残っています。

参照元:Global Gender Gap Report2021|世界経済フォーラム

「家事は女性の仕事」という文化

日本を含む多くの国で根強いのが、「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という固定的な役割分担の考え方です。

特に発展途上国では、女性が一日中家事や育児に従事し、教育や就業の機会を奪われるケースが少なくありません。
教育を受けられないことで雇用機会も限られ、結果として経済的自立が難しくなるという悪循環が生じます。

日本でも家事負担は依然として女性側に大きく偏っています。内閣府の調査によれば、夫婦間の家事・育児時間のうち約9割を女性が担っているという結果が出ています(調査時期:平成21年度)。近年は男性の家事・育児参加を促す動きが強まっていますが、数値としてはまだ大きな差が残っています。

参照元:4.仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)|内閣府HP

SDGs目標5を達成するために

SDGs目標5を達成するために

国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の目標5は、「ジェンダー平等を実現しよう」です。
これは、すべての女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、平等な社会参加を保障することを目的としています。
世界の多くの国や企業が、この目標に沿った政策や施策を実施しています。

アイスランドの取り組み

アイスランドは、ジェンダー平等の先進国として知られています。
従業員50人以上の企業には、管理職のうち女性比率を40%以上にすることが義務付けられています。
また、赤ちゃんを同伴して職場に通うことが一般的で、育児と仕事の両立が社会的に認められる環境が整っています。

ドイツの取り組み

ドイツでは2016年に「女性クオータ法」を制定。大企業108社に対して監査役会の女性比率を30%以上とすることを義務化しました。
さらに、大手企業3,500社には、役員や管理職の女性比率向上のための目標設定と具体策の公表義務があります。
この法律は、公的部門にも適用され、社会全体で女性の参画を促進しています。

日本の取り組み

日本ではジェンダー平等の実現に向け、政府が「権利の尊厳」「能力発揮の基盤整備」「リーダーシップの発揮」の3原則を掲げています。
この方針のもと、「女性に対する暴力をなくす運動」や「イクメンプロジェクト」など、意識改革と行動を促す施策が展開されています。

しかし、女性の社会参画は近年になってようやく広がり始めた段階であり、未だに一歩を踏み出しづらい女性も少なくありません。
政府はそうした人々を支援するため、「女性応援ポータルサイト」を設け、情報や制度の活用を促しています。

参照元:第2節 男女共同参画に関する分野における国際的なリーダーシップの発揮|男女共同参画局

株式会社コーセーの取り組み

主に化粧品の製造販売を行う株式会社コーセーでは、ジェンダーにとらわれることなく、誰もが働きやすい会社づくりを行っています。

男女共同参画社会基本法の施行に先駆けて、1985年には女性が取締役に就任しました。
そのほか、子育て世帯の父母が、どちらも職場で活躍するための両立支援の取り組みなど、独自の取り組みも盛んに行われています。

参照元:取り組み1:女性活躍・LGBTQ+|株式会社コーセー

株式会社リコーの取り組み

事務機器や光学機器のメーカーである株式会社リコーでは、「ダイバーシティー&インクルージョン」や「ワークライフ・マネジメント」を経営戦略の一つとしています。
女性の活躍はもちろん、多様な人材が個性や能力をベストな状態で発揮できる環境を作り、仕事と生活の充実を実現するための取り組みです。

男性を対象とした子育てセミナーなども開催されています。

参照元:ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフ・マネジメント|株式会社リコー

まとめ

まとめ

女性差別をはじめとするジェンダー問題は、宗教や文化、歴史的背景と深く結びつき、簡単には解決できない課題です。
特に日本は、先進国の中でもジェンダー平等の達成度が低いと指摘されており、無意識のうちに差別的な発言や態度を取ってしまう可能性があります。

この状況を変えるためには、一人ひとりが自らの言動を見直し、平等な社会を築く意識を持つことが不可欠です。
誰もが性別に関わらず、自分らしく生きられる社会を目指して、日常の中での小さな行動から変革を積み重ねていくことが求められます。

  • 記事を書いたライター
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