SDGs12「つくる責任、つかう責任」に大きな影響を及ぼすゴミ問題。
大量生産・大量消費の現代では、当然ゴミも大量に排出され、埋立地の不足や焼却時のCo2発生、不法投棄による環境汚染など、さまざまな問題が起きています。
今回は、こうしたゴミ問題を理解するために押さえておきたい「3R」の考え方の中でも、特に「リデュース」に焦点を当て、そのメリットや現状の取り組みについてご紹介します。
日常生活を送る上で、ゴミは必ず排出されるもの。つまり、誰もが当事者なのです。
ぜひ本記事をご覧いただき、持続可能な社会の実現に向けて、前進しましょう。
リデュースとは?
「3R」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「3R」はゴミ問題を解決するために、私たちが心がけるべき「リユース(Reuse)」「リデュース(Reduce)」「リサイクル(Recycle)」の頭文字を取ったものです。
中でも「リデュース」は、“ゴミを減らす”ことを指しており、3Rの中でも最も優先的にすべき内容と言っても過言ではありません。
リデュースの具体例としては、いずれゴミとして廃棄するであろうものをそもそも買わないようにしたり、無駄な包装などを使わないようにしたりすることが挙げられます。
日本でも2020年からはレジ袋の有料化が始まりましたが、これもリデュースの取り組みの一環と言えるでしょう。
リデュースは、リユースやリサイクルなどと比較すると、誰もが取り組めるものが多いので、一人ひとりの心がけが重要になります。
リデュースとリユースの違い
リデュースの理解をより深めるために、リユースとの違いを押さえておきましょう。
リユースは、ゴミとなってしまったものを、形を変えずに再利用することを指します。
例えば、もう着なくなってしまった服を誰かに譲ったり、フリーマーケットやリサイクルショップで売ったりすることが挙げられます。
リデュースは不要なものを発生させることを避けるために行いますが、リユースは既に不要になってしまったものをゴミにしないための取り組みです。
ただし、リユースは再利用を繰り返したとしても、いずれは廃棄されることになるため、ゴミ問題を解決する手段としては少し弱いとも言えます。
行動の優先度としては、リユースよりもリデュースの方が高くなるでしょう。
リデュースとリサイクルの違い
リサイクルも考え方はリユースと同じで、既に不要になってしまったものを再利用することを意味します。
ただし、一度ゴミを原料化し全く形の異なるものに蘇らせる点がリユースとは異なります。
よって、リデュースとの違いについても“ゴミ化する前の話なのか、後の話なのか”という点が異なります。
分かりやすく例を挙げると、ペットボトルの廃棄という課題があった時、リデュースはそもそもペットボトルを使わないようにマイボトルを持参するという行動を指しますが、リサイクルはペットボトルを原料として衣服を製造するなどして再利用することを指します。
リサイクルは原料化など、形を変える工程が必要であるため、個人ではなかなか取り組むのが難しいケースも多いです。
そのため、リサイクル法などの法制化を行うといった国全体での取り組みが求められます。
リデュースのメリット
発生するゴミの削減を図るリデュースには、さまざまな副次的メリットがあります。
環境に優しいことはもちろんですが、実は生産活動を行う企業などへのメリットもあるのです。
代表的な例を4つご紹介しましょう。
メリット①:Co2の排出量を削減できる
ゴミ問題の最大の課題とも言える大気汚染。
ゴミをつくる時や焼却するときに発生する大量のCo2は、地球温暖化の原因にもなるので、対策が急務であることは言うまでもありません。
リデュースを行うことで、そもそも物を無駄につくる必要がなくなり、その分ゴミも減るため、製造や焼却時に発生するCo2を削減することができます。
SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の達成に直結するメリットの1つです。
メリット②:製造コストを削減できる
製造量を削減できれば、その分製造コストを抑えることができます。
例えば、梱包容器の削減や簡素化などを行えば、その分容器の製造にかけるコストは無くなりますし、書類の電子化を行えば、その分製紙や印刷にかけるコストは無くなります。
