ジェンダー平等を実現しよう

教育における男女格差とは?格差の現状を知り、解決策を考える

教育における男女格差とは、性別の違いによって起きる教育機会の格差を指します。

これまで世界中で多くの女性が、「女性である」という理由だけで教育を受ける機会を奪われてきました
本来ならば教育を受ける権利は、性別に関係なく誰もが持っているはずです。

しかし、貧困や親が教育に対して理解を示さないといった背景が複雑に絡み合い、男女平等の教育はいまだ達成されていません。

世界では今、具体的にどれほどの男女格差が起きているのでしょうか?
その格差はなぜ、起きてしまうのでしょうか?

この記事では、教育における男女格差の現状と解決に向けた取り組みについて解説します。

日本の教育における男女格差についても合わせて触れていくので、私たちにできることを考えていきましょう。

教育における男女格差の現状

教育における男女格差 解決のための取り組み

2018年に世界銀行は報告資料をもって「実際に教育を受けられていない6~17歳の女の子が、世界に約1億3200万人いる」と発表しました。

学校に通えていない約1億3200万人の女の子のうち、約40%にあたる5200万人はサハラ砂漠以南のアフリカに住む女の子です。
さらに、約35%となる4650万人は南アジアに住む女の子で、両地域を合わせ75%を占めています。

つまり、世界で教育を受けられない女の子の7割以上がサハラ以南のアフリカまたは南アジアに住んでいて、両地域の教育における男女格差は改善が遅れていることがわかります。

また、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が2019年に発表した資料によると、初等教育期間にあたる6歳から11歳の子どものうち、一生学校に通うことのできない女子児童は男子児童の約2倍にのぼるとされています。

教育における男女格差が発生する原因

教育における男女格差が発生する原因

サブサハラと呼ばれるサハラ砂漠以南のアフリカ、南アジアを中心に教育の男女格差が生まれる理由は、多岐にわたり、複雑に絡んでいます。

ここでは、格差の起こる理由を紐解いていきます。

貧困

サブサハラ、南アジアは開発途上地域であり、貧困にあえぐ家庭が多くあります。
こうした地域や家庭では、働き手を確保するため、子どもを学校に通わせずに家で働かせることとなります。

特に女子児童の場合、水汲みや家族の面倒を見ることを優先されてしまい、男子児童と比較して学校教育を受ける優先順位が下げられてしまいます。

このことが、男女格差の原因となっているのです。

児童婚、出産

宗教、家庭の経済的理由などから、18歳未満で結婚や出産をする女の子がいます。
なかには、充分な性教育を受けていないことが理由となることもあります。

妊娠・出産した場合、それまで学校教育を受けていても休学または中退せざるを得ません。
こうした実態も、女子児童の教育機会の損失に繋がっているのです。

教育環境

通学路の危険や、学校施設が充分に整っておらず女子トイレがないといった環境が女子児童の教育機会を奪うこともあります。

また、女性教員の不足によって女子児童へのいじめや差別を心配して学校に通わせられないこともあり、教育における男女格差が悪循環を及ぼしています。

保護者による教育への否定

親をはじめ、子どもの保護者による教育への理解も、教育を受けるために必要な条件となります。

父親や男性の保護者が女子児童に対する教育を受ける機会を否定するだけでなく、母親や女性の保護者が否定することもあります。

それはかつて自分自身が教育を受けられなかったことで、必要性を理解できなかったり、家庭への奉仕に重きをおいたりといった理由が考えられます。
また、教育環境への不安から、子どもの安全を優先して学校へ行かせられないという場合もあります。

教育における男女格差 解決のための取り組み

教育における男女格差 解決のための取り組み

教育における男女格差を解決するため、国際NGO「ワールド・ビジョン」では独自の活動をおこなっています。

例として、バングラデシュで子どもの権利に関する啓発活動をおこなったことで、女子児童にも教育を受ける権利があることが理解され、早婚の防止に繋がった実績があります。

また、ウガンダでは5つの簡易トイレを設置したり、女子児童に月経期間の過ごし方を指導したことにより、学校に通い続けられる子どもが増えました。

その他、政治による男女平等へ向けた取り組みとしてアイスランドの事例が挙げられます。
例えば、「ジェンダークオータ制」という制度により、4名以上が集まる上場企業の取締役会や公共の委員会では、メンバーの40%以上を女性とすることが定められています。

また2018年には法改正がおこなわれ、男女における賃金格差解消が推進されました。
このような取り組みによって社会における女性の発言権や影響力を目に見える形で拡大させています。

