エネルギーをみんなに そしてクリーンに

どうして普及しない?バイオマス発電の課題

SDGs17の目標のうち「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」。全ての人々が安心してエネルギーを手に入られることと、環境に良いクリーンなエネルギーを開発することをゴールとしています。そこで注目されているのが「バイオマス発電」です。

日本は、2030年までにバイオマス発電による発電電力量を328億kWhまで引き上げることを目標にしていますが、なかなか普及しないのはなぜでしょうか。今回はバイオマス発電とその課題について解説します。

そもそも「バイオマス」とは

そもそも「バイオマス」とは
「バイオマス発電はクリーンエネルギー」とよく言われます。しかしそもそも「バイオマス」とはなんなのでしょうか。

「バイオマス」というと、廃材やサトウキビ、食品廃棄物などを想像するのが一般的かもしれません。

しかし、バイオマスとは本来、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念。そこから転じて「化石資源を除く、動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源」を指します。バイオマスの特徴は、太陽エネルギーがある限り、持続的に再生可能な資源であること。

木材や植物だけが「バイオマス」ではありません。それを食べる動物も「バイオマス」です。さらに、海洋生物もバイオマス。つまり地球上の生命体すべてがバイオマスといえます

化石資源を除く、とありましたが、石炭や石油などの化石燃料も、広義で見れば動植物から作り出されています。
しかし、化石燃料は限りある資源。いずれは枯渇します。

それに対して、バイオマスは太陽と水と二酸化炭素があれば、持続的に生み出すことが可能な資源。このため、バイオマスはSDGsにおける「クリーンなエネルギー」として位置づけられているのです

バイオマスを用いた燃料は、バイオ燃料(biofuel)またはエコ燃料といわれています。

資源として活用されるバイオマスの種類

資源として活用されるバイオマスの種類
バイオマスは、廃棄物として発生しているバイオマス、資源として利用されずに廃棄されているバイオマス、資源としての利用のために栽培されたバイオマスの3つに大別されます。
具体的にどのようなものかを見ていきましょう。

廃棄物として発生するバイオマス

・畜産資源:家畜の排泄物など
・食品資源:生ゴミ、動植物性残渣など
・産業資源:パルプの廃液など
・林業資源:廃材、製紙工場廃材・スラッジ、木造家屋解体廃材など
・汚泥:下水汚泥、し尿汚泥など

未利用バイオマス

・林産資源:林地残材、竹、間伐材など
・農産資源:麦わら、籾殻、稲わらなど

資源作物

・糖質資源:さとうきび、てんさいなど
・でんぷん資源:米、芋、トウモロコシなど
・油脂資源:なたね、大豆、ピーナッツなど

このように、一口に「バイオマス」といってもその内容はさまざまです。
そのため、バイオマス関連の事業は多岐にわたり、無数の事業モデルが存在しています。

バイオマス発電とは?しくみについて解説

バイオマス発電とは?しくみについて解説
バイオマス発電とは、バイオマス燃料を使った発電方法です。政府は、バイオマス発電をはじめとする再生可能エネルギーについては、2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画において、主力電源化していくことを発表しています。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、自然環境に発電が大きく左右されます。その反面、燃料さえあれば発電できるバイオマス発電に注目が集まっているのです
その方法は3つあります。

直接燃焼方式

直接燃焼方式は、火力発電と同じ方式です。
バイオマス燃料を燃焼させて水を沸騰させ、水蒸気でタービンを回して発電します。直接燃焼方式は作り出せる温度が比較的低いので、大型の設備でないと発電効率が良くありません。ただし、大型の設備を安定稼働させるためには、品質の高いバイオマス燃料が大量に必要です。

熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式は、木材などのバイオマス燃料を高温で熱処理することで炭化する際に出る「熱分解ガス」を燃料に、タービンを回して発電するしくみです。
直接燃焼方式と比べると、燃焼温度が高いため、規模が小さい発電所でも行えるのが特徴です。

生物化学的ガス化方式

生物化学的ガス化方式は、下水汚泥や家畜の糞尿を発酵させてメタンなどのガスを発生させ、タービンを回して発電するしくみです。発酵させることから、水分が多いバイオマスでも活用できます。
また、廃棄物を有効利用できる点もメリットです。糞尿からメタンガスを発酵させた際にできる消化液は肥料に、残りかすは再生敷料として有効利用もできます。