つまり製造コストの削減は、その商品を生産する企業にも大きな影響を与えるのです。
また、製造コストが下がれば、商品価格が下がるので、消費者である私たちにも恩恵があると言えるでしょう。
メリット③:使用エネルギーを削減できる
メリット①に通ずるところがありますが、物の製造量が少なくなればその分生産活動に必要な電気や水の量が少なくなるため、エネルギーの消費量削減に効果があります。
個人が日常生活の中で電気や水の消費量を意識することも重要ですが、消費量の観点で言えば、企業努力はより大きな影響力を持ちます。
よって、“不要なものを買わない”といった企業の製造量の削減につながる行動を私たちが意識することは大切なのです。
メリット④:税金の節約ができる
ゴミの処理に使われる財源について、考えたことはあるでしょうか。
私たちは日頃無料でゴミを捨てていると感じがちですが、もちろん処理過程には設備の維持費や人件費など、たくさんのコストがかかっています。
これらのコストは私たちの税金から払われており、必要経費は1兆円を超えます。
ゴミの排出量が減れば、少しずつこれらのコストを削減できるため、私たちの税金の節約にもつながります。
参照元:環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について|環境省HP
リデュースの取り組み事例
リデュースの重要性が分かったところで、実際に日本では現状どのような取り組みが行われているのでしょうか。
個人・企業・自治体の3つに区分して、代表的な事例をご紹介します。
個人の取り組み
個人にとって大切なのは、「なるべく使い捨て製品ではなく、繰り返し使える製品を使う」という心がけです。
例えば、マイバッグやマイボトルの持参などがその一例と言えるでしょう。
レジ袋やペットボトルの容器は、使用時間が短く、使い終わったら捨てることがほとんどです。
一人ひとりの使用量は少量でも、国全体で見ればこうした積み重ねは非常に大きな影響力を持ちます。
また、「無駄なものを買わない」と言う心がけも重要です。
近年ではファストフードやファストファッションなど、安価で簡単に手に入るものが大量にあります。
欲しくなったらとりあえず買ってしまう行動が、習慣になってしまっている人も多いのではないでしょうか。
たくさん買っても結局食べきれなかったり、使いこなせなかったりと、いずれゴミになってしまう可能性があるものは買わないように気をつけることも大切です。
企業の取り組み
企業がリデュースに取り組む時は、製造工程の川上から川下まで、全てのサプライチェーンを巻き込んだ活動が求められます。
例えば、自動車メーカーのスズキは、材料リデュースを目指した設計を実施。
部品やパーツなどの使用量削減や軽量化などを徹底し、取引先と一体になってリデュースに取り組んでいます。
参照元:SUZUKI CSR・環境の取り組み|SUZUKI HP
自治体の取り組み
各自治体は、さまざまな工夫を凝らしながらリデュースの取り組みを推進しています。
例えば、世田谷区では食品ロスを防ぐためにフードドライブ(未使用食品の回収)を行なったり、マイボトルの普及を狙って浄水器の設置を行なったりしています。
また、食品ロスやプラスチックの削減に取り組む飲食店や小売店を「エコフレンドリーショップ」として認定し、支援を行なっています。
参照元:世田谷区 Reduce(リデュース)の取り組み ~フードドライブ・食品ロス対策など~|世田谷区HP
今日からできる「リデュース」に早速取り組んでみよう
ゴミ問題の解決に寄与する3Rの中でも、特に最優先事項として取り組むべきリデュース。
「不要なゴミを発生させない」という基本的な心がけ次第で、できることがたくさんあることをお分かりいただけたのではないでしょうか。
ゴミ問題は、環境や気候など私たちの生活にも与える影響が大きく、個人・企業・自治体が手を取り合って取り組むべき重要な課題です。
近年では、新しい観点でリデュースに挑む新たなビジネスモデルも登場しており、気軽に楽しく取り組むことができるようになってきています。
本記事を読んで、自分にもできそうと感じられたものがあれば、ぜひ今日から行動に移してみてくださいね。