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エネルギーをみんなに そしてクリーンに

クリーンエネルギー推進のため個人として今すぐできることを3ステップで紹介|電力プラン・自家発電・投資の選び方

クリーンエネルギー推進のため個人として今すぐできること

クリーンエネルギー推進のために個人として今すぐできることは、「必要性を知る」「暮らしに取り入れる」「周りに広める」の3ステップに整理できます。クリーンエネルギーとは、太陽光や風力のように発電時の二酸化炭素排出が少なく、使っても枯渇しにくいエネルギーのことで、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」が目指す対象でもあります。

定義の説明はここまでにして、この記事では「日本の今の状況」と「自分の住まいや予算ならどの方法が合うか」という、実際に動く前に気になる点を中心に整理します。

暖房で電気の使用量が増える冬の前は、電力契約を見直しやすい時期です。読み終えたあとに、今日の夜から取りかかれる行動が1つ決まるように書いています。

この記事で学べること

  • 世界と日本のエネルギーの現状と、個人が動く意味
  • 電力プラン切り替え・自家発電・投資を、負担と効果で比べる視点
  • 「再エネ100%」表示の見分け方と、切り替え前に確認したい点
  • 持ち家と賃貸、それぞれで選びやすい方法
  • 取り組みを周りに伝えるときの注意点

ステップ1|クリーンエネルギーが必要とされる理由と、日本の現在地

最初のステップは、なぜ今クリーンエネルギーが求められているのかを押さえることです。理由は大きく2つあり、電気やクリーンな調理手段を使えない人が世界にまだ多いことと、化石燃料に頼る発電が温暖化の一因になっていることです。

日本に暮らしていると前者は見えにくいので、まず数字で確認します。

世界ではいまも6億人以上が電気を使えない

国連の最新の進捗報告によると、2024年時点で電気を使えない人は世界で約6億5500万人です。前年から約1150万人減りましたが、世界の電気へのアクセス率は92%で足踏みしています。

調理の面でも課題があります。薪や石炭などの燃料に頼らず、クリーンな手段で調理できる人は世界の約75%で、約20億人が煙による健康被害のリスクを抱えたままです。現在の傾向が続いた場合、2030年時点でも約18億人が汚染をもたらす調理手段に頼ると見込まれています。

化石燃料への依存と日本の再エネ比率

もう1つの理由は、化石燃料への依存です。環境エネルギー政策研究所(ISEP)の推計では、2024年度の日本の発電電力量のうち、火力が約65%を占めています。

一方、再生可能エネルギーは伸びています。資源エネルギー庁の資料では、2023年度の再エネ比率は約23%で、第7次エネルギー基本計画は2040年度に4〜5割程度を見込んでいます。ISEPの推計では2024年度の自然エネルギーの割合は26.5%で、前年度の26.1%から微増しました。

公式統計とISEPの数字に開きがあるのは、集計の範囲が違うためです。ISEPは住宅用太陽光の自家消費分も推計に含めています。数字を引用するときは、どの定義の値かを確かめてください。

地域差も大きく、ISEPの推計では、電力需要に対する自然エネルギーの割合は東北エリアが41.5%で最大でした。太陽光や風力の出力を抑える「出力制御」の割合は、九州エリアが4.7%で最大、全国平均は1.5%です。つくった電気を受け入れきれない時間帯があるということで、昼間の電気の使い方を見直す意味が出てきます。

日本の再エネの割合や普及のカギについては、次の記事で詳しく整理しています。

「個人の力は小さい」という疑問に

「家庭が動いても影響は小さいのでは」という疑問は、的外れではありません。2023年度の最終エネルギー消費のうち、企業・事業所他部門が約61%を占めます。残りを家庭部門と運輸部門が分け合っている形で、家庭の電気やガスだけでは全体の一部です。

それでも個人の選択に意味があるのは、電力会社が「どの電源の電気をどれだけ売るか」を決める際に、利用者の選択が需要として表れるからです。さらに、勤務先や住んでいる自治体の調達方針にも、個人の声は届きます。ここから先のステップは、この2つの経路を意識して選ぶと迷いにくくなります。