バイオマス発電の特徴

バイオマス発電の特徴
バイオマス原料も、燃焼したら二酸化炭素を排出します。バイオマス燃料が排出する二酸化酸素は、その成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素です。
森林を伐採しても新しい苗を植えることで成長し、その過程で二酸化炭素を吸収します。つまり、循環したサイクルを実現できるのです。
そのため、バイオマスは新たに二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」な資源といわれています。

日本におけるバイオマス発電の課題

日本におけるバイオマス発電の課題
参照元:第3節 環境・経済・社会の諸課題の同時解決に向けた取組事例|環境省HP

再生可能エネルギーの導入量は、2012年7月の固定価格買取制度(FIT制度)の導入以来、特に太陽光発電を中心に急速に拡大。2014年に発電量に占める割合は約13%に達しています。しかし、バイオマス発電については横ばいの状況です。どうしてバイオマス発電は普及しないのでしょうか。

バイオマス発電は他の再エネ電源と異なり、発電の際に燃料が必要となるため、収集・運搬・管理にコストがかかります。
例えば、木を燃焼する木質バイオマスは燃料費はその7割。このコストをどうやって低減することができるかが、普及への最も大きな課題といえます。

最近では、放置竹林などの竹を建築資材やバイオマス発電に活用する事業に取り組んできた熊本県南関町の民間ベンチャー3社が、事業の頓挫で大幅な債務超過に陥ったという報道がありました。

参照元:竹活用ベンチャー、債務超過 南関町3社、事業譲渡へ交渉|熊本日日新聞 2021/05/22

地域や燃料により多様な課題を抱える中で、いかに採算性の確保を図っていくかが今後の解決の糸口となるでしょう。

本当に「クリーン」なバイオマス発電を目指して

本当に「クリーン」なバイオマス発電を目指して
現在「バイオマス発電」は、カーボンニュートラルでクリーンな発電だとされています。

しかし、コスト低減のために、安価な輸入材利用を中心にバイオマス発電業者を認定しているという現状も。

発電自体はカーボンニュートラルでも、遠方から輸送すると輸送の過程で相当量の二酸化炭素が発生し、せっかくの「カーボンニュートラル」の効果が半減してしまいます。

燃料の安定調達と持続可能性の確保をどうやって両立させるのか。

国は「エネルギー基本計画」において「バイオマス発電は、地域との共生を図りつつ緩やかに自立化に向かう電源に位置付けられ、安定的に発電を行うことが可能な電源となりうる、地域活性化にも資するエネルギー源」としています

バイオマス発電の活用事例をご紹介

例えば、株式会社モリショウの子会社、株式会社グリーン発電大分では、集材に無理のないことを重要視し概ね 50km圏内からの集材量に適した規模の発電所を建築。大型の発電所ではなく環境を重視しています。

ここで発電された電気は、グループ子会社を通じて日田市内の公共施設に供給されるほか、2019 年 9 月以降はグループ内の使用電力を実質再生可能エネルギー100%に切り替え完了。
発電所と連携して、小中学生の見学も積極的に受け入れており、発電のしくみや地元産業の活性化について考えてもらうきっかけ作りにも貢献しています。

また、自治体の事例としては、国から「バイオマス産業都市」に選定されている岡山県真庭市。
市の面積の8割を森林地帯が占めるこの市では、林業が主要産業でしたが、未利用材や樹皮は産業廃棄物として扱っていました。

これらをそれぞれ森林組合や製材所などから買い取ることで燃料として利用する「真庭バイオマス発電」では、発電した電力を中国電力へ売電し、地域に資金を還元しています。発電所だけでなく、燃料調達・流通で生まれる雇用も、地域経済の活性化を後押ししています。

さらに、これらの取り組みについて視察を受け入れるツアー化もおこない、新たな観光産業として町おこしもはかりました。地元から出る廃材や間伐材などを燃料化するための調達・流通の制度を市が音頭を取って行ったことが、成功の秘訣といえます。

電力自由化にともない、新電力を選ぶ人も増えました。
しかし、つい先日、燃料である原油・LNG・石炭の価格が高騰したことにより、電気代が急騰したニュースも記憶に新しいです。

燃料を海外からの輸入に頼る発電は、現在は安価かもしれませんが将来的には環境的にも価格的にも不安が残ります。

もし選べるのであれば、発電方法にバイオマス発電も入っている電力会社を選んでみてはいかがでしょうか。SDGsへの取り組みにもつながります。

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