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インドの深刻な女性差別~ヒンドゥー教の慣習の上に成り立つインドカルチャー ~

各国で産まれる男女比にはどれくらいの違いがあるかわかりますか?例えば、アメリカ全土を見てみると、女性が多い州、男性が多い州などありますが、アメリカ全土の男女の出生比は大体半々となります。

オスがメスよりも多い集団では、メスはオスよりも多くの配偶者を獲得でき、その結果メスを産みやすい遺伝子が広がるためメスが増えていきます。一方、メスがオスよりも多い集団では、オスがメスよりも多くの配偶者を獲得することができ、オスが増える仕組みとなります。(フィッシャーの原理)

このため、一国の男女の出生比が著しく異なる場合には、人為的な何かが働いていることが考えられます。インドの男女比は、ごく一部の地域を除き全域で男性の人口が女性の人口を上回っています。

さらにインドのある村では、ある年の3か月間で216人の赤ちゃんが生まれていますが、全てが男の子で女の子は一人もいなかったという出来事も起こっているのです。ここでは、インドで行われている慣習について見ていきたいと思います。

参照元:どうして男女比っておおよそ1対1なの?世界の、日本の性比を探る!|データのじかん

インド女性に対する慣習

インド女性に対する慣習

ダウリー

インドでは、カースト制度の影響から、結婚時に新婦側の家族から新郎側の家族へダウリーと呼ばれる贈答をする風習があります。

元々、上層階級であるバラモンの階級で行われていた慣習で、新婦側が新郎側より身分が低い場合、新婦が新郎への貢ぎ物を渡すことによって花嫁となる娘の地位を上昇させようという目的があったようです。

しかし、現在ではカースト制度の下級層にまで浸透しており、結婚時に新婦側は新郎側に莫大な貢ぎ物をすることになっているのです。

ダウリーの具体的な金額は、インド人の大卒男性の初任給が約6250円なのに対し、25万円から500万円にも上ると言われています。

このため、インドでは女の子が生まれるとその家の経済的負担が非常に大きいため、多くの貧困家庭では、女の子を妊娠していることが分かれば中絶し、産まれてきた女児はアヘンを使うか、砂やマスタードの種が入った袋を押し当て窒息させるなどして殺してしまう、という耳を疑うことが起こってしまうのです。

インドでの「女児殺し」の慣習は、イスラム教徒との戦争時に娘を敵からの強姦から守るために行われたのが始まりだと言われています。

現在では、上記に述べた経済的な問題や貧困が故に行き届かない教育が原因となっています。

サティ

ヒンドゥー教の古い慣習の一つであるサティは、夫に従順な妻が夫の死後殉死することが美徳という考え方で「貞節な妻」を意味します。

ヒンドゥー教では、女性の人格は認められておらず、夫が亡くなり火葬する際、自分も同じ火により焼死することを厭わないとされています。この残酷な慣習は1829年まで続きましたが、現在では禁止令が出されています。

児童婚

ヒンドゥー教では処女性を重んじるため、かつて未婚の娘は家の中で大事に保護されていました。経済的に生産性のない家族を一人抱えることは、家族にとって経済的な重荷となり、早く結婚してくれた方が家族の負担が少なくて済むということが、児童婚の始まりだと言われています。

さらに、結婚時には上記で述べたようなダウリーという多額の贈答が発生します。ダウリーは、娘の年齢が低ければ安くなるため、なるべく早く娘を結婚させたほうが家庭の経済的なダメージを軽減することができるのです。

このような理由から、地方や貧困家庭での児童婚が後を絶たちません。

児童婚をすることにより、発育段階での妊娠による体への負担、未発達な骨盤での危険な出産、性感染症への罹患など、子供の健康に悪影響を及ぼす他、教育の機会が奪われ、知識のないまま結婚することにより、義実家に対し従属的な立場に立たされ、精神的苦痛や暴力などに晒される危険が多くなります。

現在インドでは、法律上18歳以下の子供は結婚できないことになっていますが、経済的な理由でやむを得ず早期の結婚を選択するしかない場合もあり、なかなか根絶できないのが現状です。

ガオゴル

インドの小さな村のいくつかの部族には、現在でもガオコルという風習が残っています。

ガオコルとは月経中の女性は「不浄」だとする考えで、女性はその期間、他の村人や家の中の道具や衣服、家族にさえも触れてはいけないのです。

月経中の女性が触るものが「不浄」になるからと考えられています。中には、月経中の女性を見ただけで不吉だと考える男性もいるようです。そのため月経が始まった女性達は、村にある不衛生な小屋に入りその期間をその小屋の中で過ごすか、または人に会わなくて済む別の場所で過ごさなければなりません。

ガオコルに使用されている小屋はきちんとした家ではなく、トタン板などで囲いをされ、簡単な屋根があるだけのもので非常に不潔なところが多く、夜になると蛇やサソリなどが出没したり、過去には小屋で過ごしていた女性が野生動物に襲われたという事件も起きています。

また、こういった風習のある部族では教育が行き届いておらず、生理中でも清潔なナプキンを使用せず、現在でも不衛生な布を使用しています。そのため、膣感染症などに罹患している女性も多いのです。

女性達は、月経中に不衛生な小屋の中で過ごすことを望んではいませんが、無学であるが故、村のきまりに逆らえる人が存在せず、いつまでたってもこういった状況から抜け出すことができないでいるのが現状です。

女性問題への対策

女性問題への対策

インドでの凄まじい女性差別問題に対し、対策もとられています。

児童婚をさせられた少女たちは、発育段階での妊娠や出産で健康上問題を抱え、知識がないことにより性感染症に罹患することも多いのです。また、幼い頃に結婚することにより、教育の機会を奪われてしまうばかりか、義実家からの身体的、精神的虐待にも遭いやすくなります。

このことから、現在児童婚は法律上禁止されており、18歳以上にならないと結婚できないことになっています。しかし、地方の農村部などでは、経済的な理由により未だに児童婚が行われているのです。

また、女児だと分かった時点で中絶を望む人や嬰児殺しが後を絶たないため、現在では妊娠中の性識別検査を受けることが法律上禁止されています。

こちらも、経済的な理由等があり、人々は隠れて妊娠した胎児の性識別検査を受け女児の場合には中絶をするなど、根本的解決になっていないのが現状です。

まとめ

まとめ

インドにはカースト制度が未だに存在しています。上流階級の人々は良い教育を受け、世界でも最先端の仕事に就くことができますが、インドには子供達に普通の教育を受けさせることすらできない家庭が多くあるのです。

「ガオコル」の期間中、小屋に行きたいかどうか?と聞かれて、女性達は口々に、「あんな小屋には行きたくないけれど、だからどうしろというのか?」と答えます。

広い知識を持たず、自分の周りの現状が全てだと捉えてしまえば、たとえ差別的な扱いを受けていても、それは、彼女たちにとっての「日常」なのではないでしょうか。どこか「あきらめ」に近いような印象さえ受けてしまうのです。

宗教と慣習に締め付けられながら、今日も彼の地では、女性達が「彼らの日常」を送っているのです。

  • 記事を書いたライター
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大手旅行会社に10数年勤務し、世界各地を旅して回る。その後、結婚を機に多民族国家シンガポールへ移住&出産。多種多様な生き方をする世界の人々と触れ合うことから、日本という島国の独特さを痛感。東日本大震災を機に日本に帰国。主に旅行関連記事、大手企業ブログ記事などを執筆する中、地球規模で推進されるSDGsに心を奪われる。2021年5月から「MIRASUS」にて執筆中。

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