クリーンエネルギーの種類や各国の取り組みを一通り知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

ステップ2の前に|取り入れる方法を、負担と効果で比べる

必要性が分かったら、次は「何から始めるか」です。ここで迷って止まってしまう方が多いため、先に4つの方法を同じ物差しで並べます。

方法の優劣というより、住まいの条件と予算によって向き不向きが分かれます。持ち家か賃貸か、初期費用をかけられるかを、まず自分に当てはめてみてください。

  • 電力プランの切り替えは、初期費用が不要で、申し込みは多くの場合ウェブで完結します。賃貸でも契約者であれば選べます
  • 自家発電(太陽光と蓄電池)は、初期費用が最も大きい方法です。持ち家向きで、災害時の備えにもなります
  • 証書の購入や関連企業への投資は、暮らし方を変えずにできますが、効果が間接的です
  • 省エネ(使う量を減らす)は、費用がかからず今日から始められます。クリーンエネルギー自体を増やす行動ではありませんが、どの方法とも組み合わせられます

最初の一歩として現実的なのは、多くの方にとって電力プランの切り替えです。次の節で、その選び方を具体的に見ていきます。自家発電は持ち家の方が検討する段階で、投資は余裕資金の範囲で考えるものです。

なお、どの方法でも、効果を大きく見せる表現には注意が必要です。「これだけで脱炭素」と言い切れる方法はなく、複数を無理のない範囲で重ねるのが現実的です。

電力プランを切り替える|「再エネ100%」の見分け方と手順

電力プランの切り替えは、家のなかの工事が不要で、停電のリスクも変わりません。実質的な負担は、料金と契約内容の確認だけです。

切り替えで変わること、変わらないこと

最初に押さえたいのは、切り替えても自宅に届く電気そのものは変わらないことです。電気は送電網で混ざり合って届くため、再エネプランを選んだ家にだけ太陽光の電気が流れるわけではありません。

変わるのは、小売電気事業者が調達する電気の中身です。あなたが支払う料金が、再エネ由来の電気や環境価値の調達に使われる仕組みで、需要を通じて再エネを選ぶ側を増やしていきます。この「物理的には同じ電気」という点を知らずに切り替えると、「何も変わらない」と誤解しがちなので、先に理解しておくと納得感が違います。

「再エネ100%」表示を確認する3つのポイント

「再エネ100%」をうたうプランでも、中身は一様ではありません。次の3点を確認すると、違いが見えてきます。

1つ目は、環境価値の裏付けです。再エネ100%といっても、発電所から直接調達した電気とは限りません。非化石証書などの証書を組み合わせて、再エネ由来とみなしているプランもあります。横浜市が公開している再エネプラン一覧でも、100%再エネのプランと、証書を使った「実質再エネ」のプランが区別されています。

2つ目は、トラッキング(電源の追跡)の有無です。非化石証書は、そのままでは太陽光か風力か、どこの発電所かといった情報を持ちません。トラッキング付きの証書を使ったプランなら、電源の種類や発電所の所在地が分かります。

3つ目は、CO2排出係数や再エネ比率が公表されているかです。数値が出ているプランは、根拠を確認しやすくなります。

自治体が地域で選べる再エネメニューをまとめている場合もあります。たとえば大阪府は、府内の小売電気事業者が提供する再エネメニューを一覧で公開しています。お住まいの自治体にも同様のページがないか、探してみてください。

申し込み前に確認したい手順

実際に切り替える前に、現在の契約内容を確認します。確認したいのは、契約中の事業者と料金プラン、契約期間と解約金の有無、そして集合住宅の場合は「一括受電」かどうかです。一括受電の建物では、居住者が個別に電力会社を選べないことがあります。

料金は、プランによって差があります。群馬県は、従来のプランと同程度の料金で選べる再エネプランもあり、燃料価格が上がる局面では再エネプランの方が安くなる場合もある、と案内しています。割高かどうかは、燃料価格や契約によって変わります。

