ネットゼロとカーボンニュートラルの違いを詳しく説明できる人はあまり多くないでしょう。
それぞれには様々な違いがあるものの、一見すると似たような性質を持っているのでどちらでも良いという人もいるかもしれません。
ただ、ネットゼロとカーボンニュートラルの違いをハッキリさせることで、環境問題に大きく関心を持つことができます。
それでは、ネットゼロとカーボンニュートラルの違いについてご説明しましょう。
ネットゼロとカーボンニュートラルの違いとは?
ネットゼロとはいわゆるZEH(ネットゼロエネルギーハウス)やZEB(ネットゼロエネルギービル)のことで、『温室効果ガスの排出が正味ゼロ』になることを指します。
一方のカーボンニュートラルは、『温室効果ガスの排出量を森林などによる吸収量やCO2回収技術などによる回収量と差し引きでゼロにする』というもので、実質的にネットゼロとほぼ同じ意味で使われます。
それぞれの違いは、温室効果ガスの排出量を算定し、削減した上で残りのネット排出量がゼロであるか、実質的にCO2の排出量がゼロになっているかどうかの違いです。
排出量がゼロになる過程こそ違うものの、結果的にどちらも排出量をゼロにしている点では決定的な違いはありません。
いずれにしても同じ意味で使われている言葉なので、使い分ける必要性はないでしょう。
ネットゼロのメリット
ネットゼロには、以下のようなメリットがあります。
•生活が快適になる
•光熱費がお得になる
•停電が起きても安心
それでは、ネットゼロのメリットについてご説明しましょう。
生活が快適になる
ネットゼロ住宅にすることによって、生活が快適になるメリットがあります。
ネットゼロ住宅は高断熱化によって外気温の影響をほとんど受けず、室内の空気を外に逃がさない仕組みになっているので、夏は涼しく、冬は暖かくなります。
これによって、いつでも快適な生活ができる上に、エアコンの効率も良くなります。
光熱費がお得になる
ネットゼロ住宅にすることによって、光熱費がお得になります。
というのも、上記でご説明したように高断熱化によって、冷暖房効率が良くなるのが大きなポイントです。
冷暖房効率が良くなることでエアコンの設定温度を適温以下にできるので、光熱費を抑えることができます。
さらに、日中に貯めておいた電気は夜中に使えるため、電気代を大きく抑えることもできるでしょう。
停電が起きても安心
ネットゼロ住宅の最たるメリットは、自給自足ができることです。
ネットゼロ住宅は地震や台風などの災害によって停電したとしても、あらかじめ電気を溜めておいた家庭用蓄電池を使用して電気を使うことができます。
長期間停電が直らなくても、日中に発電して夜中も電気が使えるため、停電知らずの家になるでしょう。
ネットゼロのデメリット
ネットゼロには、初期費用が高いというデメリットがあります。
ネットゼロ住宅を建てるにあたって欠かせないのが、高断熱仕様にすること、そして太陽光発電を初めとする高性能の設備を導入しなければなりません。
継続的に見ればランニングコストが安いですが、初期費用が高くなるので注意しなければなりません。
最初からネットゼロ住宅にする場合はもちろん、既存の住宅をネットゼロ仕様にするだけでも数百万円はかかると言っていいでしょう。
カーボンニュートラルのメリット
カーボンニュートラルには、以下のようなメリットがあります。
•地球温暖化の進行を抑える
•持続可能な生活ができる
•企業価値が向上する
それでは、カーボンニュートラルのメリットについてご説明しましょう。
地球温暖化の進行を抑える
まず、カーボンニュートラルを導入することによって、地球温暖化の進行を抑えることができます。
近年の日本は真夏日や熱帯夜、最高気温更新日が長く続いているため、このままでは地球温暖化がますます進行してしまうでしょう。
そこでカーボンニュートラルを導入することで、気温の上昇を防ぐことができます。
気温上昇が落ち着けばエアコンを使用する頻度が減り、適温設定温度も下がり、地球環境に与える負担が減らせるでしょう。
少数では効果は薄いかもしれませんが、一人一人が地球温暖化の進行を抑えるために何ができるのかを考え、カーボンニュートラルを導入することで効率良く効果を出すことができるかもしれません。
持続可能な生活ができる
現在の日本で生産されているエネルギーは、無限に存在しているわけではありません。
化石燃料をはじめとしたエネルギーは有限であり、燃料を巡る争いが絶えなくなる可能性は十分にあります。
しかし、カーボンニュートラルを導入することによって自然エネルギーに切り替えていけば、事実上エネルギーを巡る争いはなくなると言えるでしょう。
この自然エネルギーは誰にでも平等に利用できるものなので、将来的に誰でも持続可能な生活ができます。
企業価値が向上する
公益財団法人自然エネルギー財団の推計によると、将来的に太陽光・風力発電に必要なコストは下落すると考えられています。
これは技術的な進歩によって実現できるものであり、自然エネルギーに携わっている企業の価値が向上すると言えるでしょう。
カーボンニュートラルを導入することによって、市民も企業も相応な恩恵が受けられると言われています。
カーボンニュートラルのデメリット
カーボンニュートラルのデメリットは、結果的に差し引きゼロにする関係上、時間がかかることでしょう。
温室効果ガスの排出量を完全にゼロにすることはほぼ不可能に近いため、排出した分を吸収することで差し引きゼロにできます。
しかし、吸収源として有力なのが森林ですが、皆伐や森林劣化などの理由で伐採してしまった場合、元の森林に回復するまで待つことになります。
数十年から100年ほどかかることも珍しくないため、完全に森林に頼り切るのはおすすめできないでしょう。
まとめ
ネットゼロとカーボンニュートラルには様々なメリットやデメリットがありますが、人々にとってなじみやすいのはネットゼロだと言えるでしょう。
ネットゼロ住宅などがあるように、これからも広く普及していくことが予想されます。
少なくとも私たちが温室効果ガスの排出量を少しでも減らすことはできるので、意識的に協力することが重要です。