昨今、日本では出生率の低下による人口減少が問題となっていますが、世界の人口推移はどうなっているのかご存じでしょうか。
2022年時点で世界の人口は79億人を突破。国連の推計によると2030年までに85億人、2050年には97億人に到達するとも言われています。こうした増加は主にアフリカとアジアで発生しており、実際に2022年の世界人口ランキングも1位が中国、2位がインドです。2023年にはインドが世界人口1位になる見込みです。
これほどまでのスピードで人口が増えている現状は「人口爆発」と呼ばれ、SDGsにも大きく関わる社会課題です。
本記事では、人口爆発が起きる理由や生じる問題について詳しく解説します。後半には、人口爆発を解決するための行動のヒントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
人口爆発が起きる理由
人口爆発が起きる理由には、2つの観点があります。1つ目は医療の発達などによる死亡率の低下、2つ目は主に発展途上国における出生率の向上です。
前者は医学や技術の進歩によるものであり、先進国も含め、国の発展に伴う副次的な現象と言えるでしょう。よって、私たちが向き合うべき問題は後者です。
日本のような少子高齢化が進む先進国において、出生率の向上は喜ばしいことです。しかし、発展途上国における人口爆発の背景には、さまざまな理由が存在します。
主な理由を2つご紹介しましょう。
理由①:労働力が必要だから
発展途上国では、貧困による労働力不足を補うため、そして生きていくための日銭を得るために児童労働が盛んに行われています。よって、労働力として多くの子どもを産むものの、実際は貧困で子どもを育てられる余裕がない場合が多く、ますます貧窮していく家庭も多くあります。
理由②:望まない妊娠が多発するから
発展途上国では、妊娠や中絶などの知識や情報がないために、望まない妊娠に至ってしまう女性がたくさんいます。望まない妊娠は、人口爆発につながることはもちろんですが、貧困をさらに助長し、先述の労働力確保の観点も相まって、負のスパイラルを招きます。
人口爆発が引き起こす問題
人口爆発によってどんな問題が生じるのでしょうか。間接的に発生するものも含めれば、人口爆発は全てのSDGsに関連する問題を引き起こします。
その中でも特に関連が強い項目は、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさを守ろう」。つまり、キーワードは“貧富の差の拡大”と“資源の枯渇”です。
2つの観点を詳しく見ていきましょう。
問題①:貧富の差の拡大
人口爆発により世界全体の資源や食料が不足すると、個人や国の間で貧富の差が拡大します。
例えば、需要に対して生産が追いつかなくなるため、先進国が過剰な消費をすればするほど、発展途上国には物資が行き届かなくなります。その結果、物資や収入を求めて先進国に労働力が流れ、労働不足も助長されるのです。
また、同じ国内であっても、資金力で物資を確保できる裕福な人、資金や仕事がないために物資を得られず貧困から抜け出せない人の間でますます格差が大きくなり、貧富の差が生じます。
問題②:資源の枯渇
多くの人が資源や食料を大量に消費しようとすると、魚の乱獲や森林伐採など、無理な生産活動が行われるようになり、自然界に大きな悪影響を与えます。
また、資源の枯渇は生態系を乱すだけではありません。世界中で資源の取り合いが発生すれば、やがて国どうしの戦争に発展する可能性もあります。
実際に、資源の枯渇を発端として戦争が始まることは過去の歴史が物語っており、人口爆発によって戦争が頻発することは想像に難くないでしょう。
人口爆発に対して、私たちができること
人口爆発という世界的規模の大きな問題に対して、私たち個人ができることについて考えてみましょう。
先述のとおり、人口爆発は全てのSDGsに関わると言っても過言ではありません。よって、SDGsの各目標に対してアクションを起こすことは人口爆発の抑止につながります。
とは言え「それではあまりにも範囲が広すぎて何をしたら良いのか分からない」という方もいるでしょう。具体的な2つの行動のヒントをご紹介します。
行動のヒント①:過剰な消費行動をしていないか振り返る
消費者の観点で私たちが意識したいのは、発展途上国の資源や労働力を過剰に消費させないこと。
例えば物を購入する際に、なるべく繰り返し使えるものを必要な分だけ選択したり、フェアトレードなど生産者の安定雇用につながるようなものを選択したりするなど、過剰な消費行動をしていないかを考えてみましょう。
行動のヒント②:支援や寄付などに挑戦してみる
人口爆発の問題を解決するためには、発展途上国の自立支援が欠かせません。十分な食糧や水を得るための生産体制の確立や、子どもの教育支援など、課題は山積しています。
現在、こうした発展途上国の自立を促すための支援や寄付を行う多くのNPOやNGOが存在します。直接その国で支援活動をすることは非常にハードルが高いですが、寄付であれば比較的取り組みやすいのではないでしょうか。
寄付金を通じた間接的な支援であっても、発展途上国の多くの貧困を救うことができます。結果的に人口爆発の抑止にもつながるのです。
SDGsを意識した行動が人口爆発問題を解消する!
今回は、人口爆発の背景にある理由や生じる問題などについて解説しました。
人口爆発は、貧富の差や資源の枯渇などを助長するだけでなく、戦争を勃発させるほどの非常に大きなリスクを抱えた社会課題です。
また、人口爆発とSDGsの関連は強く、人口爆発の改善は全てのSDGsに寄与します。壮大な社会課題に見えて、実は私たち一人ひとりがSDGsの実現に向けた行動を取ることが問題解決の糸口。ぜひできることから取り組んでみてくださいね。