料金の比較は、使用量が多い冬の請求額を想定して行うと、実際との差が小さくなります。再エネのコストが高いとされる理由や、料金を抑える選び方については次の記事で詳しく扱っています。

自家発電と蓄電池|持ち家で検討する前に知っておきたいこと

太陽光パネルを自宅に設置する自家発電は、クリーンエネルギーを最も直接的に増やせる方法です。反面、初期費用が高く、屋根の向きや面積、家族の電気の使い方によって効果が大きく変わります。

売電の条件は変わっている

自家発電でつくった電気のうち、使い切れなかった分は電力会社に売れます。この買取価格の仕組みは、2025年度下期から変わりました。

資源エネルギー庁の資料では、屋根設置の導入を進めるための初期投資支援スキームが導入され、住宅用では当初4年間は24円/kWh程度、その後10年目までは8.3円/kWhとされています。ただし、認定を受ける時期によって条件が変わるため、設置を検討するときは必ず最新の公式情報で確認してください。

この仕組みでは、売電単価が下がる5年目以降は、つくった電気を売るより自宅で使う方が得になりやすくなります。蓄電池を組み合わせて自家消費を増やす考え方が現実的になるのは、このためです。

補助制度は自治体ごとに違う

設置費用に対する補助は、都道府県や市区町村が設けています。募集期間や上限額、対象となる機器は年度ごとに変わり、予算の上限に達した時点で受付を終える制度もあります。

東京都では、2025年4月から環境確保条例にもとづき、大手の住宅供給事業者に新築住宅への太陽光発電の設置などを求める制度が始まりました。対象は、供給する延床面積が一定規模以上の事業者で、約50社程度とされています。個人に設置を義務づける制度ではない点に注意が必要です。

太陽光発電協会は、この義務化を名目にした強引な営業や誤解を招く説明が出ることを懸念し、注意を呼びかけています。契約を急かされたときは、その場で決めず、複数社の見積もりと自治体の窓口で確認する時間をとってください。

賃貸の方はどうするか

賃貸では、屋根にパネルを設置することはできません。その場合、先に挙げた電力プランの切り替えが現実的な選択です。管理会社やオーナーに、建物全体で再エネ電力を採用できないか相談するのも、賃貸の方にできる働きかけの1つです。

証書や投資という間接的な方法|効果を過大に見ない

暮らし方を変えずにできる方法として、証書の購入や、関連企業への投資があります。どちらも効果が間接的なため、仕組みを理解してから判断することが大切です。

再エネ電力証書

グリーン電力証書は、再エネで発電した電気の「環境価値」を証書にしたものです。認証は日本品質保証機構が行っています。非化石証書は、再エネや原子力などの環境価値を切り離したもので、日本卸電力取引所の市場で売買され、主な買い手は発電事業者や小売電気事業者です。

こうした証書を、電力会社を変えずに個人が直接買える窓口は、事業者によって異なり、限られています。個人の場合は、電力会社のプランのなかに証書が組み込まれている形で関わることが現実的です。証書を使った商品は、何の環境価値をどれだけ買えるのか、使い道は何かを、販売元の説明で確認してください。

関連企業への投資

再エネの普及に取り組む企業の株式や、ESGを掲げる投資信託を選ぶ方法もあります。ここで誤解されやすいのは、株式を市場で買っても、その企業に資金が直接入るとは限らないことです。新規に株式が発行される場面を除き、売買は投資家同士のやり取りになります。

それでも、投資家の評価が企業の資金調達のしやすさに影響し、再エネ関連の事業を後押しすると考えられています。効果は間接的だと理解したうえで、判断してください。

投資には元本割れの可能性があります。「再エネ」「SDGs」といった名前の商品でも、中身が名前どおりとは限りません。投資信託であれば、目論見書や運用報告書で組み入れ銘柄を確認することをおすすめします。投資は余裕資金の範囲で、無理のない金額から検討してください。

