近年、サスティナビリティの観点から「ヴィーガンレザー」が注目されています。
「ヴィーガンレザー」とは、動物性素材を使用せずに、植物繊維を使って作られたアパレル素材です。
なかでも話題となっているのが、パイナップルの繊維から作られた「ピニャテックス」です。
この記事では、ヴィーガンレザー製品の購入を検討している方や「ピニャテックス」について知りたい方に向けて、素材の特長やピニャテックス製のアイテムなどを紹介します。
植物性の新素材 「ピニャテックス」とは？
「ピニャテックス」とは、イギリス ロンドンにある「Ananas Anam（アナナス アナム）社」が開発したアニマルフリーの新素材です。
かつてレザーグッズを作っていた「Ananas Anam社」が、サスティナブルな素材や製作環境を考え、これまで農産業の過程で廃棄されていたパイナップルの葉に着目。
パイナップルの葉からセルロース繊維を抽出して、新素材ピニャテックスの開発に至りました。
シャネルやナイキなど名だたるブランドも注目し、2019年頃からピニャテックスを使ったアイテムを発表しています。
「ピニャテックス」が注目される理由
ピニャテックスが注目されている理由として、パイナップルが原料である斬新さがそのひとつと言えます。
しかし、環境に関する3つの理由があるため、それぞれ解説します。
環境負荷が低い
植物を原料とするだけでなく、農産業における副産物をアップサイクルしているため、新たな土地や水は必要ありません。
また、皮革製品のように大量の水や薬品を使ったり、臭いが出ることもないため、環境負荷や携わる人々への負荷が低いと言えます。
サスティナブル（持続可能）な素材である
ピニャテックスの原料であるパイナップルは高温地域で育つため、温暖化が進む現在の自然環境にも強く、今後も持続可能であると言えます。
さらに、これまでは廃棄されていたパイナップルの葉が新たな収入源となることで、パイナップル作りに携わる人々の労働環境がより良くなり、サスティナブルな労働環境の実現も期待できます。
動物皮革素材が減少する懸念
革製品を作るためだけに牛や豚を捕まえることは、禁止されていると言われています。
そのため、アパレル素材として使われる牛革や豚革はおもに、食肉加工の過程から生まれる副産物です。
しかし自然保護への意識の高まりによって、今後食肉の需要が下がれば、同時に市場に出回る牛革や豚革が減り、本革製品も減ることとなります。
そこで、革に代わる素材として、ピニャテックスをはじめヴィーガンレザーが注目されています。
「ピニャテックス」の特長
ピニャテックスは「ヴィーガンレザー」の一種として本革と比較して説明されることが多い素材ですが、本革のような風合いの経年変化はなく、触り心地もまったく異なります。
そこでここからは、ピニャテックならではの特長について大きく3つに分けて解説します。
独特の風合いを持つ見た目
ピニャテックスの表面には、「シボ」と呼ばれる凹凸があります。
シボは風合いを出すために本革にも作られるものであるため、遠目では本革に近い見た目です。
しかし、近くで見るとフェルトのような繊維が見られ、ピニャテックスならではのあたたかみのある風合いが感じられます。
耐久性、撥水性がある
パイナップルの葉から抽出したままの繊維素材では傷や水に弱く、製品を作っても日常的に使うことが難しい状態です。
そこで、生地を作る際にPU（ポリウレタン）を少量混ぜることで、耐久性、撥水性を持たせています。
色落ちもしにくく、雨の日でも持てるのが嬉しいポイントです。
軽量である
綿やリネンに比べると厚みがあり、本革のように1枚で製品を作ることができます。
しかし、植物繊維で作られているため、革のような重みがなく軽量であることが特長です。
ピニャテックス製アイテムの販売店は？
まず、ピニャテックスを販売している実店舗はなく、購入したい場合はAnanas Anam社のホームページからインターネットを介して購入する必要があります。
また、ピニャテックス製アイテムを購入したい場合は、各メーカーやブランドから販売されているアイテムを直接購入しましょう。
ピニャテックス製アイテム紹介
ピニャテックスで作られるアイテムには、どんなものがあるのでしょうか？
アイテムごとにみていきましょう。
バッグ/THE LOVERY THINGS STORE
2016年にイギリスで始まったブランド「THE LOVERY THINGS STORE（ザ ラブリー シングス ストア）」。
2019年に香港へ移転後、2020年のブランドリニューアルを経て、現在に至ります。
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ピニャテックスのほか、コルクやココナッツレザーなどのヴィーガンレザーを使ったアイテム作りをおこなっています。
画像のようなショルダーバッグでも、ピニャテックス素材なので軽く、長い時間持っていても疲れにくい点がポイントです。
バッグ/Maravillas Bags
色遣いが特徴的な、スペインのブランド「Maravillas Bags（マラヴィラズ バッグズ）」。
画像は、素材の発色の美しさを活かしたショルダーバッグです。
ファッショナブルであることと環境保護を同時に体現できるアイテムです。
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チェーンバッグもあり、高級感のあるデザインでレストランでの食事やパーティに持って行きたくなります。
また、シンプルなリュックサックやPCバッグなど、幅広いラインナップが揃っています。
カードケース/LAERSTERENN
動物性素材を使わず、オーガニック、リサイクル素材を積極的に使用することをコミットしている「LAERSTERENN（ラエステネン）」。
シンプルでユニセックスに使えるアイテムを多く販売する日本のブランドです。
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画像のカードケースもユニセックスアイテムで、たまりがちなポイントカードを入れても、名刺入れにしても使えるアイテムです。
ピニャテックスでできた名刺入れを持っていれば、初めて会う方とも会話が広がりそうですね。
財布/étul
エコレザーやリサイクルキャンバス素材など、環境に配慮された素材を使う「étul（エツル）」。
バッグのほかに財布も扱い、持ち歩きに便利なミニ財布とお札を折らずに収納できる長財布を販売しています。
カラー展開も多いのも魅力です。
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毎日手にするアイテムだからこそ、ピニャテックス素材のものを持つことで、触れるたびに環境への意識が高まりそうですね。
スニーカー/NIKE
世界大手スポーツブランドである「NIKE（ナイキ）」からも、2021年にピニャテックスを使ったスニーカーが発売されました。
スニーカーにピニャテックスを用いることで、軽さや耐久性、撥水性といったピニャテックスの特徴が最大限に活かされます。
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また、NIKEのような有名ブランドが積極的に新素材を採り入れることは、消費者の環境に対する関心を高めるきっかけにもなり、大きなメリットがあります。
ファッションの新たな選択肢として 楽しみながらピニャテックス製品を選ぼう
本革にはなめらかな手触りや、風合いの経年変化など独自の魅力があります。
こうした魅力に惹かれて革製品を愛用している人にとっては、触り心地や風合いの異なる素材をいきなり選ぶことは難しいかもしれません。
しかし、善悪をジャッジするようにどちらかの考えを押し付けてしまうのではなく、ファッションの新たな選択肢として、楽しみながら自分らしい選択ができるとよいのではないでしょうか。
最近では、ピニャテックスのほかにもサボテンで作られた素材があります。
今後も研究開発が進むにつれ、ヴィーガンレザーのバリエーションはさらに増えるでしょう。
自分の気分や手に馴染む素材探しを、ぜひ、楽しんでみてください。