その結果、アイスランドは「ジェンダーギャップ指数ランキング」において11年連続で世界1位を獲得しています。

このランキングは、経済・教育・保健・政治の4分野14項目において男女格差を指数化し、国別にランキングしたものです。
このランキングでの首位獲得により、アイスランドは世界でもっとも男女格差が少ない国であると言えます。

オーストラリアでは、2019年に上院議員の人数が男女同数となりました。
クオータ制を導入して、当選する可能性の高い議席のうちの35%をあらかじめ女性に割り当てることを定める党も現れ、男女平等に積極的な姿勢を示しています。

女性議員の数が増えることで、社会的に弱い立場とされてきた女性の声が議会に届き、女性の社会進出や教育を受ける機会創出の議論が生まれることが期待できます。

日本における教育の男女格差

日本における教育の男女格差

日本では小・中学校で受ける教育は義務教育として位置づけられ、男女に関係なく教育を受ける機会が与えられています。
そのため児童期の教育においては、男女格差はほぼないと言えます。

しかし大学への進学率は男性の方が高く、その後の就業や生涯賃金にもその影響が反映されます。
男女雇用機会均等法によって男女平等が明記されているものの、2012年に内閣府が発表した、企業の課長職以上の職位を女性が占める割合はわずか7.2%です。

このことから、日本の教育における男女格差は是正されつつあるものの、大学教育以降はいまだ男女格差が残っていると言えます。

アイスランドが首位となった「ジェンダーギャップ指数ランキング」において、2021年時点で日本は156ヶ国中120位となり、先進国ではほぼ最下位という結果になりました。

こうした結果を受けて、山積する課題に日本がどう取り組むのか注目されています。

日本の男女格差については、こちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

教育における男女格差の解決策

教育における男女格差の解決策

教育における男女格差が顕著であるサブサハラや南アジアでの格差是正策として、まず考えられるのが教育環境の整備です。

女子児童が安心して通えるよう、女子トイレの設置や女性教員の増員を推進することが必要です。
そのうえで、性別問わず平等に教育を受けることを義務化する法の整備が必要となります。

法整備の実施によって、これまで女子に対する教育を不要だと考えてきた人や労働を優先させていた人の考えを変え、教育を受ける機会創出のきっかけとなるでしょう。

そして、アイスランドをはじめとした国で既に起こっているように、女性の社会進出に対するハードルを取り除くよう企業に対する研修をおこなう、法改正をおこなうなども大切です。

政治だけでなく、企業においても労働賃金を同水準にすることやライフワークバランスをとれるよう支援するなどの対策をおこなうことが求められます。

まとめ|教育における男女格差解消のため 私たちにできること

まとめ|教育における男女格差解消のため 私たちにできること

教育における男女格差を解消するために私たち個人がすべきことはまず、世界で起きていることを知ることです。
それは、日本が長きにわたる家父長制によって、「男性は外で働き、女性は家を守る」という考えがいまだに私たちに擦り込まれているからです。

世界でいま起きていることを知ることで、日本で培われてきた価値観が当たり前でないことを知ることが、これからの日本の男女平等に向けた一歩になるのではないでしょうか。

そして、世界では「女の子だから」という理由だけで教育の機会を奪われることがあります。
そうした実態をなくすために活動している団体に寄付をおこなうことも、私たちにできることです。

日本には、男女平等に関してまだまだ多くの課題が残っています。
しかし、今後男女平等の実現に向けて忘れてはならないのが、目指すのは「男女平等」であって「女性が強い社会」ではないということです。

男性にも、女性と同様にさまざまな権利があり、これから男女平等に向けた動きがあるなかで、今度は男性の権利が軽視されてしまうことがないよう気をつけたいものです。

参照元:
Fact Sheet no. 56 「New Methodology Shows that 258 Million Children, Adolescents and Youth Are Out of School」│United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
女子の教育機会の欠如、国に巨額の損失をもたらすことに│世界銀行新報告書
ミレニアム開発目標(MDGs)│外務省
共同参画│内閣府

  • 記事を書いたライター
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Aya

会社員とのパラレルキャリアを経て、独立。 執筆ジャンルは主に、SDGs、旅行、ファッション。現在、複数のメディアで記事を掲載。 SDGsに関心を持ったきっかけは、ハワイへの語学留学中、日本のSDGsに関する取り組みの遅れを感じたこと。 より多くの人に、環境への取り組みを知ってほしいと思い、2021年6月より「MIRASUS」にて執筆を開始。

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