ステップ3|取り組みを周りに伝える方法と、気をつけたいこと

自分が動いたあとの3つ目のステップは、周りに伝えることです。ただし、「SNSで発信すれば広がる」と考えるだけでは、うまくいかないことがあります。

自分の数字で伝える

伝えるときに役立つのは、きれいな理念より、実際に動いてみて分かったことです。たとえば、切り替えにかかった時間、料金がどう変わったか、迷った点、確認した書類などは、同じ立場の人が最も知りたい情報です。

「再エネに変えれば地球が救われる」といった大きな言い方は避け、自分の暮らしで起きた変化を事実の範囲で伝える方が、受け取る側も構えずに読めます。

相手を責めない

「まだ切り替えていないのですか」という言い方は、相手を遠ざけます。住まいの条件、家計、時間の余裕は人それぞれで、選べる方法も違います。同じ方法が誰にも合うわけではないことを前提に、「こういう選択肢もあった」と共有する姿勢が長続きします。

身近な場に働きかける

発信以外にも、広げる方法はあります。たとえば、勤務先に再エネ電力の導入を提案する、マンションの管理組合で共用部の電力契約を話題にする、自治体に再エネの共同購入や補助の情報提供を求める、といった動き方です。個人の消費だけでは動かせない部分に届く可能性があります。

一度にすべてをやる必要はありません。まず1つ、身近な人に自分の経験を話すところから始めてみてください。

よくある追加質問

実際に動こうとすると、先に挙げた3つのステップの外側に細かな疑問が出てきます。ここでは、特によく聞かれる3点に答えます。

賃貸や集合住宅でも切り替えられますか

契約者本人であれば、賃貸でも電力会社やプランを選べるのが一般的です。ただし、建物全体で電力をまとめて契約する「一括受電」の物件では、居住者が個別に切り替えられないことがあります。電気の検針票や管理会社の案内で、契約形態を先に確認してください。

再エネプランにすると、電気代は必ず上がりますか

必ず上がるわけではありません。群馬県は、従来のプランと同程度の料金で選べる再エネプランがあることや、燃料価格が上がる局面では再エネプランの方が安くなる場合があることを案内しています。現在の請求書から、直近の使用量と単価を確認したうえで、複数のプランを同じ条件で比べるのが確実です。

再エネプランにすれば、停電が減る、または電気の質が変わりますか

変わりません。先に述べたとおり、自宅に届く電気は送電網で混ざり合っているため、プランの切り替えで電気の品質や停電のしやすさが変わることはありません。停電への備えを目的にするなら、太陽光と蓄電池の導入のように、自宅に設備を置く方法が別に必要になります。

まとめ

クリーンエネルギーの推進のために個人にできることは、必要性を知り、暮らしに取り入れ、周りに伝えるという3つのステップに整理できます。世界では今も6億人以上が電気を使えず、日本の再エネ比率は上昇しているものの、2040年度の目標までは距離があります。

取り入れる方法は、電力プランの切り替え、自家発電と蓄電池、証書や投資、省エネと複数あります。最初の一歩としては、初期費用がかからず、賃貸でも選びやすい電力プランの切り替えが現実的です。自家発電は持ち家で、補助制度や売電条件が年度で変わる点を確認してから検討するとよいでしょう。

どの方法でも、「再エネ100%」の中身、投資の仕組み、自家発電の費用回収といった点で、効果を過大に見ないことが大切です。自分の条件に合う方法を1つ選び、やってみた結果を身近な人に伝えることが、広がる力になります。まず1つだけ、今の電気の検針票を手元に出し、契約中のプランを確認するところから試してみてください。

  • 世界で約6億5500万人が電気を使えず、日本の再エネ比率は2023年度で約23%、2040年度に4〜5割程度が見込まれている
  • 電力プランの切り替えは、初期費用がかからず賃貸でも選びやすい最初の一歩になる
  • 「再エネ100%」は、環境価値の裏付け・トラッキングの有無・CO2排出係数の公表を確認する
  • 自家発電は買取条件と補助が年度で変わるため、最新の公式情報を確認してから検討する
  • 発信は自分の数字で伝え、相手を責めずに、職場や管理組合など身近な場にも働きかける

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
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